第三話 ~担任は南国不良男(アロハヤンキー)!?~
三話目投稿です。見ていただいて感謝感激です。感想も書いていただき筆も(キーボードだけど)絶好調で進んでいます。お気に入り登録してくださった方も本当にありがとうございます。完結するまで見放されないよう頑張ります、頑張ると思う、頑張れるといいなぁ~・・・
では三話目どうぞ!!
黒柱……それは世界中に点在する正体不明の巨大建造物(?)である。
直径500メートル、高さ50キロメートルもの巨大な正十二角柱は、さながらバベルの塔を彷彿とさせるものであった。
世界中の学者たちが、一晩で、それも誰にも知られずに出現した黒柱の正体を解明しようとするが、未だに詳しいことは分かっていない。それどころか近寄ることさえできないのだ。
黒柱は目視はできるものの、カメラなどの機械類では一切記録できず、ただ黒柱がなければそうあるであろう景色が記録されるだけであった。
近寄ろうとすれば、黒柱から半径1キロの範囲に近づくと突然その場から姿を消し、黒柱を挟んだ対角線上のこれまた半径1キロの地点へといきなり飛ばされてしまうのである。
それは機械類でも同じであった。
上空や直上からのアプローチも試みられたがことごとく失敗している。
実は2年前、この黒柱をめぐり一つの大きな物語が繰り広げられていた。その物語については一般には知られてはいない。
黒柱の謎の発光現象。世界中の異常気象。天変地異の大量発生。彗星の接近。数えだせばきりのないほどの異常が世界中で起きていた。
この異常に関しては、一部の国の上層部と神波学園の学園長である沢村 秋月以下数名の教師陣、そして一部の学生(当然能力者)らのみが事情を知っており、”時間時空秩序の崩壊”と呼ばれているのだが……それはまた別の話。
いつか語られる機会もあるだろう。
とにもかくにも謎だらけの黒柱ではあるが、現在ではただ能力者が生まれる原因となり、交通の邪魔で、変な宗教の象徴または御神体として扱われる。
もはやその程度の認識だ。
シンクは配布資料に記載された黒柱についての概略に目を通しつつ、ガイダンスの終わりを待っていた。
正直ガイダンスの内容は右から左へ受け流すどころかそもそも受け取ってすらいない。
配布資料にも目を通し終え、とうとう寝るしか選択肢がなくなり始めたころに再びコヨミが壇上へと登った。
「さて、本日皆が聞いた内容はこの学園の一部分にすぎない。あとは皆が直接見聞きし、触れ、感じ取っていってほしい。
最後に、皆の入学を歓迎する。皆存分に研鑽し、励むように。 ……それでは解散!!」
その言葉を最後にガイダンスは終了し、新入生たちは自分の担任の誘導に従い講義室をあとにする。
その中で未だ一人座ったままだあるシンクに山本が走り寄る。
「すまんすまん、それじゃ行くか。学園長が一度学園長室に顔を出せってさ。そこでお前んとこのクラス担任が紹介されるはずだ。お前のクラスは確か……」
「3-Sです」
「おお、3-Sか!? エリートクラスじゃねぇか。そうか、やたら学園長がほしがってたわけだ……ん!? となると担任は……はっはっはっ、こりゃいい! おい世渡、覚悟しとけ。あいつは世界一先生らしくない先生だからな!」
「はっはっはっは」、と笑い声をあげながら扉の方へと向かっていく山本を、シンクはまるで沖に大量発生したクラゲでも見るような目で見ながらその後に続いた。
そして場所は変わり学園長室前、山本はここまで案内し到着した途端、
「じゃ、あとは自分でな」
と、どこかへ行ってしまった。
コンコン、と軽くノックをすると中から、「どうぞ」と学園長の声が返ってきた。
「失礼します」
そう一言断りを入れ室内に入ると、そこには学園長と金髪南国不良男が来客用のソファーに腰かけていた。
南国不良男はこちらに背を向けた状態で座っており、首をのけぞらせ顔だけでこちらを見る。サングラスに隠れているため、その瞳がどこを見ているかわからないが。
「んあ!? こいつですか? 俺んとこに来る厄介もんは」
「ええ、世渡 神紅君ですよ」
「厄介者って……」
そう言葉のみを交わしながら南国不良男は立ち上がりシンクの前までやってくる。
かなり背が高い。シンクも180cmはあり低い方ではないのだが、男の方は190cmは超えている。
体は細身だが、かなり絞り込まれているのがシンクには分かった。
金髪のつんつん頭にサングラス、口元は獣じみた薄い笑みを浮かべている。
しかし、それはまだいい。この部屋の中の違和感を作り出している要因はそこではない。
問題なのはその男が着ているアロハシャツだ。水色地の生地に真っ赤なハイビスカス。
まだ春先だというのにここだけ常夏のようだ。
「よう、俺は荒堂 夏輝ってんだ。てめぇの担任だな。ま、よろしく頼むよ」
と、その外見とは裏腹に少年のような笑顔でそう告げた。
「(ほんとに常’夏’の人だった、いやうまくないけどさ。しかも教師!? この南国不良男が!?)」
シンクの心のうちは全く穏やかではないようである……
「んで沢村さんよ? やっぱりこいつは候補なのか?」
「そうなりますね、わざわざこの学園に呼んだのもそれが目的ですから」
「ふうん、ま、いいけど。あんたが動くとなんか起こるから俺は不安で仕方ないんだがねぇ……」
と、身内でしかわからないような会話を交わす。
「あの、候補ってなんですか?」
「んあ!? ああ……嫌でもそのうち分かるよ」
まるで売られていく小牛を見つめるようなナツキの目に、頭の中ではドナドナが流れ始める……自分へ向けて。
「さて、そろそろ教室行くぞ?まあ、そう長く一緒にいる仲間でもねぇ。適当に付き合いな」
そう言ってそそくさと学園長室から出て行ってしまう。
「さて、シンク君もついて行ってください」
学園長に急かされ、シンクはナツキの後を急いで追った。
一人残され「ふう」と、息をつく。
「さて、舞台は整えました。あとはあなた次第ですよ、シンク君。君は報われるべきだ。
だからこそ、君は君の因縁に決着をつけなければならないのですよ。
誰のではなく……自分自身の手で」
ソファーに深く腰掛け、瞳を閉じて天井を仰ぎ、誰にともなくそっと呟く。その内心はいかなるものであるのか……誰にもはかり知ることはできないだろう。
後書きですが何書きましょうか?いや、まずは謝罪から・・・メインのキャラがほとんど出ていません、ほんとすいません><ちゃんと可愛い女の子でますからもうちょっと待ってください!!
後、またシンクほとんど喋ってません。そのせいでいまいち性格とかとりづらいとは思いますが今しばらく読んでいただければ今の大人の事情パートから学生パートに行きますんで気長に待ってやってください。
毎度のことながら感想など頂けると作者のテンションが上昇します。筆が加速します。
それでは次話で!!