第一話 ~神波学園 前篇~
ようやく本編投稿です。待ってくれていた方は・・・そうですよね、いませんよね。まだまだ入りの部分なので気になったら気長に見ていただけるとうれしいです。あと感想ください。作者のモチベーションが上がり投稿ペースが上がると思います。
コツコツと冷たい廊下をたたく音が響く。音の主は黒く長い髪を後ろで束ねた少年だ。
整った顔つきだが、何か不快なことでもあったのだろうか、眉間にしわが寄っている。
音はひとつ。しかし人影は二つある。もう一つの人影、長身白髪、メガネをかけたいかにも温和な微笑みの貴公子が足音もなく彼の隣を歩いていた。
「いや、驚きました。何か心境の変化ですか? 君の方からうちに来たいと申し出てくれるだなんて」
貴公子がその笑顔をMAXに保ったまま、いかにもうれしそうに隣の少年に話しかける。
「いえ、もともとお誘いは受けようとは思っていたんです。なにぶん学生がどんなものなのかわからなかったので……ただ単に決心がつかなかっただけですよ」
と、その表情とは裏腹に少年は穏やかな返事を返した。それに対し、
「そうでしたか。それは何よりです。無理強いしてしまったのではないかと内心心配していたんですよ」
と、男は返す。眉間のしわをそのままに男とともに廊下を進んでいく。
「表情がすぐれませんね。何を見ているんですか?」
「こんなにも人が多いところだと思いませんでした。予想以上に疲れます」
と、要領の得ない返事をするが男の方は納得しているのか気にしている様子はない。
「それが学校というところですよ。まあ確かに、ここはいささか生徒数は多いですが……」
そういいつつ男は少年に視線をくれる。するとそこには先ほどまでの渋い表情の少年はおらず、薄く笑みを浮かべた少年が立っていた。
「おや、もういいのですか?」
「はい、大体見終わりましたから」
そのような会話を交わしているうちに目的地に着いたのか二人は歩みを止めた。
そこは他の部屋……教室の扉とは趣の違う両開きのドアだった。
「さて、ここが大講義室になります。あなたは転入生ですから右も左もわからないでしょう? まずはここで新入生たちとともにこの学園について聞いてください」
「わかりました」
「終わったら山本先生の指示に従ってください。あ、山本先生というのはいつもジャージ姿の先生です」
それだけ言い残し男は踵を返して来た道を戻ろうとする。
が、突然止まると少年の方に向き直りあの貴公子スマイルを浮かべて告げる。
「ようこそ、我らが能力者育成学園都市神波学園へ。世渡 神紅君、我々はあなたを歓迎しますよ」
「はい、よろしくお願いします学園長」
少年――世渡 神紅はそう返事を返すと、扉の向こう側へと消えて行った。
主人公出ました、能力者系は二番煎じ的になるとは思いますがストーリーは完全オリジナルなので楽しんでいただけたら幸いです。感想アドバイスいただけると作者のテンションが上がります。