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異世界チート魔術師(マジシャン)  作者: 内田健
八章 強敵・対決・完遂

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三十七

「これでっ!」

 突っ込んでいくミューラの左右から飛んでいくよう、二発の氷の剣を放つ。

 ミューラをかすめて飛んでいく氷剣。

「くっ!」

 氷の剣二本に加えてミューラの攻撃。

 この二つは厄介なはずだ。

 アンテは、まずミューラを近づかせまいと酸の噴霧。

 続いて凛の攻撃に対処するため、酸の塊をひとつ生み出すアンテ。

 一本を相殺し、そちらに身体をずらすという方針のようだ。

 その一連の対応を読んでいた。

 凛が、ではない。

 ミューラが、でもない。

 地面から巻きあがった上昇気流が、噴霧された酸を上空に吹き飛ばした。

「やってくれる……!」

 アンテのところに辿り着くのは氷剣が先だ。

 まずこちらを対処せねばならない。

 予定通り、アンテは身体をずらしながら二本のうち一本を酸で相殺した。

 かなりの威力だ。

 二本とも相殺する暇は無い。

 もう一本は逸れていくので問題はあるまい。

 もうミューラがすぐそこにいる。

 こちらを迎撃しなければならない。

「そう来ると思ってたよ!」

 しかし。

 ここで、アンテにとっては誤算。

 凛にとっては、狙い通り。

「!?」

 やり過ごしたはずの氷剣が、軌道を変えて切っ先をアンテに向けたのだ。

 片方は相殺されることを織り込み済みで、誘導できる弾丸にしていた。

 さらに。

 空気の炸裂音と共にミューラが一気に加速した。

 見れば、目の前にミューラが。

 彼女の背後、十数メートル背後では、空気がさく裂した残滓。

「しまっ……!?」

 ざん、と胸に衝撃。

 そして鋭い痛みがアンテを襲う。

 ミューラの剣が胸に根元まで食い込んでいた。

「かは……っ!」

 ミューラはそのまま突進して押し倒し、地面に縫い付けた。

 アンテの身体から力が抜けたのを確認し、ミューラは離れた。

 やった。

 倒した。

 そんな感慨など浮かばない。

 ただ次の剣を精霊魔術で生み出して、反撃に備えた。

「ふふふ……わらわの負けよ。これ以上戦う力はないわ」

 急所を剣で貫かれたアンテだが、彼女はすがすがしい笑みを浮かべている。

 どうやら満足したらしい。

 はた迷惑な、話ではあるが。

「私たちの勝ち……?」

 ふう、と大きく息を吐き、凛も近づいてきた。

 魔力をずいぶんと使って疲労を隠せていない。

 何より、一発も被弾できない、というプレッシャーが大きかった。

「ええそうよ。あなたたちのチームワークの勝利。参りました」

「あなたが倒れた以上……」

「そうね。わらわが守っていた結界の起点までの道の封鎖もなくなって、聖都ギルグラッドは元に戻るでしょう……」

 アンテはごふっと血を吐いた。

「見事でした……わざわざ…………こんなところまで……出向いたかいが……あった、わ……」

 それを最期の言葉に、アンテは目を閉じた。

 身体から力が抜け、生気も消えていく。

 勝った。

 どうやらそれは間違いないようだ。

 勝てたのは、アンテだからこそ。

 特殊能力全振りで、身体能力がそれほど高くなかったからこそだ。

 これが身体の頑丈さ、タフさ、パワーなどが魔力の強さ通りだったら勝てなかったかもしれない。

「ふむ……終わったか。運が良かったな」

 そう。

 レミーアのその言葉に尽きる。

 結局はそれを通せるようにならねば、今後同じような敵が現れた時に対処しきれない。

「あたしたちも修行をして実力を上げた自負はありますが……」

「やっぱり太一についていくには、もっとがんばらないとね」

 そういうことだ。

 今後も太一と共にいるなら、彼基準の敵がやってくるだろう。

 太一を倒そうと思ったら生半可な雑魚を連れてきたって意味はない。

 となれば、その敵が引き連れてくる部下も必然的に強くなるに違いない。

 そう、例えばパリストールに大量に発生した紅い魔物のように。

 アンテに勝ったことは確かに喜んでもいい。

 しかしむしろ、三人は勝利したことで気を引き締め直しているのだった。


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