表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界チート魔術師(マジシャン)  作者: 内田健
八章 強敵・対決・完遂
251/257

三十四

 鋭い剣閃が魔物を切り捨てた。

 あれから街の中をぐるりと巡回しながら、襲い来る魔物を倒していた。

 どれだけ倒したのか。

 すっかり魔物がいなくなっていた。

 周囲に気配もないし。

 遠くからかすかに聞こえる悲鳴も。

 何かが破壊される音も。

 今はもう聞こえない。

 もしかしたらまだ残っているのやもしれない。

 しかし、それは他の部隊が対処するだろう。

「ふむ、大体対処したと言っていいだろうか」

 第一騎士団の団長が思わず、といった形でそうつぶやいた。

 もう見かけないのだ。

 そう思うのも無理はない。

 しかし、団長はそこで気を抜かなかった。

「引き続き気を抜くな。全滅しきったと確定したわけではないのだ」

「はっ!」

 部下からの返事にひとつ頷き、引き続き街のパトロールを続ける。

「ふむ。確かに貴殿がいう通り、ほぼ残っていないと言っていいでしょうな」

 テスランは、団長が下した「ほぼ対処済み」という予測を指示した。

 一時はなみいる敵の波状攻撃も受けたものだ。

 その時は必死に耐えながら一体ずつ着実に減らしていき、どうにか被害を最小限に切り抜けることができた。

 さすがに無傷とはいかず負傷した者も多数いたが、全員が戦闘継続不能にならずに治療だけして戦線に復帰できた。

 それはひとえに団長とテスランの指揮が優れていたからだ。

 そして、ここまでの間でシャルロットの周囲半径二〇メートル以内に侵入されたことも、一度たりともない。

 敵を殲滅しながら、絶対に守らなければならないシャルロットを連れて、ここまで最良と胸を張れる戦果だろう。

 ともあれ、連戦続きではいかに屈強な騎士や兵士であっても、休みなしではポテンシャルのすべてを発揮できない。

 よって彼らは休み休み進んでいた。

 急ぎたいのはやまやまだが、戦闘時に疲れが溜まったまま、というのも避けるべきなのだ。

「変わりませんな」

「そうですな。見渡す限り……」

 壊された家。

 魔物の死骸。

 そして人の遺体。

 地獄絵図に変わりは無かった。

 それでもこれ以上被害を出さないためには必要なことだ。

 市民を救うのも騎士の大事な仕事だ。

 より多くの市民を救うためには適度な休憩も必要なことである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ