表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界チート魔術師(マジシャン)  作者: 内田健
八章 強敵・対決・完遂

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

250/257

三十三

 こればかりは全力で対処せねばならない。

 狙われているわけではない散弾。

 目で見ながら一つ一つ、丁寧にさばいていく。

 かなり神経を使うし疲れるのだが、スペックが上がった今だからこそ対処できている面がある。

 これでも一発一発の速度はかなりのもので、

 もちろんそれだけでは終わらない。

 アンテはそんな甘い相手ではない。

 なのだが、「それだけで終わるはずがないだろう」と分かっている状態ならば、戸惑わずに対処しに行けるのだ。

 さらに突進する、と見せかけて、酸を大きく風呂敷のように空中に広げて、降り注がせてきた。

 広げると一見薄くなって破りやすくもなりそうだが。

「はっ!」

 ミューラが放った土の杭は、ごぷりと酸に沈む。

 穴は空いたものの、感触的にはそれなりの厚さがありそうだった。

 全体的に、アンテは逃げ場がない広範囲攻撃を好むようだ。

 逃げ場はない。

 破るかして防ぐかするしかない。

「合理的だな!」

 叫んだレミーア。

 まったくもってその通り。

 当たればいい。

 なんなら掠るだけでもいいのだから楽なものだ。

 自分がアンテの立場なら同じようにする。

 酸だけしか使えないが、これだけの威力があるならアンテの戦法で十分だ。

 何せこちらも対処療法でどうにかしているだけで、根本的な攻略は出来ていない。

 これだけ戦ってこの体たらくなのだから、アンテが自分のスタイルを崩さないのもむべなるかな。

 同じ攻撃ばかりしていては勝てない、と思わせられていないわけだ。

 ただし。

「別に、崩す必要は、あるまいがな!」

 空気を強力に、一瞬で圧縮。

 それを前方に向けて、衝撃波として放った。

 風圧で吹き飛ばす。

 レミーアの狙い通り酸が吹き飛び、三人には当たらなかった。

「私の風は、相性が良さそうだ」

 溶かすものが存在しない空気の流れを操るのが風魔術。

 土魔術も氷魔術も、溶かすものが存在するのだ。

 それが無い風は実に相性がいい。

 ある程度の威力は必要とするものの、アンテの攻撃をはじき返すのだから、そんなことは織り込み済みだ。

「リン、ミューラ」

「はい」

 そのまま、レミーアは自分の方針を表明した。

「私はこれより、防御に徹する」

「……!」

 師匠が何を言いたいか。

 みなまで聞かずとも理解できた。

「お前たちで、こじ開けろ」

「了解です!」

「分かりました!」

 何故レミーアがそう口にしたのか。

 試練ではない。

 最適な役割分担だ。

 さて。

 ではどう破るのか。

 そこが問題だ。

「どうやら、そろそろ大詰めのようね」

 不意に、アンテがそう口にした。

 なんとなく理解できた。

 凛たちが役割分担をした。

 つまり全力でアンテの攻略を開始するという宣言だ。

 アンテとしても、今の広範囲攻撃に勝るような、効率的かつ効果的な戦闘方法は持っていない。

 より考えて、各個撃破のようなじっくりと戦うのはそんなに得意ではない。

 それでも、通じない攻撃に後生大事にしがみついて使い続ける趣味は無い。

 一対一ではない。

 無視できない強さの人間が三人。

 防御に専念する、というレミーアも、当然だがアンテがあまりにも意識を逸らしていたら攻撃はする。

 そうなったら、アンテの有利はかなり消え去ると思っていい。

 だから、今のうちに仕留めるように努めるのがアンテにとっての最適解。

 ならばこそ。

 アンテは空中から地面に場所を移した。

 空を飛んでいたのは、高いところから無差別に広範囲を攻撃するのに適していたからだ。

 そういう攻撃方法を取らないのなら、アンテは地に足を付けて戦った方が強い。

「さあ、改めて始めましょうか」

 これまでとがらりと変えたアンテを迎え撃つは凛、ミューラ、レミーア。

 三人にとっては、この広範囲無差別攻撃を攻略するのが最適解。

 この膠着状態が崩れるとなると、一気に事態は変化する。

 根拠はないし、傍で見ている者がいたら信じなかったろうが、戦っている本人たちが誰よりそう思っていた。

 だからこその大詰め、というアンテの言葉に誰も異論を唱えなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ