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126話: エリオ君のお家訪問! ③

「わぁ……ここがエリオ君のお家?大きいー!」

「そうですか?普通だと思いますが……」


 あれから電車を何回か乗り継いで、俺達はエリオ君の地元である竜族の居住区に到着した。

 詳しく言うと電車で転移魔法装置のある転移港まで行ってそこからは転移魔法で一瞬の旅程だった。

 そうして辿り着いたエリオ君のお家はとても大きくて、入るのに緊張する。


「お帰りなさいませエリオ様。全てご用意できております。おや、お隣の方は……」

「伝えていた客人です。くれぐれも失礼のないように。先輩こちらはこの家の執事のマーセルです。滞在中、何かあれば彼に伝えてください」

「フレンです。マーセルさんよろしくお願いします」


 紹介通り執事服を身につけた初老の男の人が俺に頭を下げる。綺麗にまとめてある短いグレーの髪とすっと伸びた背筋が印象的だ。


「立ち話もなんですから入りましょう」

「それではフレン様、お荷物をこちらへ」

「えっ、あ、ありがとうございます……」


 マーセルさんから流れるように荷物を受け取られ、手持ちぶたさになった俺は少し落ち着かない気持ちで2人についていく。


「お食事はいつ取られますか?」

「そういえばそんな時間ですね。先輩、このまま昼食でよろしいですか?」

「うん!大丈夫」


 お昼の少し遅い時間だから、お腹は結構すいている。


「すぐに用意いたしますのでこちらにおかけください」


 マーセルさんに案内してもらった広間みたいな部屋の大きなテーブルに食器が並べられていく。ちなみに俺はどこに座ったらいいかわからなくてエリオ君の隣に座ってる。格式高いコースとか出てきたらどうしよう。マナーとかあんまりわかんないから、呆れられちゃうかも。


「わー!美味しそう!いただきます」


 俺の心配をよそに、出てきたのは狐色に焼き上がったガレットと色彩豊かなサラダという食べやすいメニューだった。見た目通り味もとても美味しくてどんどん食べ進めてしまう。


「前に先輩がお好きだと言っていたので、お口に合って良かったです」

「もしかしてエリオ君が頼んでおいてくれたの?」


 俺がコースとかあまり慣れてないのを見越して用意してくれたらしい。エリオ君って本当にきめ細やかだよね。彼の使う魔法はとても繊細だけどこういうところも反映されてるのかもしれない。


「食事が終わったら部屋に案内させます。その後で詠唱の練習をしましょう」

「うん!よろしくね!」


 エリオ君が言っていた教材ってどんなのだろう。俺もエリオ君みたいに上手に魔法が使えるようになったらいいな。そんな事を考えながら俺は残りのガレットを丁寧に切り分けて口へ運んだ。


 ◇


 客室で荷物を片付けた俺は、マーセルさんからエリオ君の待つ部屋に案内される。

 そこは寮の俺の自室と同じくらいの広さのシンプルな構造の部屋だった。普通の部屋と違うのは窓とかがなくてドア以外の壁が均質の見た事ない素材でできているところだ。


「この部屋で何するの?教材ってどこにあるの?」


 特にそれっぽいものが見当たらないので俺は少し不安になってエリオ君に問いかける。


「ああ、説明がまだでしたね。この部屋自体がそうなんです」

「部屋が教材って事?」


 なるほど、どおりで持ち運びができないわけだ。


「この部屋の材質は特殊な鉱石でできていて、声に込められた魔力に反応して色が変わります」


 そう言ってエリオ君が詠唱すると、部屋の壁は綺麗な水色に変わる。


「わぁ……凄い!それで、これがどう魔法に関係あるの?」

「詠唱のコツはいかに声に魔力をのせるかです。ですから最適な声と魔力のバランスが取れるようになるのが部屋の目的になります」

「つまり、簡単な魔法とかで一番いい詠唱のやり方を見つけて身につけるって事?」


 俺の雑な理解にエリオ君が頷く。なるほど、確かにチアでも基本の技を組み合わせて応用したりしたし、こういうのって共通のコツなのかも。


「先輩の魔力だと、春薔薇色になればベストバランスです。魔法は基礎の炎魔法にしましょう」

「うん、やってみるね!見てて!」


 部屋の色が変わるなんて面白そう。俺は早速やる気になって詠唱を始めた。


「あれ……途中までよかったのに灰色になっちゃった」

「魔力途中で切れてましたね。詠唱の間一定の魔力を通す意識を持ってみてください」


 魔法によっては意図的に魔力の乗せ方を変えることもありますが、まずは基礎ですと言ってエリオ君が分析をしてくれた。詠唱してると、意識がそっちに向いちゃうからどうしてもそこが苦手なんだよね。


「あっ、また変になっちゃった……」

「詠唱の長さに合わせて大体必要な魔力が決まってます。それを掴む意識でやってみましょう」


 なかなか上手くできない俺にエリオ君は根気強くアドバイスをしてくれる。こうしてみるとわかるけどエリオ君って凄く教えるのが上手だ。俺が何に躓いているのかを見極めた上で、的確な答えを示してくれる。


 (たぶん、凄く魔法の事勉強してるんだろうな……)


 エリオ君の魔法は学園トップレベルだ。その精度だけでいうと恐らくルカよりも適性があると思う。

 竜族で魔力量が多いだけならこんなに魔法は上手くならない。ただ、威力の大きな魔法が使えるだけだ。だからこそ、この練習で彼の積み上げてきた努力がよく伝わってきて、俺は改めて彼の凄さを理解した。


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