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120話: 天使系小悪魔後輩との1on1①

 学園演劇反省会の後の今、俺はミカエラさんに連れてこられた小会議室で彼女と向き合って座っている。


「あの……ミカエラさん、なんで俺この格好……」


 ちなみに俺は今女子用の制服を身につけている。着ておいてなんだけど、断じてこれは俺の趣味とかじゃない。信じて欲しい。

 小会議室に着いた彼女から途端これを渡され、有無も言わさぬ勢いで着るように言われて仕方なく着ているのだ。正直恥ずかしくて仕方ないし、脚元がスースーして落ち着かない。


「私、大人気アイドルですよ?男の人と二人きりなんて特大のスキャンダルになるのわかりません?」


 なるほど、これを着せたのは万が一誰かに俺と二人でいるところを見られても女の子だと誤魔化すためだったのか。けどそれならそもそも二人っきりで呼び出さなければいいんじゃないかな?……なんていう俺の意見は口に出す前に彼女の強すぎる圧に封殺された。前から思ってたけど彼女性格きついというか圧が凄いよね。


「はい……。それで、話って何……かな?」


 仕方ないので俺は一刻も早く着替えるために話を済ませる方を選ぶ事にする。というかそれ以外選択肢ないよね?でもミカエラさんがしたい話ってなんだろう……まさかあの時のお礼とかかな。


「最初に言っておきますけど、感謝とかはしてないので、勘違いはやめてくださいね♡」


 あっ、そうなんだ。凄い言い分だけど、あまりに堂々とされるとなんか言い返す言葉も思いつかないよね。


「昨日の文化祭アンケートの結果、学園演劇へのコメントが6割だったらしいんです」

「へ、へー、去年より多いんだね」


 いきなりこんなこと言われても本題が何かわからないので俺は無難な返事を返すしかない。


「そして、ヒロインである建国の姫へのコメントはその中の3割。これは去年よりも多いんです」

「う、うん。それで?」

「つまり、私は去年の先輩を超えて、正真正銘学園一かわいいと証明された筈なんです」


 学園演劇はミスコンじゃないから厳密には違うと思うけど、同じ役で評価が去年より高いわけだからある程度は合ってるのかな。


「でも、私自身がそれに納得できてないんです!」

「ど……どういう事?」


 机に拳を打ちつけて彼女は言葉を続ける。


「私は今まで、どんなコンテストでも1番で、それでライバルの子達より凄いって自信もつけてきました。だけど今回だけはそう思えない」


 そう言って彼女は誰もが惹かれる天使のような作りの顔を歪めた。


「こんな事初めてなんです!!イライラするのにどうしていいかわからなくて、だからとりあえず先輩を呼び出してぶつけようと思って呼びました」

「そ、そうなんだ……」


 わ、わぁ。物凄い素直というか、ストレートすぎる悪意じゃない?

 こんな事するために、女装させたとはいえリスクまで取って俺と話そうと思ったんだ。そのある種の行動力というか決断力に俺は一周回って感心する。


 (……あれ、そういえば)


 話していて俺はある事に気がついた。彼女の行動と今までの発言との矛盾に。

 とりあえず彼女には落ち着いて欲しいし、話題を変える意味でそれを口に出す事にする。


「スキャンダルって言ってたけど、クロードとの事はいいの……?」


 学園演劇練習期間、彼女は俺に勝ってクロードを自分派にすると宣言していた。そういうのはスキャンダルにはならないのかな?それとも恋愛的な意味じゃないとか?


「クロード先輩は私の王子様だからいいんです!アイドルを卒業する迄の間、完璧に隠せばスキャンダルにはなりません!」


 がっつり恋愛的な意味だった。それもかなりの熱の入りようだ。予想より本気度が高いし、むしろさっきよりヒートアップさせてしまった気がする。


「というかミカエラさんってクロードと面識あるの?どうしてそんな……」


 学園演劇の時、クロードは彼女の事を認識していなかった。だからこんなに思われるいわれが俺には思いつかなかった。

 まあクロードってあり得ないくらいモテるし、優しくてかっこいいから好きになる理由はたくさんあるからそんなに変ではないかもだけど。


「もしかしてクロード先輩との思い出、聞きたいんですかぁ?仕方ないので教えてあげます♡」


 さっきまでの険しい表情が一転してミカエラさんの顔がパッと輝くのを見て俺は気がつく。


 (あっ、これ長くなるやつだ)


 俺は会話の選択肢ミスに気がついて後悔したけどもう遅かった。チアライブのメンバーとの会話で女の子がこういう話で盛り上がる事を俺は学んでいる。その中でも恋する乙女の話は何時間あっても足りないものだ。


 (けど会話を振ったのは俺だし、俺にも責任はあるかな……)


 俺はもうしばらくこのスカートとお別れできない事を確信して、覚悟を決めて椅子に座り直すしかなかった。

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