表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
老人とAI  作者: zingibercolor
1/1

老人とAI

 ファミレスの料理出し猫ちゃんは進化して、今や家事および家庭の在庫管理を担えるようになった。

 しかしAI搭載家事ロボットを使いこなせる老人は少なく、今も母親はAIにキレている。


「アレよ! アレ出して!」

〈特定に必要な情報が不足しています〉

「昨日のアレ! キャベツのやつよ!」

〈特定に必要な情報が不足しています。昨日とキャベツに関連した事象は、キャベツ苗の水やり、キャベツ半分の購入、昼食の千切りキャベツ、夕食の鮭のちゃんちゃん焼きです〉

「そう! それ! ちゃんちゃん焼き! ほんっとうにAIって使いづらい!」


 見ていられなくて、私は口を出した。


「お母さんのAIの使い方が下手なだけじゃん。アレとかコレばっかり、指示代名詞だけで何も分かるわけないでしょ」

「あんたはアレって言えばわかるじゃない!」

「わかるけどさ、お母さんそうやって固有名詞言うのサボるからボケたんでしょ」

「ボケてないって言ってるでしょ!」


 またキレる母親に、私はこう言った。


「じゃあ、私の名前、わかる?」

「……え?」


 母親はぽかんとし、それから慌てだした。


「え、あら、ヤダ、わかんないわけじゃないのよ、えっと、その、アレでしょ! アレ!」

「もういいよ、一生指示代名詞言ってな」


 はるか昔、【あいまい検索】という機能があったそうだ。それでも、指示代名詞だけでは何も検索できなかっただろう。

 AIを使いこなせる老人は少ない。だから、こんなにもAIが発達した今でも、親の介護のために同居を強いられる人間は消えない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ