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09 街へ

僕って悪魔なのだろうか。





【今更じゃな。主は、只の人間がこのようなチカラを持っていると思うか?】





「いや、確かにそうだな……怪我だって一瞬で回復したし、普通じゃないよな……」





【ただ主はまだ完全なる悪魔ではないで、悪魔と人間の要素が混ざっている感じじゃ。】





悪魔と人間のハーフって感じか。

でも悪魔って言われても実感湧かないな……





【早く完全な悪魔に覚醒して欲しいところじゃが、まだまだ時間はかかるかもしれんな。】





「完全な悪魔になったらどうなるんだ?」





【我のチカラを完全に解放できる。今は弱いチカラしか出せんので、勇者には勝てぬぞ。】





「勇者ってまだいるのか?サタが勇者に負けたのっていつなんだ?」





【うむ。少なくとも300年は経っておるじゃろう。じゃが、我を倒した勇者が死んでいたとしても、別の勇者がいるじゃろう。悪が滅びることなどあり得ないから、いつの時代にも勇者は存在するのじゃ。】





「怖い世界だな……でも勇者とは戦いたくないぞ。それって世界を的に回すってことだろ?」





【なに……勇者と戦わないのか……ふむ。まぁ勇者と同等のチカラを持つものであれば相手は誰でもよいぞ。魔王と戦うのもありじゃな。】





「魔王……絶対強いよな……いくらサタのチカラがあるとは言え、厳しいんじゃないか……」





【魔王は圧倒的な強さを誇る。まぁ今すぐ倒せとは言わん。主がもっと強くなってから考えようではないか。】





「あぁ……検討しておくよ。」




絶対戦わない。

僕にはメリットがないからな。

とりあえず元の世界に帰る方法を探そう。




サタとそんな会話をしているうちに、非常階段を降り、外への出口が見えた。




外に踏み出した先は、一面に木が生い茂った森であった。森の中に不自然に病院が建っている状況だ。





「ここがトイフェルの森か。僕がいた場所じゃない。サタの言う通り、異世界に飛ばされたのかもしれないね……」




なんでこんなことになったのか。

ただ入院していただけなのに……




病院ごと飛ばされたということは、病院にいた人は全員この世界にいるってことだよな。




「サタ。僕を見つける前に、この建物の中で僕以外の人を見かけたか?」





【死んだ者なら見かけたが、生きていたのは主だけじゃ。】





じゃあ、僕を見捨てたあの人も……





【どうかしたか?】




「いや、何でもない。とりあえず街があれば行きたいんだが、場所は分かるかな?」

 




【主よ。任せるがよい。我の言う通りに進むがよい。】




「助かるよ。」





サタの言う通り進み、何時間が経ったのだろう。

時計なんてないから分からないが、5時間以上歩いてるのではないだろうか。




「サタ。この方向で本当にあってるのか?一向に街が見えないぞ。」





【むむ…合っておる……はずだ。】





「本当かな……怪しいんだが……もう僕は疲れたよ。」





【たかが数時間歩いただけというのに。少し迷っただけなのに弱音吐くとは軟弱者め。】





「迷ってるのかよ。間違ってるかもしれないってこと?勘弁してよ。」






【うるさいぞ。無駄口をたたく元気があるのなら、早く歩くのじゃ。】





「もう歩けな……」





すこし離れた前方に街らしきものが見えた。





「あれ、街だよな?」





【ほれ。我は間違っていなかったのだ。我を疑ったことを詫びるがよい。】





「いや、サタが迷っていたのは事実じゃないか。そんなことより、とりあえず早く街に向かおう。」





【む。そんなことより……じゃと?我に遠慮がなくなってきたか主よ。我は偉大なる悪魔サタぞ。敬意を持つがよい。】





「名前はもう知ってるよ。早く行くぞ。」




サタがブツブツ言ってるのは聞こえたが無視し、しばらく歩き、街の門に到着した。





街は城壁のようなものに囲まれており、入口には鎧を着た兵士のような人が2人立っている。門番だろうか。




「すみません。」





僕は街に入れるのだろうか。

僕は恐る恐る声をかけると1人の兵士らしき人が返答した。





「ヘルト王国、イニシオへようこそ。」


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