08 異世界?
「悪魔?あんたは悪い奴なのか?」
【ふむ。善悪どちらかと言えば悪じゃな。あと我のことはサタと呼んでくれ。】
「サタ。僕の身体使って何を企んでるだろうか。目的を教えて欲しい。」
【昔は悪さはしておったが、今はそのようなことは考えておらぬよ。敢えて言うならば強き者と戦いたい。それくらいじゃな。】
「強き者と戦いたい?それだけ?っていうか何でだ?」
【昔、我は勇者と戦い身を滅ぼされたのだが、あの戦いの興奮が今も忘れられぬ。またあのような熱き戦いがしたいのじゃよ。】
勇者?あの漫画とかでよく出てくるあの勇者か?
「すまん。サタ、勇者って何だろうか?」
【主よ。勇者を知らんのか?魔王を滅ぼすよう、人類の王から任命を受けた強き者と我は聞いておるぞ。】
あれ……これって本当に漫画みたいだな……
「サタ、今僕がいる場所ってどこかな……?日本?」
【日本?ふむ……理解したぞ。】
「理解した?」
【主は異世界から来たのじゃな。ここは日本という場所ではない。我の知る限り、この世界にそのような場所はない。】
「異世界?」
【ここはヘルト王国にあるトイフェルの森じゃ。稀におるのじゃよ。異世界より、やってくる者が。森の中に急に建物が出現したので見に来たのだが、飛ばされて来たのだな。】
え……異世界転生?
いや……身体はそのままだから異世界転移か。
いや、そんなこと今はどうでもいい。
そんなことありえるのか……
「ちょっと待ってくれ。異世界と言われて、戸惑っている。ヘルト王国だっけ?確かに聞いたこともないが国の名前ってことだよね。」
【主の言う通り国名じゃ。実感が湧かぬと言うならば、街に向かってみるのが良いだろう。】
確かにここにいても意味がないな。
でもゴブリンとかいる時点で異世界だろうな……
最悪だ……
「あぁ……サタの言う通りにするよ。ちなみに元の世界に帰る方法とかって知ってるかな?」
【主よ。我には分からぬ。帰れれるという話も聞いたことがないな。】
「そっか……分かったよ。」
仕方ない。
帰る方法は地道に探すしかないか……
僕は困惑しながらも、非常階段を降り、出口へと向かった。
出口までの間に何度もゴブリンに出会ったが、全て一撃であっさり倒すことができ、もはや敵とは言えない。
【主よ。我のチカラはどうじゃ。慣れてきたか?】
「最初に比べれば慣れてきたけど、まだ困惑はしてるよ。」
【主はまだまだ強くなるぞ。まだ身体としては生まれたての悪魔なのじゃから。】
え……
そういえば……
「僕ってもう人間じゃないのか?悪魔なの?」