07 殲滅
【殲滅するぞ】
その言葉とともに、僕の身体に変化が起きた。
全身から力がみなぎってくる。
痛みで動けなかったはずなのに、痛みは消え、身体の損傷も回復しているようだ。
ゆっくりと僕は立ち上がった。
目の前の化け物は、そんな僕を見て驚いた様子であったが、すぐに僕の顔面に殴りかかってきた。
ドゴォ
急な身体の変化に戸惑っていたため、攻撃を真正面から受けてしまった。
おかしい。
全く痛みを感じず、僕は直立不動で攻撃を受け止めている。
化け物どもは4体全員で、さらに攻撃を仕掛けてくる。
やはり痛みを感じない。
僕の身体に何が起こっているのだろうか。
すると筋骨隆々の化物はついに剣を握った。
【主よ。いつまで突っ立っておる。こんな雑魚ども早く倒してしまわんか。】
「倒すって言っても、僕には武器がないぞ。」
【こんな雑魚相手に武器などいらんわ。好きなように殴ってみろ。】
相手は剣を持っているのに素手で戦うのか……
無茶苦茶だ……
でも今は言われた通りやるしかない。
剣を握った化物を相手に、一歩踏み込んだ。
身体が軽い。
一瞬で相手との間合いが詰まった。
化物が僕の動きに反応できていないようである。
僕は化物の顔面目がけて、拳を突き出してみた。
ブシャッ
「え……」
目の前の化物は頭部が破裂し、倒れていった。
ピクリとも動かないので、絶命したようだ。
何だこの力は……
戸惑いながらも続けて残りの3体も攻撃したが、同様にいずれも一撃で倒すことができた。
凄い。
この力は何なんだ。
【主よ。こんな雑魚を倒しても自慢にならんぞ。】
「そういえばあんたはどこにいるんだ。さっきから声だけ聞こえるんだが……」
【我は実体を持たぬ魂じゃ。今は主に宿っておる。】
「僕に宿る?」
【そうじゃ。主の身体を我が魂の器とした。この身体には主と我が共存している。】
「共存……あんたは一体何者なんだ……」
【先ほど伝えたように我が名はサタ。所謂、悪魔と呼ばれるものじゃ。】




