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54 我慢

いきなりタクヤをDランク級の魔物との戦闘に加える訳にはいかないので、ゴブリンを中心には狩り行った。

ただし今の僕とアズサさんでは、ゴブリン程度の相手では傷を負わないので、タクヤの魔法の出番がない。

戦闘はタクヤのレベル上げにはつながるのだが、魔法に慣れるという点では一切貢献しない。




魔法を試すことができないのは良くないので、だれかが傷を負う必要がある。

それは誰だろうか。

そう僕だった。




結局魔物の攻撃をワザと食らうのは全員が嫌だったので、自ら傷をつけてタクヤが治すという方法がアズサさんから提案された。




もちろんアズサさんは絶対に拒否した。

「絶対に嫌よ。私、女の子なんだけど?私がやるとかありえなくない?」



あんたが提案したんだろうが……

そう思ったが僕は何も言わない。

  


もう一人はというと、

「あ、無理っすね。俺、傷とかつくの嫌なんすよ。傷跡とか残ったら、マジ勘弁っす。ヒロキさんがやってくださいよ。」

「そうよ!タクヤに傷をつけるとかありえないわ!」




で、結局は傷を負う役は僕になった。

アズサさんには元々頼むつもりはなかったのでいい。

でもタクヤ、お前の魔法のためなんだから、お前はおかしいだろ。

しかも傷を治すための魔法なんだから大丈夫だろ。

  


まぁ新人なんで今回は大目に見るが、今後はちょっと厳しくする必要があるな。

自分が嫌なことを、人にやらせるな。

説教してやりたい。




そんなことで、僕は自分の腕を、ロングソードで斬りつけてみた。

そこまで深く斬った訳ではないが、血がどばどば出てきている。




「ほら、ヒールを試してみてください。」  




「キモっ……血がヤバいっすね。」




こいつぶん殴りたい。お前のために斬ったんだろうが。




「痛いから早く治してください。」





「うっす。ヒール!」




タクヤが唱えると傷がどんどん癒えていき、完全に傷が塞がった。

大量ポーションなしにこれだけ回復できるのは有難いな。

いろいろ不満はあるが、タクヤを仲間にしてよかったな。




「すげぇっすね。もう一回試してみます?」




「……それ誰で試すつもりですか?」


 


「え……ヒロキさんっすけど。」





「僕は今やりましたので、試したければ自分でやってください。」




「えー……もう1回やったんだし、1回も2回も変わらなくないっすか?もうヒロキさんがやっちゃった方が早いっすよ。」




何が早いんだよ。

僕がやっても、お前がやっても早さは一緒だよ。




「お前、ふざけてんのか?自分でやれよ。」




「……え、あ、すんません。」




イラついて少し乱暴な口調になってしまった。




「あ、こちらこそ乱暴に言い方ですみません。でもあんまり自分の嫌なことを、平気で人にやらせようとするのは止めた方がいいですよ。」




「……うっす。」




 反省してそうなので良かったと思った時だった。




 「ヒロキ!タクヤをあんまりいじめちゃダメでしょ。タクヤは新人なのよ。あんたが怖がらせてどうするのよ。」



 

「怖がらせるつもりはなかったんですけど、まぁ僕の不注意でしたね。すみません。」




「あんたは後輩ができたらエラそうになるタイプなのね。ほんと嫌なタイプね。タクヤ、安心して。私が守ってあげるから。」




「アズサさん、あざっす。いや、マジ怖かったっす。ヒロキさんって怒るんすね。ウケるわ。」




「急に怒るとかほんとキモイわよね。ああはなりたくないわね。」



 

……




いい加減こいつらにいらついてきたな。

でもせっかく増えてきた仲間だ。




なんとか上手くやっていかないといけない。

ただ、今後が不安だ……


次回の更新は7月30日(水)を予定しています。

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