38 魔人とは
「今日はもう疲れたんで明日、廃村とやらに行ってみましょう。」
「私はまだ大丈夫だけど……そうね。まぁいいわ。それじゃあ明日、早朝に集合でいい?」
「ええ、よろしくお願いしますね。」
僕らはギルドを出て、宿泊のためオアシスに戻り、夕飯を食べていた。
今日はあとは寝るだけだが、部屋でスケルトンについて確認だけはしておくことにした。
◇
魔物図鑑でスケルトンを調べてみると、想像していた通りに骸骨の魔物であった。
物理攻撃、特に斬撃が効きづらいみたいだ。
魔法であればダメージを与えやすく、特に炎属性魔法がより効果的とのことだ。
僕との相性は良さそうだな。
夜間に群れで出現することが多いこと、またスケルトンを見かけた場合、色を注意深く観察する必要があると記載がされている。
アンジュさんが言っていた色違いのスケルトンについて記載がされているな。
読んでみると黒色がスケルトンソルジャー、銀色がスケルトンクイーン、金色がスケルトンキングらしい。
どれくらいの強さなのだろうか。
「スケルトンソルジャーなら勝てるか?」
【余裕じゃな。はっきり言って雑魚じゃ。我の炎属性魔法は最高峰じゃ。前にも言っただろう?】
「何か言ってたような気もするが……でもファイアボールとファイアアローしか使えないんだぞ。」
【あぁ……そうじゃったな。ただスケルトンソルジャーくらいなら問題はないだろう。他はせめて中級魔法以上は欲しいところよの。】
なるほど……Cランクくらいなら今の僕でも倒せるのか。
良いことを聞いた。
「じゃあスケルトンソルジャーが現れても戦うことにするよ。」
【うむ。他のが出現した場合も戦っていいのじゃぞ?我は全力を尽くそう。難しい戦いほど、熱くなれるからの。】
「いや、もう少し戦いに慣れてからにさせてくれ。いきなりBランク以上は無理だ。」
【ふむ……分かった。】
「納得してくれて助かるよ。そういえば、なんでDランク以上じゃないと魔石が出ないんだ?アンジュさんはさらっと言ってたけど、ちょっと疑問に思ったんだ。」
【あぁ……そんなことか。簡単なことじゃ。ゴブリン程度であれば魔力が弱すぎるからじゃ。魔石とは、魔力が結晶化した状態じゃ。弱い魔物には、結晶化するほどの魔力がないから、出ないのじゃ。】
「そういうことか……」
【ちなみに主が殺された場合、魔石は出るから安心するがよい。】
「怖いこと言うなよ……そんなこと聞いてない……というか人間でも魔石があるんだな。」
【一定以上の魔力があればの話じゃがな。まぁ主は人間ではないがな。】
「あぁ、そうだったな……」
正直、今でも自分が魔人であるということはあまりピンとこない。
人間と魔人、何が違うんだろうという感じである。
今のところ不都合を感じてないのでいいのだが、今後どうなるんだろうか……
「結局、魔人って、人間と何が違うんだ?」
【別物じゃ。魔法の才能にしても、人間とは比べもにならん。】
「魔法の才能以外には何が違うんだ?」
【主には魔物の魂が入っているのじゃ。主は、魔王になり得る可能性を秘めておるのじゃ。人間はいくら努力をしようが、魔王にはなれん。】
「ま……魔王⁉ 魔王になれるって、どういうことなんだ?」
【一言で言えば別次元の存在じゃ。まぁ時が来れば教えてやろう。今の主には程遠い存在なので、考えても無駄じゃ。】
「いや、気になるから教えてくれよ。気になって眠れない。」
【時が来れば教えると言うとるじゃろう。眠れんなら、眠らせてやる。】
「眠らせる?どいうこ……」
【スリープ】
Zzzzzzz……
【この程度眠るとはまだまだ弱いの。だが、主には期待しておるのじゃ。】
【未来の魔王よ。】




