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37 真偽官

僕らは魔法の練習帰りにギルドに立ち寄っている。

討伐報酬と、新たな依頼を受けるためだ。





「それでは討伐報酬をお受け取り下さい。」





アンジュさんから受け取った報酬は、金貨1枚、銀貨1枚、銅貨1枚になる。

まぁまぁの報酬だな。

最初の頃は泣いて喜んでいた金額だが、魔法書の金額を聞いてしまった後では、この稼ぎでは物足りなさを感じてしまっている。




「終末世界の皆さま、本日は新たなご依頼を請けられますか?」





「はい。Dランクの依頼を受けたいと思いますが、何かありますか?」





「今ですと魔物の調査依頼と護衛の依頼がご紹介可能です。」





「護衛……ですか。ちなみに護衛の依頼を請けたことないのですが、詳細を教えてもらっていいでしょうか。」





「承知しました。護衛の依頼はDランク以上から請けることができます。今回のご依頼は、商人が隣町に行くまでの道中を護衛するという依頼です。護衛対象は2人で、報酬は金貨3枚になります。」




「隣町に行くだけなのに護衛が必要なんですか?強い魔物が出る道なんでしょうか。」




「魔物についてはEランク程度の魔物しか出ない道になります。ただ護衛となると依頼としてはDランクになります。あと、相手は魔物だけじゃないですよ。」




「魔物だけじゃない……人間ですか?」




「そうですね。商人はお金を持っていると思われるので、盗賊からも狙われやすいんです。なので魔物と盗賊から護衛する必要があります。」




「それで金貨3枚ですか……少ないですね……」




「貴族や大商人になりますと、高ランクで高い依頼料を支払いされることもありますが、隣町までなので距離も短いですし、危険な道でもないので、価格設定としては適切と思われます。」




うーん、割に合わない……ような気がする。


 

 


「なるほど……じゃあ、魔物の調査依頼の詳細も教えてもらっていいですか?」



 


「承知しました。実は街から5kmほど離れたところに廃村があるのですが、そこにスケルトンの出現報告があります。実際にスケルトンが出現するかを調査するという依頼になります。報酬は金貨2枚になります。」




「調査するだけですか?」





「出現の有無、あとはおおよそ何体くらい出現するかを調査するだけで大丈夫です。一応、殲滅した場合のインセンティブ報酬も設定されており、そちらは追加で金貨5枚になります。討伐いただいてもいいのですが、スケルトンは大量発生することもありますので、まずは調査のみをおすすめします。」




インセンティブを併せると金貨7枚か……ありだな。




「なるほど……アズサさん、一旦はスケルトンの討伐を請けようと思いますがいいですか?」




「スケルトン……って骸骨の魔物だっけ?気持ち悪いけど……まぁいいわ。」




「アンジュさん、それではスケルトンの依頼を請けようと思います。」




「一点確認させてください。もし討伐も考えてらっしゃる場合、物理攻撃が効きにくい魔物となります。魔法攻撃が推奨されますが、お二人はお持ちでしょうか。」


 


あ、そうなんだ。魔法を覚えておいてよかった。




「大丈夫です。僕もアズサさんも使えますので、問題なく倒せると思います。」




「それでは大丈夫ですね!それでは魔物の調査をご依頼させていただきます!」



アンジュさんからは、廃村の位置が分かる地図をもらい、正式にこの依頼を請けることになった。

ちなみにスケルトンの討伐証明ってどうするのかが気になったので聞いてみたところ、Dランク以上に指定されている魔物には体内に存在する魔石を持ち帰ることが討伐証明となるらしい。

耳を切り取らなくてもいいのは良かった。慣れたとはいえ、気持ち悪いことには変わりない。

 


 

「お伝えし忘れていましたが、もし白色以外のスケルトンの見た目の魔物が現れたら必ず逃げてくださいね。色以外は同じに見えますけど、強さは別物で、高位の魔物になりますので命に関わります。」



へぇ……そうなんだ。

僕は強い魔物と戦いたいけど、アズサさんがいるから気を付けないといけないな。

 

 


「分かりました。気を付けるようにします。ちなみに調査結果についてですが、報告内容が合ってるかどうかって、どうやって判断されるのですか?僕らが嘘を報告する可能性ありますよね?」



「あ、あんた何言ってんの? よ、余計な事いわないでよ。嘘報告するって思われたらどうするのよ! アンジュ、私たちはそんなつもりはないわ。」




「いえ、大丈夫です。ギルドには真偽官しんぎかんがいますので、問題ありません。」




「『しんぎかん』……ってなんですか?」




「ご存知なかったのですね。真実を言っているか、嘘を言っているかを見分ける者です。高位のスキルを使用して判断しますので、まず間違いなく見分けることができますので、その点は問題ないです。」



 

「ふーん……でも、その真偽官の判断が正しいかはどうやって確認するんですか?」




「どういうことでしょうか?そのような確認はありません。」




「いや、真偽官が嘘の判断結果を報告するかもしれないと思ったので……それだとその真偽官の裁量次第じゃないですか?」




「いえ、真偽官は嘘を言いませんよ!ご安心ください!」




ほんとに??絶対言わない??

怪しすぎるんだが……



 

「ちなみに調査依頼で嘘の報告をした場合はどのような罰則があるんでしょうか?」




「一概には言えませんが、罰金や冒険者資格停止、一番重い罰則では懲役刑になりますね。」




隣にいるアズサさんを見ると青ざめている。

この人もしかして、適当なこと言って依頼を終わらせようとしてたのか?


 


「へぇ……僕らはそういうことしないんで関係ないですけどね。それでは行ってきます。」




「お気を付けていってらっしゃいませ。」




懲役??怖すぎるよ。

真偽官には嫌われないようにしよう。

絶対だ。



 

「アズサさん、嘘はダメすよ?分かってますよね?」




「う、うるさい!」

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