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27 サタより優秀

翌朝の目覚めは最悪だった。




頭がガンガンするし、胸焼けもしている。

完全に飲み過ぎだ。




今日は依頼をこなして報酬をもらわないといけない。

本当にお金がなくて、今も節約のためアズサさんと同室で泊まっており、僕の寝床はソファーだ。

そろそろベッドで寝たい。



 

まぁゴブリンの巣の殲滅の依頼分だけ、先に貰うこともできるはずだが、まとめてお金をもらってから今後のことを考えたい。

今日はぱっと終わらせて、ゆっくり過ごしたいものだ。




そろそろアズサさんを起こさないと……と思っていたらどうやら目覚めたようだ。



 

「あんたも起きてたのね……」




「アズサさん、意外と早く起きましたね。よく眠れましたか?」




「全然……気分は最悪よ……もう当分飲みたくないわ……」




まぁ僕よりもかなり飲んでたから当然だろう。

でも表情が元に戻ってるので、安心した。

あの無表情のアズサさんは怖ったからな……




「今日は早く依頼を終わらせて、ゆっくりしましょう。」




「そうね……」






僕らは支度を済ませて依頼元の村に訪れ、コボルトの巣まで案内してもらった。

コボルトは自分以外の種族や家畜を襲い、食べることで生き長らえており、弱い人間や家畜が標的となりやすいみたいだ。

そして依頼元の村が標的になってしまい、ギルドへ討伐の依頼をし、僕らが出向いたという経緯であった。




コボルトの強さはゴブリンと同じでDランクだ。

しかも今回はおおよそ10頭程度がいるという報告だったので、ゴブリンの依頼よりも数が少ない。

僕らに依頼するまでのものなのだろうかと疑問に思ったため、村人に尋ねてみた。



ゴブリンよりも多くの数で群れて行動し、さらに段違いのスピードらしい。

単体であればなんとか村人だけでも対処はできるかもしれないが、群れを相手にするとゴブリンと同ランクとはいえ、小さな村では対処が難しいということだった。




どれだけのスピードなのだろうか。

サタに言わせれば雑魚みたいなので、多分大したことはないんだろう。




でも初めて戦う相手なので楽しみである。




「やっとゴブリン以外と戦えるので良かったですよね。結構楽しみじゃないですか?」




「は?あんた頭おかしいんじゃない?なんで魔物と戦うのが楽しみなのよ。」



 

「いや、ゴブリンと戦って吐いてたんで、他の魔物の方がいいかなぁって思いまして……」




「吐いたことは忘れなさいよ。普通、その話題は触れちゃいけないって分かるでしょ。だからあんたはモテないのよ。」




モテないなんて言ってないんだけど……

まぁ今までモテたことは一度もないが……




「私はゴブリンが嫌な訳じゃないの。魔物と戦うのが嫌なの。楽しみ?怖いに決まってるじゃないの。」




うーん……

結構後半はノリノリでゴブリンを殺してたような気もするけどな。まぁ触れないでおこう。



 

「魔物が怖いのは分かりました。でもやりますよ。僕らはパーティなんですから。」




 「それは分かってるわよ。でも好きでやってる訳じゃないってことを言いたかっただけ。はい、この話はもうおしまい。」




 「分かりましたよ。じゃあそろそろ行きますか。」



 

巣の前で待ってみてもコボルトは一切出てくる気配がない。

このままでは時間がもったいない。




「そうね。多分だけど巣のずっと奥にいると思う。近くにはいないわ。」




「なんで分かるんですか?」



 


「あんた私のスキルを忘れたの?」



 


「あ、そっか。探知のスキルか。敵の位置まで分かるんですね。」


 


 

「うん。でもあくまでも『多分』くらいね。合っている保証はないわ。」




 

「これで当たりだったら、かなり有用なスキルですね。期待してますよ。」



 

「あんまり期待しないで。外れた時にダサいから。」



 

期待しかしてない。

自分から口にするってことは結構自信があるんだろうと思ってる。




「分かりましたよ。じゃあ、奥に行きましょう。もし魔物が近づいてきたとか分かったら教えてください。全然勘でもいいです。」




「分かったわ。」





 


僕らは洞窟の中をしばらく歩いていた。




道中に骨や食べかすのよう肉が転がっているのを何度も見かけた。

人の骨だろうか。アズサさんはそれを見るたびに気分の悪そうな表情を浮かべていたので、僕は無言で歩いた。

触れない方がいいのだろう。




「あ」




「どうされましたか?」




「多分、近くにいると思う。結構数も多そうな気がする。」




「有難うございます。注意しましょう。」




「(サタは何か感じるか?念のため確認させてくれ。)」




【うむ。その女の言う通りじゃ。近くに気配がするの。】




「(そっか。じゃあ当たりだな。洞窟に入る時から分かっていたのか?)」




【いや、あの時は分からなんだ。気配を感じる能力に関しては、その女が優れているようじゃな。】




サタよりも凄いのか。アズサさん、本当にすごいな。

これは本当に仲間にして良かったな。




【主よ、戦闘に関しては我の方が上じゃぞ。足元にも及ばんぞ。】




「(分かってるよ。張り合うな。)」



 

「あんたどうしたの?一人でブツブツ言って……大丈夫?」




「あぁ。すみません。ちょっとボーっとしちゃってました。気合い入れていきますね。」




「はぁ。ちゃんとしてよね。」




サタとの会話が声に出てしまっていたようだ。

声に出さずに会話って難しいな……

とりあえず戦いに集中しよう。




僕は十分に注意しながら先導して歩く。

洞窟はうねったような道になっており、前方が見えづらい状況なので、より警戒が必要になってくる。



まだかな……そう思った時。




ガッ



キンッ


 


僕は襟元を引っ張られ後ろに投げ飛ばされた。




「あんた、ちゃんとしろって言ったじゃない。リーダーでしょ?」




何事かと前を向いたとき、さっきまで僕が歩いていた場所は、オオカミの顔をした魔物がちょうど剣を振り下ろしていた場所であった。

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