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25 ゴブリンの巣、再び

力と防御は強くはないと思う。

とは言えアズサさんのレベルはまだ2だ。

初心者卒業の平均数値が100と聞いていたから、レベル2にしてはいいように思う。




何と言っても敏捷性と魔力だ。

魔力なんて300を超えてる。

僕の方が魔力は高いけど、サタがいるおかげだ。

他の人からすると、チートだと思う。

アズサさんは種族が人間となっているし、僕とは違うだろう。

才能の塊かもしれない……




運に至っては87……

めちゃくちゃ高い……

僕なんて運は3しかないんで、羨ましすぎる……




「私、そんなに能力高いの?」




  

「他の人のステータスを見たのは初めてですけど、多分高いと思います。初心者卒業の目安の能力値って平均100らしいです。アズサさんはレベル2なのに、もう初心者卒業してますよ……」




「え⁉そうなの⁉全然知らなかった……じゃあ、ヒロキより私の方が強かったりして?」




「それはないです。僕のステータスも見せますよ。」





――――――――

冒険者ランク: E

名前: ヒロキ

レベル: 3→7

種族: 魔人

STR(力): 350→800

VIT(防御): 300→700

AGI(敏捷性): 400→850

MP(魔力): 530→1100

LUK(運): 3→3

魔法属性: 炎

〈スキル〉

肉体強化

疲労回復

回避(new)

――――――――



 

もちろん種族が魔人ってことは隠して、それ以外の能力は全て伝えた。

僕が人間であると思い込んでるようなので、種族を伝えなかった点については特に突っ込まれなかった。





「え⁉強すぎじゃない⁉これで私が才能あるって言われても、全然説得力ないんですけど……」





「僕の能力は特殊っぽいので、あんまり参考にしないでください。アズサさんの能力が高いのは間違いないと思うので、そこは信じてください。」


 


アズサさんはあまり納得いってなさそうだが、信じてもらうしかない。

 


 

アズサさんの言っていることはごもっともで、僕の能力はかなり高い。

レベルがまだ10にも届いてないが、そろそろ中級者を卒業しそうなところまで能力が上がっている。

まぁサタのおかげでステータスが高いだけなので、僕と比べられても困る。



 

でもそれにしてもアズサさんは能力がかなり高いよな……




「(アズサさんの魔力値が結構高いみたいなんだが、サタみたいな悪魔が宿ってるってことあるか?一応、種族は人間らしいんだが)」




【いや、完全に人間だ。間違いないぞ。異世界から来たものは、総じて魔力を多く有していると聞いたことがある。その影響かもしれん。】




「(なるほど。俊敏性も高いみたいみたいなんだが、これも異世界の影響か?)」




【それは聞いたことがない。恐らくこの女の元からの才能じゃな。ちなみに主の能力は、我のチカラがなければ、魔力も含めて全てにおいて才能はゼロに等しかった。我に感謝するがよい。】




「(うるさいよ。感謝はしてるけど、僕の才能については聞いてないし、一言多いよ。)」




サタいわく、アズサさんは才能があるみたいなので、安心した。

予想外の掘り出し物だな。



 

「じゃあ、今からゴブリンを相手に頑張りましょう。僕がやっても相手になりませんので、アズサさんに譲ります。」




「は⁉譲るってなによ。元はと言えばあんたが請けた依頼でしょ?」




「今は共同で依頼をこなすんですよ。パーティなんで。あとアズサさんはレベルが低すぎるので上げないとだめでしょ。今までサボってたからです。」




「サボってた訳じゃないわよ!いきなりゴブリンなんて怖いし……」




「ゴブリンより弱い魔物なんてほとんどいないですよ……危なくなったら僕が助けますけど、アズサさんの能力なら余裕です。」




「そ、そうかな……」




「はい、頑張ってください。期待してますんで。じゃあ行きましょう。」


 


「うん。任せて!私の能力を見せつけてあげるわ。」



 

ちょっと褒めるとやる気を出しているみたいである。

別に事実を言っただけなんだが、嬉しかったみたいだ。






しばらくして依頼元の村に到着し、前回と同様にゴブリンの巣まで案内をされる。

今回はさらわれた人がいないみたいなので、殲滅のみに集中できるな。



 

ゴブリンの巣は洞窟の中にあるのだが、洞窟から1体のゴブリンが出てきてうろうろしている。

ちょうどいいな。




「アズサさん、1体出てきています。あれ、お願いしますね。」




「お願い?」




キョトンとして表情で僕を見ている。

察しが悪すぎる……



 

「あれ、殺してきてください。お願いしますね?」




「え、私が⁉」




「アズサさん以外に誰がやるんですか。」



 


「いきなりは難しいわよ。最初にお手本見せてくれない?ね?」



 

 

「ダメです。今1体しかいないんで、ちょうどいいでしょ。はい、これでお願いします。」




ギルドから借りているナイフをアズサさんに渡した。




「えー……ほんとにやるの??」




「パーティ解散しますか?別に僕はいいですよ。」




 「やります……」




しぶしぶアズサさんは納得したみたいで、1人でゴブリンに近づいていった。

ゴブリンに見つからないようにこっそりこっそり行動している。

さすがスキルで隠密をもっているだけあって、身のこなしがただ者ではない。



  


凄いな。

僕にはできない芸当なので、見直した。



 

ついにアズサさんはゴブリンの背後に気付かれないまま近づき、首をナイフで掻っ切った。

ゴブリンは倒れ、ピクリとも動いていない。どうやら絶命させたようである。


 


かっこいい!


 


殺したゴブリンを見下ろすように突っ立っているアズサさんの元まで、僕は駆け寄った。


 


「アズサさん、凄いじゃないですか。めっちゃかっこいいです!強いじゃないですか!」




僕は本心を伝えた。

本当にかっこよかったのだ。




「ヒロキ……」




「パーティ解散とか嘘ですよ。さっきはすみません。これからも宜しくお願いしますね。」


 


僕はちょっと言い過ぎたところがあった。

反省しないといけないな。


 


「もうだめ……」




「え?」




ゲロゲロゲロゲロ……




アズサさんは、吐いた…………

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