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20 追加依頼

僕は自分の無力さをひしひしと感じ、茫然と立ち尽くしていた。




だが、いつまでもここにいる訳にいかないので、檻に入れられている女性を助けるために檻を壊した。




女達は泣きながら僕にお礼の言葉を述べていた。

どんなひどい目に遭ったのかはあえて聞いていないが、相当に怖い思いをしたのだろう。




「もう大丈夫だ。この巣にいるゴブリンは全て殲滅した。あとは村に帰るだけだ。村までは僕が守るが、今は歩ける状態だろうか?」




全員を抱えて歩ける訳ではないので皆に聞いたところ、怪我はしているものの皆歩ける状態みたいだった。




「では、帰ろうか。」



 

僕は亡くなった1名を抱え、洞窟の出口へと女達を誘導した。







しばらく歩くと、洞窟から出ることができ、出口付近には洞窟まで案内してくれた男が立っているのが見えた。




「ミナ!」



その男は、一緒に洞窟から出てきた女性に駆け寄り、涙ながらに抱きしめていた。

その女性も泣きながらその男を抱きしめ返していた。



 

どうやらこの男が好きと言っていた女性は、助けることができていたみたいだ。




「冒険者さん。ミナを助けてくれて有難うございます。最初は疑ってすまなかった。本当に有難うございます。」


 


男は心を落ち着かせたのか、僕にお礼を言ってきた。



 

「あなたの大切な女性を助けることができて良かった。ただ、1名救出が間に合わなかった女性がいる。せめて村までは帰してやりたい。」




「死んだ者がいるんですね……村に帰りましょう。俺が村まで案内します。」






男について行き、再びカタン村の村長に会い、顛末を報告した。




「ゴブリンの巣は殲滅しました。あの巣にいるゴブリンからの被害は今後ないと思います。攫われた女性について、5名は救出できましたが、1名は既に亡くなっておりました。間に合わず申し訳ない。」




「そうでしたか……殲滅だけでなく、5名を救出いただき誠に有難うございます。1名亡くなったのは村長として残念ですが、あなたのせいではありませんので、お気になさらないでください。本当に有難うございます。」




「分かりました。それでは私はギルドに完了報告を行いたいと思いますが、殲滅できたかの確認をお願いしたいと思いますので、代理でもいいので私と一緒に洞窟内の確認作業をお願いします。」




 「分かりました。村の者を数名派遣します。討伐証明としてゴブリンの耳を切り取る必要があると思いますが、村の者からも手伝うようにします。今回の件は、村として大変感謝しております。それくらいはさせてください。」




「手伝っていただけるのは大変助かります。それではお願いします。」




その後、村の方との確認作業を終え、殲滅完了のサインを村長からもらった。

また討伐証明である耳の切り取りも終えた。






僕はアンジュさんに報告をするため、ギルドに帰って来た。




「ヒロキ様、もう戻って来られたのですね。もしかしてもう依頼完了ですか……?」




「はい。依頼は完了しました。完了の手続きをしたいのですが、大丈夫でしょうか?」




「早すぎますよ……ゴブリンの巣の殲滅依頼でここまで早く終えられた方は初めて見ました……分かりました。それではお手続きいたしますのでこちらへどうぞ。」


 


案内された個別ブースで、完了のサイン入りの依頼書と、討伐証明をデスクに出した。




「え、これは……ゴブリンは何体いたのでしょうか……?20-30体と…………事前に報告されていましたが……」




「ゴブリンが63体と、ゴブリンメイジが13体いましたね。」




「そんなにいたのですか⁉報告と乖離があり、大変申し訳ございません……」




「いえいえ、弱かったので、全然問題ないですよ。」




ゴブリン程度であれば、何体いても全く問題ないだろう。

ただ強い魔物になってくると問題も生じる可能性があるので、ギルドからの事前情報はあまり当てにしない方がいいかもしれないな。




「そう言っていただけると助かります……それでは早速確認させていただき、報酬をお支払いいたしますね。」




確認の結果、全て受理され、報酬が支払われた。

ゴブリンは1体につき銅貨1枚だが、ゴブリンメイジは銅貨1枚みたいだ。


巣の殲滅が金貨1枚なので、報酬合計は金貨1枚、銀貨8枚、銅貨9枚である。日本円にすると18900円。

1日の稼ぎとしては結構いい方だろう。




「あと、ヒロキ様……本日お伺いしてました依頼のリストアップはある程度できているのですが、お店のリストアップがまだ完了しておらず……」




「全然大丈夫ですよ。今日はまだお金も貯まっていないので、お店については明日以降で大丈夫です。」



 

まぁ頼んだばかりだし、時間もなかったので仕方ないだろう。




「では追加依頼のリストだけ見せて貰えますか?」




「有難うございます!それではリストをご覧ください。」




リストを見てみると、ほとんどがゴブリンの巣の殲滅依頼だ。




「ゴブリンの巣ってこんなに多くあるんですか?」


 


「ゴブリンは繁殖能力が高いので各地で巣がどんどん作られます。Eランクの依頼の中では、報酬が高い依頼の一つです。」




「なるほど……」



なかなかゴブリンの巣というのはやっかいなものなんだな。



あと気になるのは、リストの中で最も報酬の高い依頼として、コボルトの巣の殲滅というものだ。

コボルト……聞いたことあるが、何だっけ……




「すみません。コボルトってどんな魔物でしたっけ?」




「コボルトはオオカミの顔をした二足歩行の魔物です。強さとしてはゴブリンと同ランクですが、ゴブリンよりも素早さに長けた魔物です。」



「オオカミの顔ですね。分かりました。」




なるほど。ゴブリンと同ランクだが、戦ったことがないので、一度経験しておこう。




今リストにある依頼は、ゴブリンの巣の殲滅依頼が5件、コボルトの巣の殲滅依頼が1件である。




「アンジュさん、請ける依頼を決めました。」




「どちらの依頼にされますか?」



 

「全部ですね。」




「え?」



「この依頼全部受けます。」



「え?」

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