18 新たな依頼
ギルドに足を踏み入れると今日は人が多く盛況のようだ。
受付には多くの人が並んでおり、アンジュさんの列にも多くの人が並んでる。
自分の順番に回ってくるまで結構時間がかかるだろうなと憂鬱な気分になっていたのだが、
「ヒロキさーん!」
アンジュさんがこちらに手を振っている。
それに気付いた冒険者は、アンジュさんの目線の先を追うかのように僕に視線を向けた。
ややこしいことになりそうなので、僕は無視して、自分のことじゃないかのように立ち去ろうとしたのだが、アンジュさんがこちらに駆け寄ってきた。
「なんで無視するんですか!」
僕の腕を掴み、少し怒ったかのように頬を膨らましている。
僕を見ている冒険者の目つきが鋭くなる。
男の冒険者限定のようである。
死ねという声もどこからか聞こえてくる。
本当に勘弁して欲しい。
「僕はあまり目立ちたくないんですよ。あまり僕と親しい感じで接しないでくださいよ。というか、さっき受付対応していた冒険者を放って置いてこちらに来てもいいんですか?早く戻った方が……」
「大丈夫です。他の職員に押し付けて来ましたので!私の唯一の指名受付契約なので、ヒロキ様が誰よりも優先です!ぶっちゃけ他の冒険者はどうでもいいんです。さぁさぁ、こちらにどうぞ!」
そう言われながら個別ブースに案内された。
他の職員に押し付けて……
この子大丈夫かよ……
「本日はお越しいただき有難うございます。仕事の依頼をお探しですよね?」
「あ、そうです。」
「ヒロキ様はEランクに昇格されましたので、前回よりも報酬も高い依頼が増えております。どんな依頼をご希望でしょうか。」
「そうですね。今、手持ちのお金が少ないですけど、報酬が1番高い仕事ってどれになりますか?出来ればホブゴブリンよりも強い魔物を討伐できる仕事が嬉しいです。」
「残念ながらホブゴブリンはDランクに指定されてますので、Eランク冒険者のヒロキ様が受けることができる依頼にないですね……前回あれだけ討伐されてましたので、ヒロキ様であれば簡単に討伐できると思うのですが……」
「やっばりそうですよね……」
「強い魔物を希望される理由をお伺いしてもいいですか?」
「くだらない理由なのですが、強い敵と戦って自分の力を試したいんです。ゴブリンやホブゴブリンでは弱すぎて……」
「そういうことでしたら、1番報酬が高い依頼としては、ゴブリンの巣の殲滅依頼がございます!Eランクの魔物しか出て来ませんが、多くの敵を同時に相手する必要がありますし、ゴブリンメイジという魔法を使う魔物がいると報告もありますので、少しは手応えがある相手になるかもしれません。巣の殲滅の報酬が金貨1枚で、討伐数に応じた追加報酬もございます。ただこちらの依頼は通常、複数名のパーティを組んだ冒険者の方にお勧めしております。」
魔法を使う相手は、まだ見たことがないので確かに良い依頼かもしれない。
「確かに報酬もいいですね。ゴブリンの巣って、ゴブリンが何体くらいいるんですか?」
「実際、巣に入ってみないと分からないのですが、報告によると20-30体程度となっております。」
うーん……20体程度なら同時に相手にするといっても、すぐに終わってしまうだろう。
でも、ルール上、僕のランクではこれ以上の依頼はない訳だし、仕方ないだろう。
「分かりました。それではこの依頼を受けることにします。あと、この依頼はすぐに片付くと思いますので、私のランクで請けることができる依頼で、今回と同等以上の依頼を次回以降のために探しておいてもらえますか?早くDランク冒険者に昇格したいですので。」
「分かりました。依頼を請けて下さり有難うございます!依頼の詳細もご説明しますね。次回以降の希望の依頼も必ずお探しします!」
今回の依頼の期限は3日以内であり、場所も地図で教えてもらった。
何やら近くの小さな村人がゴブリンにさらわれるという被害にあったらしい。
その村の村長に一度話を聞いてから、ゴブリンの巣に向かうのが良いとのことだ。
早く被害をなくすためにも、早めに行ってあげよう。
「すぐに向かいますね。あと依頼が終わりました、すぐに戻ってきます。武器や防具や私服を買いたいと思ってますので、お勧めのお店をリストアップしておいて欲しいです。」
「分かりました!必ず用意しておきますね。」
「あと一点、調べておいて欲しいんです。これが一番重要なんです。」
「何でもお申し付けください!」
「お風呂に入る方法を調べて欲しいです。」
「え?」




