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15 昇格

完全に忘れていた。





まずい。

僕たちは今日は薬草採取がメインだ。

魔物討伐はオマケである。





魔物の討伐する方が薬草採取より稼ぎは良いので、稼ぎだけ重視するならば薬草採取の依頼は達成出来なくても良いかもしれない。




でも初仕事でオマケにだけに目を向けて、メインの依頼を無指するのは社会人としてダメだろう。

まぁ僕は人じゃないが……





とりあえずクラル草を採取しないと……

というか、今僕はどこにいるんだろう。





魔物を探すのに夢中で完全に道に迷ってしまった。





そこから、僕はクラル草を探し回った。





無事、群生地見つけることができたが、見つけたときにはもう陽が落ちそうだった。




依頼は内容は、

薬草採取としてクラル草10本で銅貨5枚、100本採取した場合は銀貨6枚、である。



 

とてもじゃないが100本なんて採取できないので、最低ラインの10本だけを採取して、ギルドに向かうことにした。




「やっと終わった……帰るか……」




10本だけとはいえ、意外と時間がかかった……

根を痛めないように採取するのがかなり面倒くさい。




こんなの100本なんてやってられないな……

報酬が割に合わない。




今後はこの依頼は請けないでおこう。






仕事を終え、ギルドに到着したときには外は完全に陽が落ち真っ暗だ。




早く報酬を貰って食事をしたい。

お腹が空いた……




仕事を請けたときの受付のお姉さんがいたので声を掛けた。




「すみません。請けた仕事が終わりましたので報告に来ました。」




「あぁ昨日の方ですね。お仕事お疲れ様です。それではギルドカードの提出をお願いします。」




僕のことは覚えてるのか。

まぁ最後は呆れていたから印象に残っていたのかも。




ギルドカードを提出すると、お姉さんはカードをセットする台に置いた。




「クラル草の採取ですね。それでは採取したクラル草のご提出もお願いします。」




僕は魔法による収納スペースから取り出し、お姉さんの目の前に置いたのだが、なぜかお姉さんの顔が固まっている。




「どうかされましたか?もしかして、これクラル草ではないですか……?」




間違って採取してたら最悪だ……




「いえ、そうではなく……今、クラル草を取り出した方法なのですが、魔法ですか……?」




「はい。魔法で収納してました。」




「……」




お姉さんが考えごとをしている。


 


あれ、何かおかしいのだろうか。

初歩的な魔法ってサタが言ってたよな?




「失礼しました。魔法による収納は高ランクの冒険者が使える魔法ですので、昨日登録されたばかりのヒロキ様が使われていたことに驚いてしまいました。素晴らしい魔法の才能があるのですね。」




「え……高ランクの冒険者ですか?初歩的な魔法ではない……ですか?」




「とんでもないです。魔法適正だけでなく、魔力も必要になってきますので難しい魔法です。Fランクの冒険者で使えるなんて聞いたことないですよ。」





「そうなのですね……」




サタ、嘘つき!

全然聞いてた話と違うぞ!




【知らぬ……人間共の才能が乏しいのが悪いのじゃ。我は悪くない。】




サタは言い訳が脳内で聞こえてくる。

まぁサタを言うことを簡単に信じた僕が悪いな。

これからは気をつけてよう。




「ヒロキ様、それではご提出いただいたクラル草が本物かを念のため確認しますので少々お待ちください。」





「分かりました。あと、魔物も討伐したのですが、討伐証明の耳は今提出すればいいでしょうか?」





「はい。併せて確認しますのでご提出ください。」




僕は魔物の耳を全てお姉さんの目の前に置いた。





「……」





またお姉さんが固まっている。





「あの、何か問題があったでしょうか?」





「すみません。ヒロキ様、これは何の魔物でしょうか?ヒロキ様が討伐されたのですよね……?お一人で?」




「はい。ゴブリン53体と、ホブゴブリン35体です。僕が1人で討伐しました。」




まぁ、サタのチカラは借りてるけど…




「えっと……ちなみにどのように討伐されたのでしょうか……?」





「えっと……胴体を殴ったら……死にました。何か問題があったでしょうか。」




「問題というか……ヒロキ様は何者でしょうか……?通常、Fランク冒険者が単独でホブゴブリンを討伐するというケースはあまり聞かないので……あと討伐数も異常ですので……」




あ……やりすぎたのかも……

確かにホブゴブリンはDランクの強さって図鑑に載っていたな……




「たまたま、勝ててしまいまして……運が良かったんだと思います……」




「殴るだけで討伐するというのは、運が良いだけでは説明がつかないですよ……それはまぁいいです。討伐証明の件、分かりました。全て確認しますね。そちらの椅子にお掛けになってお待ちください。」




待合室の椅子に誘導され、お姉さん奥の部屋へと消えていった。




「サタ、やりすぎたのかもしれないな。」





【主よ。気にするな。あのような雑魚を気にしていては、いつまで経っても強い魔物と戦えないではないか。もっと強い魔物は山ほどいるぞ。】




まぁそうかもしれないが……あまり目立ちたくはないからな……



 



 

しばらく待機していると、お姉さんが戻ってきた。




「お待たせしました。ご提出分は全て問題ございませんでした。薬草採取分が銅貨5枚、魔物討伐分が銅貨228枚になります。金貨と銀貨に交換もさせていただきましたので、金貨2枚、銀貨3枚、銅貨3枚をお渡しいたしますね。」




「ありがとうございます。」




「あと、今回の魔物討伐で、貢献ポイントが溜まりましたので、ヒロキ様はEランクに昇格です。おめでとうございます。」




え、まだ一回しか依頼を受けていないぞ……




「そんな簡単に昇格できるものなんですか……?」




「いえ、通常はあり得ないのですが、自身よりも上のランクの魔物を今回は多数討伐されましたので、異例の昇格となります。」




「そうなのですね……昇格の件、分かりました。ありがとうございます。」




昇格の件はよく分からないが、気にしていても仕方ない。

それよりも、ようやく一文無しから卒業できる。

早く食事をして、宿を探そう思い、席を立とうしたとき……




「あの!ヒロキ様にご相談なのですが……」






「はい?どうされたのでしょうか。」








「私と指名受付契約を結んでいただけないでしょうか。」

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