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13 無料宿場

受付のお姉さんが呆れる中、僕はギルドを後にした。




さっそく薬草採取をと思ったのだが、外はもう陽が落ちており、薬草を見つけるどころではない。




 

仕方ない。今夜は無料宿場に泊まろう。





無料宿場は探したところ、すぐに見つかった。

だが……





「ここに泊まるのか……」




さすがは無料だ。

ボロボロの平屋の中に大部屋があり、多くの人が集まっており、もう寝ている者もいれば、酒を飲みながら談笑している者もいる。空きスペースはほとんどない。

そこに集まっている者の身なりは、まぁ汚い…

あと、なんといっても部屋がとてつもなく臭かった。

ここに雑魚寝するのか……




【主よ。ここに泊まるのか?】




「泊まる……よ……」




【正気か?こんなゴミどもと一晩過ごすなど無理じゃ。我の魂も汚れるわ。】




「仕方ないだろ。お金がないし、野宿よりはマシだろ。」




【こやつらを全員を跡形もなく消滅させるのはどうじゃ?部屋を主ひとりで快適に使えて良いだろう。我のチカラがあれば、こやつらなどすぐに消し去れるぞ。名案じゃろ。】




「却下だよ、バカ。無茶苦茶言うな。早く寝て、朝早くに出るぞ。」




【バカと言ったか。我を敬えと言うておろうが。】




サタがうるさくこの後もごちゃごちゃ言ってきたが、無視だ。

さっさと寝よう。

 



翌日、まだ陽が昇り切る前に僕は宿場を出た。




いやぁ……キツかった……

強烈な臭さ、隣で頻繁に寝返りをうつ汚いおっさんと肌が触れ合う気色悪さ……

なかなか眠りにつけなかった。




「今日はまともな宿屋に泊まろう。」




【だから嫌だといったのじゃ。】




「すまない……でも無闇に人間に危害を加えるのはダメだぞ。僕らが敵対するのは魔物に対してだ。人間同士は極力穏便にいくのがいいんだ。」




【人間同士じゃと?主は人間ではなく魔人じゃ。いつまで人間気分なんじゃ。主はもはや魔物みたいなものじゃ。】




そうだった。

俺はもう人間じゃないんだな。

でもサタに揚げ足をとられるのは腹が立つ。


 


「うるさい。早く行くぞ。」





教えてもらった薬草の群生地に向かいしばらく僕は歩いていた。




10km歩く必要あるって聞いてたけど、結構遠いよな。




あまり眠れなかったこともあり、僕は疲れていた。




「ちょっと休憩だ。」




【主よ。もう休憩するのか。ちょっと早すぎるぞ。】




「いいんだよ。寝不足だし、それに昨日から何も食べてないから、お腹も空いているんだ。ちょっとらくらい許してくれ。」




本当に腹が減った。

今日は報酬をもらって美味しいご飯を食べたいな……

そういえばこの世界の食事ってどんなものか気になるな。




そんなことを考えているとき、受付のお姉さんから魔物図鑑をもらったことを思い出した。




借りた袋から図鑑を取り出し、中身を眺めてみる。




ゴブリン、コボルト、スライム、オーク……などなど。




漫画でよく見る魔物だな。

魔物の名前とイラスト、強さのランクがそれぞれ載っていた。

随分親切だな。




僕が殺されそうになった相手も載っていた。

ゴブリンは知っていたが、筋骨隆々な化け物はホブゴブリンというらしい。




ゴブリン: 強さランク E

ホブゴブリン: 強さランク D




あの化物でさえDランクなのか。

魔物の中では弱い部類なのか……

サタのおかげで強くなっているとはいえ、油断は出来ないな。



でも今回はコイツらなら倒せる自信がある。

小遣い稼ぎをさせてもらおう。




「そろそろ行こうか。」


 


サタに伝えるように呟き、立ち上がろうとしたとき、




【主よ。】




「どうした。」




【現れたぞ。】





「何がだよ。」





【前方をよく見るがいい。】




サタの言う通り、前方を見ると、確かにそいつらはいた。




こんな何もない平原にも普通にいるんだな。

確かにギルドのお姉さんも稀に現れると言ってたけれど。




でも現れてくれて僕はラッキーだ。

LUK3というのは、何かの間違いかもしれないな。


 





「じゃあ小遣い稼ぎでもするか。」

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