碧の機械夜
海渡と碧の男二人と弥生の女一人の三人組が学校に侵入した。
三人は今日、科学準備室にある本をもらってこようと話になり肝試しがてら学校に潜入した。
学校の科学準備室に入りと一つだけ科学の先生の趣味である本が大量に置いてある棚を見つけた。
その本の中に一つだけ先生の名前である田中江流と書かれた本を見つけた。
本を取り出すと科学準備室の本棚が動き出した。
本棚が隠していたのは扉だった。
扉は引戸だと思って左に動かすが違くて自分の方に引くと扉が開いた。
扉の先には一つの木箱を見つけた。
不思議に思いながらも三人は木箱を開けてみると中には得体の知れない碧いボタンがある少女がいた。
青いボタンを押す。
ボタンが赤く光り少女の目が輝く。
碧目が輝く少女が言う。
「ご主人様、私は誰なのでしょう。」
異様に碧白い姿をした赤いボタンを持つ少女に疑問を感じていた男二人とは裏腹に女の一人は少女の元へやって来た。
「恵、君の名前は恵だよ。いい名前でしょ。」
満面の笑みで少女を見た後男達にその笑顔を見せつける。その笑みは晴天の霹靂だった。
海渡は少女に嫉妬した。
「海渡は恵よりも悪魔デビルが似合うと思う。」
「それなら恵で似合ってるじゃないのよ。悪魔からはなにかを引き換えにすれば恵をもらえるのよ。」
海渡は弥生が少女が悪魔でも恵でもあると言ったため意味がわからなかった。
「海渡は弥生の行ってる意味がわからない。」
「私が言いたかったのは……。」
弥生がどう表現したかったのか気になって弥生の言葉を待つが弥生は言葉に詰まっていてムズムズする海渡。
「悪魔も恵も誰かの善意があってそれを悪く表現するか否かの違いってことだ。わかったか海渡。」
「……なんとなく。」
恵と悪魔が善意と疑問を抱く海渡。
「ご主人様、私は恵なのですか。」
「ええ、あなたは恵よ。」
どこか危なそうな少女と弥生を見て胸がズキズキする海渡。
「離れろ、弥生。」
「なにを言っているのよ海渡。」
碧と弥生は海渡の言葉に驚いた。
「弥生、碧。恵を海渡に育てさせて。」
海渡は恵に感じる感情から自分の夢でもある人のような機械を作りたいと思った。
それは田中江流先生の夢でもあったのかと思ったが先生ではなくここから先は自分が叶えるんだと海渡は思った。
弥生と碧は海渡の気持ちが理解できなかった。
「何でよ。」
「そうだなんでだ海渡、教えろ。」
海渡は二人の迫力に負けて本心を言うことにした。
「弥生より海渡の方が少女のことはわかる。少女は海渡が育てる。この少女に海渡の夢を託す。」
「大きく出たな、海渡。その責任の重さを理解しろよ。」
「わかってる、頑張ってみるから……。」
碧を見て頑張る以上の答えを言えなかった。
育ててこの少女を立派な人にするからと言う言葉を心にしまう海渡。
弥生はなぜか涙を流していたが碧に託して恵を連れ帰ることにした海渡。
海渡は恵に自分の服をプレゼントした。
後で恵用に服を買わないとと海渡は思った。
「ご主人様にはいつ会えますか。」
「しばらく会えない。しばらくの間は海渡と一緒にいてもらう。」
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。」
「嫌だと言われても……わかった会わせるから。」
「やったー。ありがとう……えっと誰。」
「海渡は海渡。」
「海渡、よろしく。」
「よろしく恵。」
海渡は恵の純粋さにたじろぎした、服を買うにしても女物はわからないから弥生に選んぶの手伝ってもらおうと海渡は思った。
海渡が家に帰りってから数時間後海渡の親が家に帰ってきた。
寝顔でも愛する息子の寝顔を見に来た母親は驚いた。
海渡が少女と一緒に部屋にいたからだ。
「どちら様ですか。」
少女に聞かれたが母親は驚いて一瞬沈黙したが母親ですと答えた。
「母親とは何ですか。」
少女の答えは意味がわからない答えだった。
少女は息子と同い年かそれより少ししたぐらいの女の子なのにどうして知らないのというのが海渡の母親は思った。
しかし、海渡の母親は母親とはどう言うものか教えた。
「母親って言うのは海渡を育てた人のこと。」
「わかりました。不審者じゃないならいいです。怖がらせたようですみませんでした。」
「いいの、私も驚いてごめんなさい。話をする。」
「いえ、いたしません。」
「そう、わかったわ。」
翌日、学校に来た海渡は変わっていた。
「おい海渡、お前家でてもしたのか。」
「本当よ、まさか夜逃げか。」
「それとも旅行でもいくのか、金持ちだな。俺にかね寄越せよ。」
「それよりその中見せろ。」
「うるさい、海渡に関わるな。」
海渡はリュックサックとスーツケースを持って学校に登校してきた。
スーツケースを開けようとするクラスメイトに触るなと体全体で覆う。
「わ、わかった悪かった。」
席につく、海渡はスーツケースを持って碧のところにやって来た。
「海渡、そのスーツケースの中身なんだ。まさか。」
「それは、碧は弥生がどこにいるかわかる。」
「一緒な行く。」
「ごめん、碧。」
「いいに決まってんだろ。それより海渡、弥生に返すなら今の内だ。弥生だって妹が欲しかったんだ。」
「それは海渡はできない。」
「ふざけるな、良く考えろ海渡。」
「わかった考える。」
「それでどこ行くの、碧。階段上ってるけど。」
「屋上だ。」
屋上、海渡はスーツケース持ってるから大変だから手伝って欲しい碧。
碧は海渡のことが見えなくてただ上って行ってる悲しい。
屋上に来た海渡と碧。
「弥生、やっぱりここにいたのか。海渡を連れてきたぞ。」
「会いたくない、帰らせて碧。」
「どうする、海渡。」
「帰らない。」
スーツケースを開ける海渡。
中から出てきたものに碧は驚いたが一瞬だった。
「予想通りだがヤバいぞ海渡。」
「どう、したの。」
碧の変わった言葉が気になり海渡達の方を見た弥生は後悔した。
「なにやってるのよ、海渡。なにしてるのよ!」
「海渡はこの考え、意外連れてくる方法がわからなかった。」
「だからってスーツケースに入れて連れてくるな。」
「そうよ、なにしてるのよ。海渡。」
「海渡は悪かったと思ってるから謝る。でもどうすればいいか海渡には考えが思いつかないから教えて欲しい。恵を隠す場所を作りたい。お願いします考えてください。」
海渡がお願いしているとスーツケースから出てきた恵は真っ先に弥生の元に向かう。
「ご主人様ー。ご主人様。」
弥生は恵の頭を撫でる。
「それでご主人様の弥生様のご意見はどうなんだ。」
海渡と弥生は碧はノリノリと思った。
「もちろん、作るわよ。」
「ありがとう弥生ー。」
「ご主人様、ご主人様ー。」
弥生に抱きつく海渡と恵の二人。
海渡は碧に頭を殴られた。
「海渡は離れてキモい。」
「ごめんなさい、ごめんなさい。」
「自業自得だろ海渡。」
「ハハハ海渡面白い。」
笑いながら海渡の名前を呼ぶ恵を見て海渡を見る弥生と碧の顔は怒っていた。
「どう言うことよ、海渡。」
「どういうことだ、海渡。詳しく教えろ。」
「海渡の名前教えたから覚えた。」
海渡がそう言うと碧と弥生の二人は父親と母親が赤ちゃんにパパ、ママと呼ばせたいというように積極的に教え始める。
「碧だ、恵。碧だ。」
「恵、ご主人様じゃなくて弥生って呼んでよ。」
「わかりましたご主人様、弥生様って呼びます。」
弥生と碧は項垂れた。
「恵、海渡は思う。弥生は恵と友達として接したいから弥生って呼ばれたいんだって。」
「海渡の言うこと本当、弥生様。」
「本当よ、恵とは友達になりたいのよ。弥生って呼んでくれる。」
「わかりました、ご主人様。弥生って呼ばれてもらいます。」
「ええ、そうよ。それでこそ恵よ。」
どこか悲しそうな弥生。
碧は一度も名前を呼ばれず体育座りをしてキノコが生えそうなほどにゴニョゴニョ自分の名前を言っている。
海渡は今の碧が怖い。
弥生は恵を碧の元へ連れていく。
「この人は碧よ、恵。覚えてあげて。」
「わかりました、碧。よろしく。」
そう言って碧に手を伸ばす恵。
「よろしく恵。」
やったー!と雄叫びを上げる碧。
「弥生は海渡のこと許してくれますか。」
「許すよ。」
弥生に許されてホッとする海渡。
弥生の心の中にどこか許してない部分があるだろうと海渡は思った。
恵は弥生の手を握っている。
「ごめんな、はしゃいじゃって。」
「海渡はそのことはなんとも思わないけど恵のことどうするか考えてほしい。」
「それは私も思う。」
二人も考えてほしいと碧は思った。
「考えるけど二人も考えろよ。」
「わかった。」
「碧が一番考えられるのうまいじゃないのよ。」
海渡は弥生の考えが一番いいと思い弥生と同じことを言う。
「そうだ、海渡より碧の方が良い考えが浮かぶからお願い。」
「どうするかだが、同窓会でもいいからロボ部を作るってのはどうだ。」
「いいと思うよ。」
「海渡もいいと思う。作るまで恵どうするかも考えないといけないと海渡は思う。」
「海渡の言う通りよ、碧どうしたらいい。」
「海渡の言う通りだが、家に置いて来なかった海渡が悪いんだから海渡が考えろ。」
碧が海渡に考えろっていうけど知ってる通りになると思う海渡。
「海渡が考えるにスーツケースの中に入れるになる。」
「そうだった。それはいやだから。仕方ない。科学準備室に行くぞ。」
「どうして行くのよ、碧。」
「方法ないから仕方ないだろ。素直に謝りに行くぞ。何言われるかわからないんだ。それで怖いんだが仕方ないだろ。」
弥生と海渡も碧と同じで怖ったが碧の考えに乗ることにした。
また恵はスーツケースの中に入れることになった。
科学準備室へと入る海渡達は前回と同じ形で秘密の部屋に入り木の箱に恵をしまった。
科学準備室の秘密の部屋を出たところで田中先生がやって来た。
三人は逃げようとするが逃げる方法がないため慌てる。
先生は秘密の部屋を閉じた。
「君たちがここに昨日侵入したことは知ってる。もちろん今入って来たことも。」
三人は顔を見合わせる。
「海渡は先生に教えてほしい。」
「どうした。」
「わかってんだろ、あの機械についてだ。」
「そうよ、あの恵を作った意味を教えてよ。」
先生は恵とは誰か疑問に思ったみたいだったけど話の流れで自分が作った少女の機械のことだとわかったようだ。
「あの子は娘を再現した、妻と娘を事故で失いその喪失感を紛らわすためにあの子を作ったはいいが動かせなかった。君達はあの子を動かしたのか。」
「そんなこと知らなかったのよ。ごめんなさい。」
「悪かった。」
「申し訳ない。」
沈黙が流れる。
「しんみりさせたかったわけじゃないがらそういうな。」
「そうなら恵とお別れよ。」
「そうだな、動かして悪かった田中先生。」
「ごめんなさい、先生。バイバイ恵。」
科学準備室を出る三人。
木箱を開けて田中先生は少女の顔を見ると涙を流し木箱を閉めた。
数ヶ月後、田中先生は学園を去った。
学園の科学準備室では今も少女が眠っている。




