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1Day探偵  作者: 如月いさみ


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18/21

その9-2

芹はマンションに戻ると春香の部屋で座りながら

「一つ気になったけど刑務所の面会って誰でも出来るのかな?」

と呟いた。


春香はそれに

「建前上はね」

実際は親族とか…原口真奈美自身がこの人と会ってもいいという

「申告書に記載されている人かな」

と告げた。


芹はそれを聞くと

「じゃあ、俺達アウトのような気がする」

と告げた。


春香は冷静に

「普通はアウトだと思う」

一度行ってアウトなら播磨に頼む

と告げた。

「最も原口真奈美が何も言わない可能性はあるけどね」


芹はさっぱり

「その一番可能性が高い」

と言い

「でもそうなら、次は三木厚美の親族と上條って人探しに切り替えるしかないよね」

と答えた。


春香は頷いた。


芹はその後、動画を撮って春香に渡し眠りについた。

翌朝、先に明日の様子を見に行き意外と元気そうにしている彼に安堵しつつ今日の話をした。


明日はそれを聞くと

「なるほどな」

と言い

「その上條って友人だけど」

もしかしたら学校方面から調べられるかもしれないな

と告げた。


春香は「なるほど」と答えた。


明日は頷いて

「彼女はアクロバットの就職に関しては普通だったから履歴書から分かると思う」

と告げた。

「今はJDWの妨害もないし顔なじみになってるから手に入れれると思うけど」


春香は頷いて

「わかった、そっちを回って刑務所の面会に行ってみることにする」

と告げた。


芹は「あーそれから」と言うとUSBを渡した。

「落ち着いたら、これ」

昨日京都に行って撮ってきた

「中田達雄が騙されたって言ってた土地の現在が映ってる」


明日は「サンキュ」と答え

「俺も動画と登記簿を見比べて気付いたところがあったらLINEする」

と告げた。

「くれぐれも気をつけろよ」


春香と芹は笑顔で

「助かる」

「ありがとう」

と手を振って病室を後にした。


2人はその足で東京グランデュオ大手町ホテルへ行ってマスターから三木厚美の履歴書のコピーを受け取り、刑務所へと向かった。


北千住まで行き、そこから一駅東京メトロに乗って移動した場所にある。

高い塀と有刺鉄線。

そして周囲には川が流れている。


ただ、刑務所自体は重々しい空気があるが、川は整備されており遊歩道もあって少し涼んだり散歩するには良い場所であった。


芹は見回しながら

「もっと、怖い感じの場所かと思ってた」

と呟いた。


通常は訪れることのない場所である。


春香も頷きながら

「そうだね」

と答え、刑務所の入口を潜ると受付へと足を進めた。


そこで面接申請書類を書いて通れば面接できるのだ。

だが、それほど簡単ではない。


2人は身分証明書として学生証を渡した。


原口真奈美との関係と言うと正に逮捕に協力した警察側の人間と逮捕された側という事だ。

本人が面接を断る場合もある。


だが、意外なことに彼女との面談は適ったのである。

もちろん、刑務所の職員が立ち会い透明の壁越しである。


原口真奈美は芹と春香と明日が来るかもしれないと想定はしていたようである。

「来たのね」

第一声がそれであった。


特別な感情が彼女からは見受けられなかった。


芹はぺこりと頭を下げると

「こんにちは」

と挨拶をした。


それには彼女は小さく笑った。

まるでごく普通の家に来たような感じだったからである。


春香は会釈して

「その様子だと俺達が来た理由もわかっていると思うけど」

と告げた。

「刑務所館内だと外の情報は分からないはずだけど」

知っているとか


真奈美はそれに

「何れは来ると思っていたから」

特にその子が

「私を凄く険しい表情で見ていたから」

と芹を見た。


芹は驚いて

「え?俺そんな顔してた?」

とあわわと呟いた。


真奈美は笑って

「普通の…子ね」

君は

と告げた。


春香は芹を一瞥して

「まあ」

と答え

「じゃあ、単刀直入に言うけど」

5年前に俺の養父を殺した奴が住んでいた

「あの土地はあれの拠点にするために手に入れたんだな」

と聞いた。


真奈美はそれに

「私怨なのね」

と答えた。


春香は頷いた。

「ああ、それもある」


真奈美は息を吐き出し

「がっかりだわ」

と肩を竦めた。

「私は5年前の事件に関与していないわ」

けれど

「平等な社会を築くために私たちは動いていたわ」

一部の特権階級の人間が支配している社会を壊して平等にするために

「今の社会システムよりはずっと良い社会になるためだもの」

多少の犠牲は仕方がないわ


春香は両手を組み合わせて感情を抑えると

「そんなことの為に襲撃したりしていたのか」

と告げた。


真奈美は春香を見て

「私たちを妨害しようと…平等な社会を作ろうとした私たちを邪魔しようとしたからよ」

と告げた。


芹はう~んと唸り

「俺、よくわからないけど」

原口さんの本心じゃないよね

と告げた。

「JDWって組織に疑問持ってるんじゃないの?」


真奈美は芹を見た。


春香は慌てて

「芹!」

と声をかけた。


芹はハッとすると

「え?」

と周囲を見回した。

「あ、俺」

だって、原口さんが今言ったこと本心だったら俺達の面談を受けないと思うんだ

「きっと何か変えたくて」

何か俺達に言いたくて許可してくれたんだよね


真奈美は芹をじっと見つめた。

「君は私の言ったことどう思うの?」

平等な社会を作るために動くって大切でしょ?


芹は素直に

「平等って何?」

と聞いた。

「原口さん達のいう平等ってどういうの?」


真奈美は芹に

「一部の特権階級を排して皆同じになるってことよ」

と告げた。


芹は冷静に

「それってただ単にその一部の特権階級を無くしたいだけだよね」

その後の具体的なこと何も言ってない

「もし言葉通りに平らで等しいなら親が違う事から問題だよね」

金持ち

貧乏

ネグレイド

子煩悩

「生まれたら親から切り離して同じ施設に入れて養育する?」

でも遺伝子の違いがあるから学力とか体力の違いの個体差がでるよね

「どうするの?」

点数でもつける?

「運動何点学力何点それに合わせて教育していく?」

その先に何があるの?

「それが平等だとしてそれって幸せなの?」

俺の心は?意志は?どうなるの?

と告げた。

「それにもし原口さんが働いても暮しが苦しい人を救いたいと思って行動したなら」

その苦しんでる人を利用して殺したり

「騙して奪ったり」

やってること反対だよね

「救いたい人を犠牲にして大義名分を掲げても」

それは正当化しているだけだし

「許されることじゃない」


…そう言っている人が多少の犠牲側にはならないよね?…

「他人を犠牲にして多少の犠牲と言っている時点で俺は絶対に許さないしそんなもの絶対に認めない」


春香は驚いて芹を見つめた。


真奈美は芹に

「でもね、誰かが」

と言いかけた。


芹はそれに冷静に

「歴史を紐解いてそういう大義名分を掲げて相手を倒しても結局倒した人たちが同じことをしてる」

それは歴史が証明してる

と告げた。

「本当にそれを望むなら」

話し合うべきだと思う

「殺人者がどんな大義名分や御託を並べても」

俺の目には殺人者にしか映らない


「俺の叔父さんや弟は貴方がたの誰の幸せも考えていない大義名分の犠牲になったんじゃない」

貴女の組織の野望や欲望に殺されたんだ

「明日だって貴女の組織の人に殺されそうになって大怪我をして動けない」


…俺には貴女を許せない理由がある…


「貴方が俺達に会おうと思ったのは」

貴方が組織の在り方に疑問を持ったからだと思う

「だから教えて欲しい」


貴女が知っている組織のことを

「三木厚美さんを操って殺した男の人のことを」

上條って女性のことを


真奈美は驚いて芹を見つめ言葉を失っていた。


暫くの沈黙が流れ真奈美は小さく笑うと

「君もその子と同じくらいに私たちを恨んでいたのね」

と告げた。

「でもそれを見事に隠していたわ」

完敗よ

「確かにそうね…人殺しだわ」

それに目の上の存在や自分たちを邪魔する人を殺して

「でも気付いたら内部で功績争い」

誰が上に立つかを競って

「貴方の言う通りだわ」


…一度しか言わないわ…


芹と春香は頷いた。

芹はICコーダーを置いた。


真奈美は唇を開いた。

それはJDWという組織の全貌と歴史であった。


2人はそれを聞き暫くの沈黙の後に芹が唇を開いた。

「あの…ありがとうございます」

そう言い

「子供ちゃんと生んであげてください」


もう犠牲者は出さないでください


真奈美は驚いて芹を見た。

春香も驚いて

「え?」

と芹と彼女を交互に見た。

「もしかして彼女…妊娠を?」


芹は頷いて

「多分、中田さんの事件のとき悪阻あったのかもって」

と言い

「だから、組織のこと思い直したのかもって」

と告げた。


真奈美は静かに笑むと立ち上がりお腹を擦ると

「そうね…貴方に言われなかったら」

この子を道連れにしていたかも

「生むわ」

ありがとう

と告げて後ろで控えていた刑務所職員を見ると頷いた。


芹と春香は彼女を見送って面会室を後にした。


外へ出ると太陽はもう西へと傾いていた。

夕方が近かった。


春香は芹を見ると

「芹は…本当に怖いな」

と笑むと手を握り

「敵に回せば凄く怖い」

けど

「味方につければ…心強い」

そう思う

と微笑んだ。


芹は驚くと

「え?」

俺そんなに怖くないけど

とう~んと悩んだ。


そして

「明日は上條節子のことを調べて」

三木厚美を利用した相羽益男だよね


春香は芹を見て

「ああ」

痣の男は見つけたんだ

「もうすぐだ」

と呟いた。


原口真奈美の話では金城紡と前条陽人は京都にいて、相羽益男は東京にいるという事であった。


2人はマンションへ戻ると明日の行動計画を立てるのであった。

5年前の事件。

そして、今の事件の解決まであと一歩まで来ていたのである。


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