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英雄(ヒーロー)と呼ばれる俺。7

 楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。


 その時は唐突に訪れる。


 元々廊下があった側...つまり、クラスの全員の反対側から、光介や幾人かの生徒は、その方の窓にいくつもの影があるのを見た。


 こっちの窓はモザイクガラスとなっており、外が見えない。だが、それは相手からも見えないということになる。


 しかし、この状況ではそんなことは関係ない。なぜなら、外にいるのは中に何がいても、ただ一つの本能のためだけに動くだけだからだ。


 窓が棒やハサミのような細い金属類で叩き、引っ掻くような音がし始める。


 その不快な音に光介は顔を少ししかめ、多くのクラスメイトは、教室の外にいる得体のしれないものに、恐怖を感じ、震える。


 何度もガンッガンッと打ち鳴らされる窓をよく見てみると、次第にヒビが入っていくことが分かる。


 そして、ついに窓ガラスは限界を迎え、ガッシャーンと大きな音を立て、割れてしまった。幸い、細かい破片は生徒やアイシャ先生の方へは飛んでいかなかった。


 割れた窓の外を見ると奴らは居た。


 全身が緑色で、どこからか奪ってきたのか、古びた布を体にまとわせ、錆びた武器や木の棒を手にしている。そいつらは時折、


「グガッ、、ガッ、ギャギャギャギャ!!!」


と、汚い声で鳴き声を上げ、醜い顔をさらに醜く歪ませているのは、このクラスにいる人間を狙った、いわゆるゴブリンである。


 しかもそいつらは20匹ほどおり、怯えている様子を見て、自分たちが優勢と感じ取ったのか、騒がしくなり、クラスの中へと乗り込もうとした。


 しかし、それを止める者がいる。そう、光介だ。


 光介は手始めに窓枠に手をかけているゴブリンの手を蹴り上げ、そのゴブリンが痛みで一瞬手を引いた隙に、顔面を殴り飛ばす。


 そのゴブリンは脳震盪でも起こしたのか、殴られた衝撃で、後ろへと倒れていき、白目を剥いて動かなくなった。


 その光景に一瞬呆けていたゴブリンたちだったが、すぐに我を取り戻し、またしても汚い声を上げながら、窓から入ろうと窓へと手をかける。


 しかも、今回は複数同時に、しかも、いくつもの窓から入ろうとしてきているため、どうしても入ることを許してしまう。...本来であればだが。


 光介はすぐにカバンからとあるものを取り出し、ふたを開け、ゴブリンたちの方へと投げる。その際、「えっ、なんで...」と悲しそうな声が聞こえたが、光介は気にしない。


 ゴブリンたちはすぐさまそれに群がり、あっという間にその中身を空にする。


 その隙に窓枠から外へと出て、群がりきることができなかったゴブリンの、耳のあたりの側頭部を殴り、気絶させる。これで3匹、合計4匹無力化できた。


 しかし、それに気づいた残りのゴブリンが、武器を振り回しながら、光介へと迫る。のだが、そのうちの3匹急に体が痙攣し始め、次第に泡を吹き、白目を剥いて倒れた。


「やはり、今回も強力だな。無意識とはいえ。」


そいつらを見下ろし、そう小さく呟いた光介の後ろから、錆びたナイフを振り回しながら走ってくるゴブリンの姿が。


 ずっと呆けていたクラスメイトが、光介に口々に危ないと叫ぶ。


 そんなことはお見通しの光介からすれば、そちらに注意が行く可能性があるため、むしろやめてもらいたいところだ。


 とりあえず、体を捻らせて避け、手首に肘打ちを入れる。肘打ちの衝撃で、武器を取り落としたゴブリンの腕を引き寄せ、そのみぞおちに、肘打ちを叩き込む。


 口から吐瀉物(としゃぶつ)が飛び出す。光介は体にかからないように、後ろに回り、その背中を蹴飛ばす。


 劣性を悟った何匹かのゴブリンは逃げてしまったが、今は気にしている場合ではない。


 残りの二匹は、遠くから光介に石を投げ始めた。すると、光介はカバンから銃のようなものを取り出し、ゴブリンに向かって打つ。


 それが当たると同時に、遠くからでも分かるほどにスパークを放ち、そのゴブリンは白煙を上げて倒れ伏した。


「少し威力の調整は必要そうだが、こいつらが弱いだけか。」


またも光介はつぶやき、最後のゴブリンのところへ走っていく。そのゴブリンには走った勢いのまま、顔面に飛び蹴りをかます。


 ゴブリンは急な衝撃に耐えられず、弾かれたように地面へと頭を叩きつける。何とか立ち上がろうとしていたが、気絶した。


「ステータスとして数値が出てる分、自分がどれぐらいやれるのかが分かりやすいな。だが、明らかにさっきよりも動きやすい。異世界に来た影響なのだろうか。」


 ゴブリンを一瞬で無力化したにも関わらず、冷静に自分の変化を分析している。まるで、今までに何度も似たような状況...いや、それ以上のことを経験してきたかのようだ。


 とりあえず荷物を拾い、教室へと戻った光介は一気に囲まれた。


「おいおい、光介!!すげえじゃん。あんなことできたのかよ!!あの銃を使ったときとかはしびれたぜ~。ま、あいつは痺れてたけどな!!」


「誰がうまいこと言えと。」


「さすが光介くん!!あんなすごいこともできたんだね!!」


「すごいかどうかの問題ではないと思うんだが...」


「もしかしてあいつらをやっちまったんじゃねえか?」


「まあ少なくとも三匹はやってるだろうな。」


その一言に、湧き上がってた教室は一気に静まり返った。


 一人の男子生徒が代表して聞いてみる。


「えっ?いや、気絶してるだけだよな?」


「いや、多分三匹毒で死んだ。」


 「毒」という単語に戸惑いを隠せない。


 それを持っていたという事実に気付いた幾人かの生徒は、若干顔が引きつっている。


 光介はその中のとある一人に直接話しかけた...



 いかがでしたでしょうか?今回は光介が、異世界といえばの、テンプレ的な相手と戦いましたね。一体、光介はいくつの道具を持っているのでしょうかね?


 次回の投稿も来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。


 それでは、また次回お会いしましょう。


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