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英雄(ヒーロー)と呼ばれる俺。3

 楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。

 光介は走っていった先で、とあるものを見つけた。地面に何やら落ちているようだ。


 さっきまでのスピードはどこへ行ったのか、その場に急停止した。

 しかし、光介は無事でも月奈(乗客)が無事であるはずもなく...普通に飛んでいきそうになった。が、それをもちろん予想していた光介によって地面に寝かされた。多少なりとも衝撃はあっただろうが、急ブレーキによる加圧に比べれば、だいぶマシだろう。


 だが、そんなことを気にする余裕は月奈にはなかった。この時、珍しくも光介はバランスを崩して、月奈のすぐ横に手をついていた。いわゆる床ドンというやつだ。


 少しの間、月奈が頬を赤くさせ、夢を見ているかのようにボーっとしていた。


 一方光介は、そんなことを気にした様子もないとばかりにさっき見つけた、地面に落ちていた物を拾い上げる。


「これは...何だ?」


正確には光介には中身はわからないが、どんな用途で使われるものかは分かる。パソコンに詳しくないものでもこれはよくパソコンで使うというイメージがあるだろう、USBメモリだった。


 そんなものが地面に落ちていたら普通は交番になり、放置するなりするだろう。光介もその一人だ。


 だが、今は登校前の遅刻10分前。学校までの距離はあと1キロ程しかないが、月奈がこの調子では少し時間がかかる。というか、大勢の前では多少なりとも普通の学生を装っているのだ。数百メートル離れたところからは歩いていかねばならない。そう考えれば時間が足りない。


 とりあえず光介はこのUSBは学校が終わってからでも交番に届ければいいかとポケットにしまう。


「月奈、お前いつまで地面に寝ているつもりだ?学校に遅刻してもいいのか?」


と、光介が一声かければ月奈はすぐに再起動し、起き上がった。


「いやいや良くないよ!さあさあ早く私をおぶってくださいな。」


「はあ。まあ最初に連れて行くと言ったからには約束は守らないとな。それでも学校の数百メートル付近で下ろしてそこから歩いていくからな。」


「分かってるよ。私と光介くんだけの秘密だもんね!」


「いや、別にお前以外にも...まあいい。早く乗れ。」


「は~い!」


光介の背中に再びガバっとおぶさった月奈は元気よく言う。


「それじゃあ、しゅっぱ~つ」


「もうすぐ着くけどな。」


 おっと、出発と言っている間に学校までの数百メートル付近にまで到達していたようだ。


 少し残念な様子の月奈さん。しかし、約束を相手が違えない以上、自分も違えないわけにはいかず、渋々光介の背中から降りる。


 背中から月奈が降りたことを確認した光介は一応、月奈が追いつけるぐらいのスピードでさっさと歩いていってしまった。


 月奈は隣に早足で並び、今日も今日とて飽きもせずに光介の武勇伝を聞こうとしている。すると、なぜか光介は光介が知らないはずの月奈の黒歴史を言い始める。それがまだ、ただのでっちあげであればいいが、何を隠そう、それはすべて事実なのだ。


 知った方法は未だ知れず。だが、彼女の黒歴史についてはここでは割愛するとしよう。


 そろそろ学校が見えてきた頃、遅刻まで残りは30秒、学校までの距離は50メートルほど。軽く走れば間に合うが、このまま歩いていてはギリギリ間に合わない時間と距離だ。


 ちなみに、遅刻には厳しい学校なので、少しだけ評価にも影響する。ギリギリであれば問題ない。あくまでも遅刻には厳しいのだ。


 しかも今日は光介のクラスの担任が見張っているので、言い訳はできない。月奈も同様である。


 もちろん、光介は間に合うように少しだけ歩くスピードを上げる。常識の範囲内で。


 一方、月奈は運動ができないわけではないが、走るのが遅かった。それこそ常に体におもりを付けているのではないかと思うほどだ。今も走ってふらっふらしている。


「到着!ギリギリセーフ。」


「ギリギリアウトであれば良かったんだがな。」


そういって月奈を引き止めたのは体育教師であり、光介たちのクラスの担任である、『高猫(たかびょう)亜衣紗(あいしゃ)先生』だ。生徒からアイニャンで親しまれている一方、一部の生徒からは、多少なりとも恐れられている怒ると怖い先生だ。学校に一人はいそうなあれである。


「別に間に合ったんだから良いじゃないですか。」


そう口をとがらせて月奈が反論するも、アイシャ先生はにっこり笑い、


「授業にも間に合うようになればいいな。」


と言い残して校門に目を向けた。


 慌てて時計を見ると、授業開始まで15分である。朝は特に急がねばならない。HRもあれば、教材を出したりして授業の準備をしないといけないので、実際の残り時間は5分ほどである。


 一足先に言ってしまった光介のことを少しだけ恨みがましく思いつつ、自分も教室へと急ぐ。


 恨みがましく思ったことは、別に置いていかれたことを気にしているのではなく、自分が遅刻した時、遅刻した仲間がいればいいのになという、しょうもない理由だったりする。



 いかがでしたでしょうか?光介くんは優しいのか冷たいのかよくわかりませんね。まあなんだかんだでお願いを聞いてくれているので、優しいのかも知れませんね。


 今回の話は前回と比べれば少し気になるところがあると思いますが、書き間違いなどではないので安心しておいてください。後々わかります。多分。


 次回の投稿も来週の土曜日の予定です。※都合により遅れる場合があります。


 それではまた次回お会いしましょう。


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