スマホデビューそして風邪をひく
「そうなんだ、千夜子ちゃんお兄さんいたんだね」
チョコちゃんに家族の話を振ってみると、昨日のもやもやとした悩みはあっさり解決した。いや、本屋でチョコちゃんと一緒にいた男の人がお兄さんと確定した訳ではないけれど、それは一時考えないことにする。
チョコちゃんは膝の上のチョコを撫でながら
「うん、そうなの。明良くんは兄弟いるの?」
「僕はひとりっこなんだ」
「ふーん」
「でも上の兄弟がいるのはちょっとうらやましい、かも」
僕はそこまで言って後悔した。それは『じゃあ、わたしが明良くんのお姉ちゃんになるね』という展開になりかねない。それはまずい。仲良くなるのは良いけど、そういう線の引き方は本意でない。そう思っていると
「えー?わたしはひとりっこの明良くんがうらやましいよ。お兄ちゃん時々うざい」
懸念した展開にはならなかった。僕はほっとした。
「あ、そうだ実はこれ・・・」
僕は上着のポケットからスマホを取り出した。
「おおー、明良くんスマホデビューだね」
「親が勝手に買ってきたんで機種は選べなかったんだけど、とりあえず」
「あっ、そうだね。ちょっと待って」
チョコちゃんは手にはめていたニットのミトン手袋を外して上着から自分のスマホを取り出した。
「その手袋、かわいいね」
「そう?去年のクリスマスにお兄ちゃんに貰ったの」
甲の部分に猫の柄が入っていた。
「クリスマス・・・はっ」
2学期の期末テストは終わった。そういえば街はクリスマスムード一色だった。クリスマスのことも考えておかないと・・・。
「ほら、カメラ起動して?このQRコードを・・・」
「あ、そうだね」
「はい!これでわたしと明良くんは『お友だち』になりました!」
「うれしい!学校の友達もまだ登録してないから千夜子ちゃんが第一号」
「そっか、買ってもらってからはまだ学校行ってないものね」
ともかく、これで連絡手段確保!
急に猫のチョコに会いに行けない事があっても連絡を取ることが出来る。
そう思っていたら・・・。
早速僕が風邪で熱を出してしまうとは・・・!
いつもの時間に起きたものの、体がだるくて動けない。熱を測ると38度6分あった。
チョコちゃんに会いに行きたいけれど、風邪を伝染すのは絶対ダメだ。今日はあきらめるしかない。
そんな訳なので、その旨のメッセージをチョコちゃんに送った。
返信は画像付きだった。画像はチョコちゃんの猫のチョコを抱いた自撮りだった。
そこに、早く元気になってね!とメッセージが付いていた。
僕は、その画像を壁紙に設定した。
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