気になってしまうこと
僕自身のチョコちゃんへの気持ちに気が付いてから、どんな顔してていいのか分からなくて不安だったけれど、会ってみれば普通だった。前以上にドキドキはするけれど。
「はい明良くん、これ、おみやげ」
「あ、ありだとう」
おみやげは、個包装されたバナナ味のチョコレート菓子だった。
はじめて好きな人に貰ったものだ。大事にしよう、いや、ちゃんと食べるけど。
「東京はどうだったの?」
「寒かった~!」
季節はそろそろ冬になろうかという頃合いだ。本格的に寒くなってきても、チョコちゃんは早朝に猫のチョコに会いに来るのだろうか。僕自身もそこまで続けるかは考えてなかった。
いやその前に、テストの時期はどうするの?
チョコちゃんとはここでしか接点が無いのだから、現状だといつ関係が終わってしまうか分からない。
これはまずい。非常にまずい。
「明良くん?」
「わっ・・・びっくりした・・・なに?」
気が付くと、チョコちゃんが僕の顔を覗き込むように見ていた。
その視線はずるい。心臓が止まるかと思った。
「いや、何か考え事してたのかなって」
「そう、僕もそろそろスマホ持ってたほうがいいのかなって考えてた」
「ああー、そっかー。みんな持ってるもんね」
「うん、だから期末がんばって親の心証を良くしておかないと」
「ああーホントだねそれ」
ちら・・・と、チョコちゃんの方を見た。
「ん-?なにー?千夜子姉さんに勉強見て欲しいって?」
ドキッ!
そんなつもりはなかったけど、ちょっと期待してしまった。
「でもゴメン駄目ー。自分のことで手一杯なんだー」
「そ、そうなんだ。自分でがんばる」
自分の気持ちに気が付いてしまうと、今度はチョコちゃんが僕のことをどう思ってるのか気になってしまう。
クラスメイトあたりに分けるのと同じにしても、東京のおみやげを持ってきてくれたし友達くらいには思ってくれてるとは思うけど、やっぱりそれも年下だし弟的な感じなのかな。
気になって勉強どころじゃなくなりそうなんだけど。