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チョコと千夜子


 中学1年の僕は、早朝の城跡公園を散歩するのが好きだ。1日の始まりにほんのり刺激を与えてくれる。


 普段なら二度寝してしまう時間に起きてしまった僕が、気晴らしに散歩に出かけたのが1か月ほど前。

 その日を気分よく過ごせたことが、早朝の散歩を日課にするきっかけになった。


 それに、最近は”友達”も出来た。


「にゃー」

 今、城跡公園を歩く僕に付いてくる猫がその友達だ。


 ある日、僕が藤棚の下にあるベンチで休憩していると、その猫はふいに膝の上に乗ってきた。耳に”地域猫”の印のある猫だった。人に慣れているにしても異様になれなれしい。撫でてみても大人しくしていたので存分にモフらせてもらった。

 地域猫なのでエサをあげてる人がいるのだと思う。なので、モフらせてくれたお礼には「ぴゅ~る」を持っていくことにして、その関係を維持することに成功した。


 その猫は三毛っぽい柄のブチで、背中に大きい茶色の柄があった。そこから連想して「チョコ」と、勝手に名前を付けた。エサをあげてる人は別の名前を付けてるかもしれない。だけど、僕がそう呼ぶだけだから別にいいのだ。



 その日もチョコにぴゅ~るをあげて、撫でながらのんびりしていた。

「あのっ」

 不意に背後から声をかけられた。振り向くと、女神がいた。


 いや、女神ではなかった。僕が女神に見間違えただけだった。そのくらい、衝撃的な出会いだった、ということだった。実際は制服姿の女の子で、見た目からは僕と同じくらいの年頃に見えた。

「ああー、猫ちゃん逃げちゃった」

 チョコはいつの間にかいなくなっていた。

「この公園、野良猫がいっぱい住んでるでしょ?わたし、さっきの猫ちゃんも見かけたことがあって、野良猫とそこまで仲良くなるなんてすごいなーって思ったのよ」

 僕は今さらながらチョコがどこに行ったのか、目で追おうとした。

「あ、ごめんね。わたしのせいで猫ちゃん逃げちゃったね」

「う、うん。いいよ」


「そんなに猫ちゃんと仲良くなる方法があるなら、コツとか教えてよ」

「い、いや別に何もしてないっていうか、あの猫が特別人懐っこい。多分だけど」

「あの子が特別?」

「うん」

「じゃあ、わたしもあの子となら仲良くなれるかな?毎朝こんな時間に来てるの?」

「うん」

「よし、明日から早起き頑張ろ。今日は学校に用があってこんな時間なんだよ」

「そっか」

 彼女の制服は僕の通っている中学とは違う、公園を東に抜けた先にあるミッション系私立の制服だった。

「じゃあ、またね」

「うん、またね」


 彼女と別れた後、僕は彼女のことしか考えられなくなった。でも、その感情が「恋」だと知るのは。もう少し先の事になったんだ。



 翌朝、いつものようにしていると

「お・・・は・・・よ・・・あ」

 驚かせないように気を使ったんだろう。小さな声で声をかけてきたけど、チョコは逃げてしまった。

「あ、チョコ!・・・行っちゃった」

「チョコ?」

「うん、僕が勝手につけた名前」

「それ、わたしと同じ」

「え?」


「わたしね、ちよこっていうの。千の夜の子で千夜子。友達からは”チョコちゃん”って呼ばれてて」

「そ、そうなんだ」

なろう的な長文タイトルを避けつつ内容が分かるタイトルにしたらもっと前のラノベ風になってしまいました。

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