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窓の向こうの暖炉の火
夕闇落ちる通りに響く、ずるずる何かを引きずる音が。
雪のちらつく街並みに、蠢く不気味な影ひとつ。
木窓の隙間から影が覗けば、暖炉で火が揺れる暖かな部屋。
食事を食べる子どもと、微笑ましげに見守る親と、ここではよく見る冬の一幕。
なぜ寒いのかもわからぬまま影が、震えたように窓枠をカタリと鳴らす。
不審に思った父親が木窓を開けても、そこにはもう何も居ない。
優しさと暖かさの満ちるこの街に、影の居場所はどこにもない。
夕闇落ちる通りの向こうへ、影はふらりと消えていく。
2月が近づいた頃、アヴァロン外周7区の住民たちの間に噂が流れた。
――日が落ちはじめた頃に、街に恐ろしい怪物が現れる。
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長らくおまたせしました、再始動です
予告も兼ねたプロローグとなります
本日20時に本編更新開始、以後20時更新予定です




