13話:シアトル留学1週目と週末の小旅行
最後の週に、テストと英語の面接をして留学の評価を書いた書類を渡してくれると話していた。それが終わると、12時前で、各自が学校内のカフェテリアに移動して昼食をとった。
サンドイッチ、ハンバーガーが、多かったが、カニやサーモン入りの商品も多く、十分美味しかった。珈琲もよい味で、その点では、助かった。今回の留学は、アメリカ人の学生と同じカリキュラムで勉強になっていた。
そのため、2,3日すると、フランクな感じの秀一には、数人のアメリカ人の友人ができた。男子のティムとジム、女子のケートとシンディが、秀一に興味をもった。
韓国人と中国人の留学生は、ライバル意識は強かったが、仲間に入ろうとはしなかった。そして、あっという間に、1週間がすぎた。授業の中でフリーディスカッションでは、日本人の秀一に、剣道か柔道を教えて欲しいと言う要望があった。
そこで、高校時代、2年間、柔道を習ったので、背負い投げ、体落とし、内またなど、有名な技を教えてあげると宣言。来週の火曜日と金曜日に、スポーツと趣味を教えあう授業が2時間、用意されていた。
今週の休みは、出かけようとすると、ホストファミリーのママが、シアトルでも一部治安の悪いところがあると言い、ベルタウン、キャピトル・ヒル、ダウンタウン南部には、近づかない方が良いと教えてくれた。
人気の少ない路地や駐車場、公園などは近寄らないように注意するように言われた。また、自分の貴重品は人目につかないカバンの中などに保管しておくように言われた。夏の気候は、晴れてカラッとした日々が続く。
しかし、緯度でいうと南樺太と同じ位で、湿度も低く、快適で、海からの数が心地よい。風の強い山間部に行くときには、ウインドブレーカーを用意した方が良いと、ママが、細かく教えてくれた。
言われたように、町のスポーツ用品店で薄めのウインドブレーカーを買ってきた。また、キャッシュレスで便利な「オルカ・カード」をバスターミナルで直接使うとよいと言われた。「オルカ・カード」の発行に5ドルを支払った。
そのあとは現金やクレジットカードから「オルカ・カード」にチャージをして乗り物に乗る際に「ピッ」とするだけでOK。最初の週の週末は、シアトル航空博物館に出かけた。巨大な博物館の中にはライト兄弟が作った初期の飛行機の模型。
有名な女性飛行士アメリア・イアハートが乗っていたのと同型の飛行機などが展示されていた。世界大戦コーナーでは、各国の飛行機の特徴やデザインの意味が詳しく説明されていた。
さらに、第一次から第二次世界大戦での飛行機の変遷などが、分かりやすく紹介されていた。飛行機以外にも、宇宙服や宇宙船など、宇宙探検に関する展示も面白かった。屋外の展示場も広く、飛行機がずらりと並んでいた。
展示されている飛行機はコンコルドや大統領専用機として使用されるエアフォース・ワンで、エアフォース・ワンは実際に機内に入り豪華な内装を見学することができる。入場料が20ドルかかったが、十分に納得できる施設であった。
とても広い工場で、全部を1日で回りきるのは大変であろうと想像できた。家を9時に出て、10時に到着して、昼食をすまして、16時まで、見学して、17時に、ホストファミリーの家に帰ってきた。
日曜日は、担当の先生に提出する書類作成に追われて、午前中2時間と、午後、1時間かけて手書きで提出資料を作成した。留学2週目が始まり、月曜、水曜、金曜の午後13時から1時間、自分の得意なスポーツと言う授業となった。
秀一は、柔道と書いておいたので体育館の一角に大きいマットを4つ敷いて、畳代わりにして、柔道を教えろと言われた。最初に、けが防止のため、全員の屈伸運動、次に受け身の練習をすると、かっこよいと拍手が起こった。
これが一番、重要だと言い、一応全員にやらせた。次に、どんな技が知りたいと聞くと、投げられも痛くない技と言うの言われた。そこで相手を倒す前に、自分のペースに持ってくる方法を教えると話し、体の大きな男性を指名し、柔道着の上着だけ着せた。
 




