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魔人ピラクル

ホラムの街を上空から確認する。

モンスターの中には強いのから弱いのまで千差万別にいる感じだ。数はそこまで多くはないがこれは街の兵士たちが頑張って減らしたという事だろうか。


とりあえず上空から危険そうなモンスターを魔法で狙い撃つ。一匹一匹を狙うのは大変だったが、段々と上手くなっていった。恐らく何かのスキルを獲得したのだろう。

確認すると【照準】スキルを獲得していた。おかげで狙いやすくなったので上空からでも危険なモンスターを排除することが出来た。


とりあえず一時しのぎには十分だろう。あとは魔人さえ倒せばすぐに終わるはずだ。

街の中心に教会があるはずだが・・・うん。遠目からでもよく分かる。一番大きな建物、あれが教会だな。紋章が書かれた旗が立ってるし。俺はすぐにそこに向かうことにする。



教会の周りには既にモンスターが囲っていたが、俺からすればなんてことはない。さっさとモンスターを駆除して教会に乗り込んでいく。


中にもモンスターがいくらかいたが剣で切り伏せていく。鞘に入れたままでも切れるんだな。改めて使うと変な感じだ。



さて魔人はどこかな・・・と思っていると礼拝堂の聖壇の上にソイツはいた。偉そうに座っているのかと思ったら何だか震えてうずくまっている。見た目は芋虫みたいだがちゃんと手足があるから魔人だろう。何だコイツ。


「ヒィィィィ!!」


「おわぁ!!」


突如として金切り声を上げるのでビックリしたわ。こっちまで声を出してしまった。


「ヒィィィィィィィィ!!!」


なぜかこっちの声に魔人はさらに声を上げてビックリしている。

いい加減付き合っていられないので用件だけ聞いてさっさと倒そう。



「おいピラクル。お前も「時間稼ぎ」をしているのか?」


「ヒィィィィ!!」


「おい、話を聞けよ。」


「ヒィィィィィ!!」


「おい。」


「ヒィィィィ!!」


「・・・」


「ヒィィィィ!!」


「何もしゃべってねぇよ!!」


「ヒィィィィィィィィ!」



・・・ダメだ、話にならん。あまりにも怖がっていて今もガクガク震えている。

そんなに俺が怖いかね。悪人面ではないんだが・・・


まぁ話が出来ないんだったらしょうがない。無理矢理にでも話してもらおうか。

一先ず奴を捕まえようかと思ったが、何があるかわからないからな。とりあえず鑑定してみよう。


―――――――――――――――――――――

名前:ピラクル

芋虫魔人

臆病で常に不安を抱えて生きている。あだ名は弱虫。スキルを使うと暴力的な性格に変化する。普段は穏やかに暮らしたいと考えているが、時折起こる破壊衝動に自分を抑えきれず、穏やかな環境を破壊しては住処を移すを繰り返している。


状態:恐慌(弱虫発動)

体力:3015

魔力:2905

筋力:404(2)

防御:864(4)

敏捷:291(1)

知力:428(2)



【共通スキル】気配察知Lv.MAX、支援魔法Lv.7、呪術Lv.5、体力回復速度上昇Lv.4、隠密Lv.8、格闘術Lv.6、火魔法Lv.6、風魔法Lv.5、無魔法Lv.4、魔力操作Lv.7


【固有スキル】逆転空間、弱虫、反転


逆転空間

その瞬間において強いものが弱く、弱いものが強くなる逆転空間を作り出す。

差が激しければ激しいほど、効果が増す。

消費魔力に応じて範囲が変わる。


弱虫

強い者を前にすると恐怖感が増し弱体化する。


反転

感情が反転する時、強くなる。


―――――――――――――――――――――


恐慌状態でかなりステータスが弱体化している。弱虫が発動中ってことは今の俺にビビってるのか?


・・・それよりも「逆転空間」だ。俺とアイツの差は、アイツが恐慌状態に陥っていることもありステータス差がとてつもないことになっている。


これはマズイか?と考えた瞬間空気が変わった。




・・・一気に体が重くなった。そしてピラクルの雰囲気も変わった。



「ギャハハハハ!!お前が勇者か。随分強そうじゃねぇか!」


「・・・随分と雰囲気が変わったな。」


「ギャハハハ!俺は強い奴にはめっぽう弱くてね。でも今ここは俺の空間だ。俺は強い奴にはめっぽう強いことになるんだよ!ギャハハハ!」



さっきとは別人のようなピラクルに寒気がする。


久しく感じていなかったこの感覚・・・俺は恐怖を感じている。さっきまでは雑魚としか思えなかった魔人なのに、気配察知がビンビン俺に危険を伝えてくる。


まさか逆転空間はここまで強力なのか?かなりマズイ状態だ。


俺の不安をよそにピラクルが襲い掛かってくる。・・・速い!!



「クッ!」


何とか鞘で受け止める。良かった、スキルは何とか生きている。おかげでなんとか受け止められたがステータスは向こうの方が高いことになっているのか体制が崩される。


そこに魔法が飛んでくる。とてつもない威力と速度で避けるのが精いっぱいだ。



「ギャハハハ!こんなに強くなるのは初めてだぜぇ!!勇者さんよぉ。随分つえぇみたいじゃねぇか!!」


ピラクルの猛攻が俺に襲い掛かる。

クソ!魔法を使おうにも大した威力がでない。知力が弱体化していることが影響しているのか?


今は俺の持っている剣術や格闘術で何とか耐えているが、圧倒的な力の差から段々とジリ貧になっていく。


「ギャハハハ!さっきまでの威勢はどうしたよ勇者ぁ!!」


「お前こそさっきのビビりはどこ行ったよ!」


「さっきまではお前が怖かったからなぁ!今は全然怖くねぇよ!雑魚め!!」



奴の一撃が俺の腹に当たった。俺はそのまま壁までふっとばされる。

・・・いてぇ。とっさに回復魔法を使う。久々に使ったな。


俺が回復している最中も奴は攻撃を繰出してくる。何とか剣で戦いつつ相手の様子を見てみる。

随分余裕そうだ。いや、実際に余裕なんだろう。やっぱり外から一撃で終わらせるべきだったのかな。


アイツがビビってる間に倒さなかった俺のミスだ。完全に油断していた。チートで余裕を持ってしまったが故にこんなことになっているのかもしれない。


何かないかと確認するためにもう一度相手を鑑定してみる。


―――――――――――――――――――――

名前:ピラクル

芋虫魔人

臆病で常に不安を抱えて生きている。あだ名は弱虫。スキルを使うと暴力的な性格に変化する。普段は穏やかに暮らしたいと考えているが、時折起こる破壊衝動に自分を抑えきれず、穏やかな環境を破壊しては住処を移すを繰り返している。


状態:躁(逆転空間発動・弱虫発動・反転発動)

体力:3015(30150)

魔力:2905(29050)

筋力:404(8080)

防御:864(17280)

敏捷:291(5820)

知力:428(8560)



【共通スキル】気配察知Lv.MAX、支援魔法Lv.7、呪術Lv.5、体力回復速度上昇Lv.4、隠密Lv.8、格闘術Lv.6、火魔法Lv.6、風魔法Lv.5、無魔法Lv.4、溜め時間省略Lv.5、魔力操作Lv.6


【固有スキル】逆転空間、弱虫、反転


逆転空間

その瞬間において強いものが弱く、弱いものが強くなる逆転空間を作り出す。

消費魔力に応じて範囲が変わる。


弱虫

強い者を前にすると恐怖感が増し弱体化する。


反転

感情が反転する時、強くなる。


―――――――――――――――――――――


対して俺のステータスはこうだ。


―――――――――――――――――――――


名前:ハルヤ・セガワ

性別:男

年齢:23

職業:勇者

状態:正常

称号:異世界からの救世主

レベル:2835

体力 :53061(5306)

魔力 :54912(5491)

筋力 :27916(2791)

防御 :25752(2575)

敏捷 :25242(2524)

知力 :27493(2749)


スキル:

【共通スキル】

棒術Lv.5、格闘術Lv.MAX、剣術Lv.MAX、短剣術Lv.6、槍術Lv.8

水魔法Lv.MAX、火魔法Lv.MAX、風魔法Lv.MAX、土魔法Lv.MAX、光魔法Lv.MAX

闇魔法Lv.MAX、無魔法Lv.MAX、回復魔法Lv.MAX

雷魔法Lv.MAX、氷魔法Lv.MAX、重力魔法Lv.MAX、召喚魔法Lv.1、音魔法Lv.MAX、時空魔法Lv.MAX

生活魔法Lv.MAX、付与魔法Lv.MAX、結界魔法Lv.MAX、支援魔法Lv.MAX、強化魔法Lv.MAX

薬術Lv.MAX、錬金術Lv.MAX


体力回復速度上昇Lv.MAX、魔法操作Lv.MAX、魔力回復速度上昇Lv.MAX、瞑想Lv,MAX、溜め時間省略Lv.MAX


投擲Lv.7、隠密Lv.MAX、忍び足Lv.MAX、気配察知Lv.MAX、観察Lv.MAX、回避Lv.MAX、視力補正Lv.MAX、聴力補正Lv.MAX、加速Lv.MAX、跳躍Lv.MAX、暗視Lv.MAX、嗅覚補正Lv.MAX、気配偽造Lv.MAX、マッピングLv.MAX、逃走Lv.MAX、サバイバルLv.MAX、看破Lv.MAX、目利きLv.MAX、足さばきLv.MAX、浮遊Lv.MAX、器用Lv.MAX、手加減Lv.MAX、保育Lv.MAX、教育Lv.MAX、マッサージLv.MAX、作法Lv.MAX、並列処理Lv.MAX、複合魔法Lv.MAX、多重詠唱Lv.MAX、照準Lv.MAX


勇気Lv.MAX


採取Lv.MAX、解体Lv.MAX、調理Lv.MAX、鍛冶Lv.MAX、大工Lv.MAX、裁縫Lv.MAX、家事Lv.MAX、筆記Lv.MAX、細工Lv.MAX、絵画Lv.MAX、農業Lv.MAX


【固有スキル】チートパック


―――――――――――――――――――――


ステータスでは完全に相手の方が上回っている。

こっちは10分の1なのに相手は10から20倍か。随分便利なスキルだな。


相手は弱虫が発動状態になっているということは、さっきの弱虫で弱体化していたものがそのまま逆転したってことか。そこに【反転】も加わってんのか。コンボじゃねぇかよ。固有スキルを見事に生かしてんな。


しかしこのステータス差はマズイな・・・いつも俺を相手にする奴はこんな気分なのか。

やっぱチートって相手からしたら理不尽だわ。こんな差を見せつけられるのはたまらないな。



だがチートなのは俺の方のはずだ。打開策を考えろ。何か手はあるはずだ。



「ギャハハハ!弱い奴をいたぶるのは楽しいねぇ!!」


「弱い奴に強くて強い奴に弱いって、お前クズだな。」


「ギャハハハ!勇者に悪口言われちまったよ!気持ちいーー!!」


コイツからすれば悪人が嘆いているようなものか。そりゃ気持ちがいいのかもしれん。

反対に褒めれば気持ち悪くなってくれるか?いや流石にないか。



魔人の攻撃は止まらない。俺も何とか戦っているがこのままでは体力が尽きそうだ。こんなに疲れたのはこの世界に来て初めてだ。



何か、何か手はないのか。こんなに考えたのはあの大魔人との戦い以来だな。

あの時はスキルの差で苦戦したんだったか・・・。


よく考えればあの時の俺と大魔人の差よりは今の方が差は小さいはずだ。

あの時は一万ぐらい差があったからな。


そう考えると、スキルでひっくり返すことが出来るはず。

相手はステータスだけ高いがスキルは俺の方が上だ。



ステータスだけが俺のチートじゃねぇ。スキルも合わせて俺はチートなんだ。



「俺が勇者を討ち取るぞ!!弱虫の俺こそがこの場においては最強なんだよ!!」



違うな。最強は俺だ。なんたってチートだからな。弱虫ごときに負けてらんねぇんだ。


俺は戦い方を切り替える。ステータス差を考えれば最大級の業を撃ってようやく致命傷を与えられるぐらいだろう。だから、その時を待つしかない。

俺にはいくつものスキルがあるだけじゃなくすぐにスキルを手に入れられる。今も必死に分析していたらいつの間にか【状況分析】を手に入れていたからな。おかげで奴の戦闘スタイルはもう見切った。



「勇者はしぶてねぇなぁ!サッサと死ね!ギャハハハ!」




ステータスの差はスキルで埋める。だがそれでも俺は自分より上のステータスの奴との戦闘経験はない。

そのあたりが影響しているのか、スキルの差をもってしてもステータスの差を中々ひっくり返せない。


チマチマ反撃し続けるが、奴の体力はあまり削れていないようだ。



それでもあきらめるわけにはいかない。負けたら死だからな。負けたくないというか死にたくない。



奴の攻撃をかわしつつ、俺は攻撃を繰り返す。

俺は待ち続ける。大技を仕掛けるタイミングを。ダメージを与えるにはそれしかない。



俺は剣術Lv.MAXの技【一撃必殺】に備えてじっくりと力を溜めていく。

その間も奴は攻撃し続けてくる。



「ギャハハハ!いつもより動きにくいかい勇者様よぉ!!お前みたいな強者が疲れた顔するのが俺は大好きなんだよ!弱い奴の気持ちを思い知れ!!」



弱い奴の気持ちね・・・。それなら俺も良く知ってるよ。前の世界でその痛みはたくさん味わってきたからな。


でもお前は弱い奴じゃねぇ。今までだってこの力を使って散々人の上に立ってきたんだろう。

そうじゃなきゃそんな狂った性格にはならねぇよ。



弱い奴の痛みを知らないのはお前の方だ。




奴が格闘術を使い俺に迫って来た。・・・この瞬間を待ってたぞ!


奴は高すぎるステータスを使い慣れていないからなのか、踏み込んでから俺に殴りかかってくる。

ちょっと力込めれば十分なのに、低いステータスの時の名残だろうな、わざわざ目一杯踏み込んでいる。


その踏み込んだ瞬間が、剣を振るう合図なんだよ!




本当の弱い奴の気持ちをお前に叩き込んでやるよ。



「食らえ弱虫!!!」



俺は渾身の【一撃必殺】を繰り出した。見事に相手を切りつけることに成功した。

溜めに溜めた俺の一撃は奴の体に大きなダメージを与えた。



「がぁぁぁぁぁ!!」



奴の肩口から腰のあたりまで大きな傷口をつけることに成功した。





・・・だが圧倒的なステータスの差を埋めるほどではなかった。



「・・・ギャハハハ!いてぇじゃねぇか勇者よぉぉ!!今のが渾身の一撃だったんだろぉ?!でも俺は死んでねぇぞ!!最弱で最強の俺は勇者の一撃ですら耐えられるんだよ!!」



耐えきった奴はその場に留まり力を練り始めた。何かスキルを使う気か?!


マズイ。マズイ。この力の差で、疲れ切った状態の俺に技を使われたら死ぬ。

奴が溜めきる前に攻撃しないと。



体力をかなり失った俺は、とっさに魔法を撃ちだす。だが奴はそれを避けすらもしなかった。


「ギャハハハ!こんな魔法痛くも痒くもねぇよ!!」



しまった!今は強い魔法が放てないというのにクセで魔法を放ってしまった。

奴はその間に溜めきったようだ。




「死ねぇ!!勇者ぁぁぁ!!ギャハハハハ!」




スゴイ速さで振り下ろされた拳から衝撃波が放たれようとしている。

だけど不思議とゆっくりに見えた。

・・・死ぬ直前って動きがゆっくりになるって本当なんだな。




ゆっくり、ゆっくりとピラクルの拳が振り下ろされる。

そして吹っ飛んだ。



ピラクルの方が。





俺の目の前には赤い格好をした奴が立っていた。




「待たせたな!貴様にも見せてやろう!下には下がいるという事をな!」

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