クフの街へ
どうして・・・?
朝見た時には、クフの街は黒くはなっていなかった。
あれは、解放されたという事だと思っていたが、もしかしてまだ侵略されていなかったという事なのか?
それとも、他の場所から魔人が攻めてきたという事なのか?
どちらにせよ、今すぐに行かないといけない気がする。
いや、気がするという事ではない。行きたいんだ。助けたいんだ。
あの街を、救いたいんだ。
机に広げた地図を囲み座っている中、俺は立ち上がり、集まっていた兵士たちに伝える。
「皆さん、俺は今すぐクフの街に向かいます!」
今日はもう休もうかと思っていたが、そんなことを考えていられる状況ではない。
「クフの街は、朝は侵略されていませんでした。なのに今は黒くなっています。可能性は二つ。侵略される時期が違ったか・・・再侵略されたかということです。」
「何だと?!それは真か?!」
フェレディさんの大声が響き渡る。よほど興奮しているのだろう。だが、今は声量を気にしている場合じゃない。嫌な事だけど、伝えないといけない。
「えぇ、俺もエリーも確認していますので、それは確実だと思います。もしクフの街が再侵略されているのだとすれば、この街ももしかしたら再侵略される可能性があるということです・・・。」
場に重たい空気が流れる。でも、いずれは誰かが推測するに決まっている。だから、今のうちに伝えなければならなかった。
「ハルヤ殿!何を言っているのだ!!」
フェレディさんの声量がまた大きくなった。この人の限界はどこにあるのか。
「そんなことを今気にしてもしょうがないであろう!!それに、この街には我らアンデーキア軍がいる!あのモンスターの大群を前に、1日耐えた猛者たちである。それに、再び侵略する可能性があるとしても、今度はそのための備えをする時間もある!次があったとしたら我々だけで返り討ちにしてやろう!」
「そうだそうだ!!」
「再侵略がなんだ!俺は今日の戦いでレベルも上がったし、怖いもんなんてねぇよ!」
「何ならこっちから攻めていくか?!」
至る所から、血気盛んな声が飛び交う。
「だから、心配するでない!!この世界は、皆で守っていくのだ!お主一人が背負う必要はないのだ!!我らのことは気にするな!今は、必要な場所に向かえば良いのだ!!」
やっぱり、この街の軍は、とても強いな。それにフェレディさんは、その大声のせいなのか、いつも心に来るものがある。
「ハルヤ殿!とにかく今はクフの街が先決であろう?!フェレディが言ったように、こちらも備えさえすれば戦うことはまだまだ可能である。だから、我らのことは気にするな。無事を祈っているぞ!」
アレクセイさんも快く送り出してくれる。
「ありがとうございます!行ってきます!」
そう言って、俺は飛び出そうとする。が、エリーを忘れていた。危ない危ない。
エリーはどうするんだろうか?と考えていると、既に隣に来ていた。
「ふふふ。最初に来たところがアンデーキアで良かったですね。」
確かに、アンデーキアに来てよかった。おかげで、勇者をやる覚悟が出来た。
「あぁ、救いに来たんだがな。結局、救われた気分だよ。」
「ふふふ。持ちつ持たれつですね。では、行きましょうか?」
「・・・エリーは大丈夫なのか?朝から動きっぱなしだし、もしかしたらクフの街はここ以上に危険かもしれないぞ?」
多分、こいつはついてくると言うと思う。だけど、一応聞いておこう。
「ふふふ。私はパートナーですから。」
「いや、いつパートナーになったんだよ・・・。」
「では道ずれと言いましょうか?」
はぁ、もういいや。時間が惜しい。どうせついてくるだろしな。この街に一人残されても困るだろうし。何かあってから悩もう。
「まぁいい!何かあったらその時考える!では、アンデーキアの皆さん!行ってきます!」
そう言って、俺は聖装を装備した。すると、兵士たちから歓声が上がる。
「おぉまさに勇者だ!」
「この輝きは光の勇者と呼んだ方がいいか・・?いや、あれは!」
「さ、鞘だ!本当に鞘の勇者だったんだ!!」
「鞘の勇者!ありがとう!!」
最後までうるさい人たちだった。でもまぁ、いつかまた会いたいな。そんなことを思わせてくれる人たちだった。
俺とエリーは、別れを惜しみつつ、時空魔法でクフの街まで飛んだ。
と言っても、いきなり街中に行っても状況を見辛いから、とりあえず門まで1キロほどの場所に飛んだ。
すると、遠目でも分かった。クフの街が襲われている。
しかも、街の中からも煙が起こっている。これは街の中まで侵略されているという事だ。
俺は急ぎ浮遊を使い上空に飛び立つ。
上空から見ると、クフの街を襲う魔物の数の多さに驚かされる。
明らかに、リトラスやアンデーキアの街を襲っていたモンスターより多い。
何だこれは?街の規模によって送られたモンスターの数が変わるのか?!
よく見ると、上空から襲っているモンスターがいるが、結界は生きているようだ。とすると、どこかの門が破られたのか・・・。
とにかく、まずは上空を襲っているモンスターを例のごとく始末する。
だが、数があまりにも多い。それに今はエリーを背負っているから動きづらい。少し苦戦していると、エリーが察したのだろう、提案してきた。
「ハルヤさん。私を街中に転移させることは出来ますか?」
「あぁ、可能だ!だが、街中にも火の手が回っているという事は、既に街中にモンスターがいるということだ!危険だぞ?!」
「構いません。まだお伝えしていませんでしたが、私は先の戦いでレベルがかなり上がっています。理由はわかりませんが、恐らくハルヤさんが倒したモンスターから得た経験値を私も獲得したという事でしょう。か弱い女ではなくなってしまったようです。」
レベルが上がった?なぜだ?もしかして、【パーティー】にエリーが組み込まれて経験値が流れたという事か??なんでだろう。理由は分からないが、今は好都合だな。
「わかった!!じゃあ街の教会の前に転移させる!頼んだぞ!」
「ふふふ。任せてください。」
「あと、エリーは最初からか弱くなんかないぞ。表現するなら、図太い女ってところだ。」
「なるほど。ハルヤさん、言いたいことが出来てしまいました。無事にまた会いましょう。フフフ」
エリーの笑顔が怖くなったので、そのままエリーを転移させた。
レベルも上がっているという事だし、何かあっても、何とか逃げてくれるだろう。心配ではあるが、今はエリーに頼むしかない。
それに、さっき覚えた付与魔法で武器も強化したしな。大丈夫だろう。
さて、本日二度目の大暴れだ。俺のレベルもだいぶ上がっている。
どれだけのモンスターが来たとしても、俺には関係ない。
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名前:ハルヤ・セガワ
性別:男
年齢:23
職業:勇者
状態:正常
称号:異世界からの救世主
レベル:1939
体力 :36941
魔力 :38519
筋力 :17490
防御 :16204
敏捷 :16843
知力 :17769
スキル:
【共通スキル】
棒術Lv.5、格闘術Lv.9、剣術Lv.MAX、短剣術Lv.6、槍術Lv.8
水魔法Lv.MAX、火魔法Lv.9、風魔法Lv.MAX、土魔法Lv.MAX、光魔法Lv.MAX
闇魔法Lv.MAX、無魔法Lv.MAX、回復魔法Lv.MAX
雷魔法Lv.MAX、氷魔法Lv.MAX、重力魔法Lv.MAX、召喚魔法Lv.1、音魔法Lv.MAX、時空魔法Lv.MAX
生活魔法Lv.MAX、付与魔法Lv.9、結界魔法Lv.8
薬術Lv.MAX、錬金術Lv.MAX
体力回復速度上昇Lv.MAX、魔法操作Lv.MAX、魔力回復速度上昇Lv.MAX、瞑想Lv,MAX、溜め時間省略Lv.MAX
投擲Lv.7、隠密Lv.MAX、忍び足Lv.MAX、気配察知Lv.MAX、観察Lv.MAX、回避Lv.MAX、視力補正Lv.MAX、聴力補正Lv.MAX、加速Lv.MAX、跳躍Lv.MAX、暗視Lv.MAX、嗅覚補正Lv.MAX、気配偽造Lv.MAX、マッピングLv.MAX、逃走Lv.MAX、サバイバルLv.MAX、看破Lv.MAX、目利きLv.MAX、足さばきLv.MAX、浮遊Lv.MAX、器用Lv.MAX、手加減Lv.MAX、保育Lv.MAX、教育Lv.MAX、マッサージLv.MAX、作法Lv.MAX、並列処理Lv.MAX
勇気Lv.MAX
採取Lv.MAX、解体Lv.MAX、調理Lv.MAX、鍛冶Lv.MAX、大工Lv.MAX、裁縫Lv.MAX、家事Lv.MAX、筆記Lv.MAX、細工Lv.MAX、絵画Lv.MAX、農業Lv.MAX
【固有スキル】チートパック
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もうすぐ2000レベルに到達しようかと言うところだ。改めて見ると、やっぱり人外だな。
ステータスが高いからなのか、耐性を持っているからなのかは分からないが、朝から活動しっぱなしだというのに未だに眠気すらやって来ない。
むしろ高揚感なのか、全能感なのかは分からないが、今なら負ける気がしないとも感じてくる。
・・・いかんいかん。冷静にならないと。戦いは何が起こるか分からない。冷静に対処していこう。
そう考えるが、それでも沸々と怒りが沸き上がり、俺の高揚感を増幅させていく。
魔人め、魔王め。よくもクフの街を襲ってくれたな。
この街は、少しの間しかいなかったが、この世界の俺の故郷みたいな場所なんだ!
そこに手を出したことを後悔させてやる!!
俺は、上空からモンスターの大群めがけて重力魔法Lv.9【範囲圧力】を放った。
この魔法はある程度範囲を指定することが出来る。
前線にいるモンスターは既に人と交戦しているようで攻撃が難しそうだったので、とにかく後方のモンスターを攻撃していく。割とモンスターが密集しているので、一発の攻撃でかなりのモンスターを倒すことが出来た。
ただ、クフの街は大きい。囲っているモンスターの数も多すぎて、どこから手を付ければ良いのかという状態だ。だから、初めにモンスターの侵入経路になりかねない門の周りのモンスターから攻撃していくことにする。
と言っても、門だけでも四つの場所がある。
恐らく、そのどこかが破られて中に侵入されたと考えていいだろう。
一番初めに近づいた北門は、まだモンスターと交戦状態であり、破られたようには見えなかった。
りあえず門の周りのモンスターの大群めがけて何発か魔法を放ち、次の門に向かう。
とにかく、緊急性の高そうな場所を先に救出しないといけない。
俺は東門、南門と回るが、どこもまだ兵士が交戦中だった。まだ破られてはいない。
ということは西門か!俺は急ぎ何発か魔法を放ってから西門に回る。
そして、西門に着いた。
だが、西門も破られてはいなかった。
兵士たちが何人も倒れているが、それでも門が破られた様子はない。
おかしい、どういう事だ?!どこからモンスターが街中に侵入している?!
すくなくとも、街の中から火の手が上がっているし、上空から見た限りでもモンスターが侵入し建物が何件も破壊されていた。
俺は急ぎ街の周りを見て回る。
すると、一カ所、街壁に穴が開いている場所を発見した。
あまり大きな穴ではないため、大きいモンスターは入れそうにはない。それでも、2メートルぐらいのモンスターなら通れそうだ。
幸い、堀があるため全てのモンスターが入れるという事ではないが、それでも飛び越えて入っていくモンスターがかなりいそうだ。
俺は急ぎその場所に降りて、あたり一帯のモンスターを光の刃で倒していった。
そして街壁を土魔法で修復する。かなりの魔力を込めて街壁を作る。
これでしばらくは大丈夫だろう。
もしかしたら他にも破られた箇所があるのかもしれない。
そう思い全ての場所を見ていったが、破られている場所は他にはなかった。とりあえず、これで街中への侵入経路は一先ず安心か。
この街の壁が破られているというのは、かなり強いモンスターがいることの証明になる。
この街の壁は魔法で作られている。かなり分厚く、強度も高い。それをぶち破るという事は、かなりの攻撃力を持っているという事だろう。警戒しないといけないな。
さて、どこから手を付ければいいものか。
四つの門すべてがモンスターに襲われている。
そして、街中にもモンスターが侵入している。
どこも、危険な状態だ。だが、体は一つしかない。全てのところに同時には行けない。
いや、防衛に関しては、街の人たちを信じよう。
俺は一人で何でもやらなきゃいけないわけじゃない。
今必要な場所に行けばいい。そう、フェレディさんが教えてくれたからな。
俺は気配察知を発動する。
一番強い気配を。魔人の気配を探る。魔人さえ倒せば、この状況を打破できるはずだ。
魔人を見つけた。
西門の後方、そこからかなり強い気配がある。
さっさとぶっ飛ばして、こんな状況終わらせてやる!




