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あれから

第二章の始まりです。


あ、またMAXになった。



―――――――――――――――――――――


名前:ハルヤ・セガワ

性別:男

年齢:23

職業:勇者

状態:正常

称号:異世界からの救世主

レベル:958

体力 :17261

魔力 :18152

筋力 :8131

防御 :6450

敏捷 :7214

知力 :8095


スキル:

【共通スキル】

棒術Lv.5、格闘術Lv.5、剣術Lv.6、短剣術Lv.6

水魔法Lv.MAX、火魔法Lv.9、風魔法Lv.MAX、土魔法Lv.MAX、光魔法Lv.MAX

闇魔法Lv.MAX、無魔法Lv.MAX、回復魔法Lv.MAX

雷魔法Lv.MAX、氷魔法Lv.MAX、重力魔法Lv.MAX、召喚魔法Lv.1、音魔法Lv.MAX、時空魔法Lv.MAX

生活魔法Lv.MAX

薬術Lv.MAX、錬金術Lv.MAX


体力回復速度上昇Lv.MAX、魔法操作Lv.MAX、魔力回復速度上昇Lv.MAX、瞑想Lv,8、溜め時間省略Lv.MAX


投擲Lv.7、隠密Lv.MAX、忍び足Lv.MAX、気配察知Lv.MAX、観察Lv.MAX、回避Lv.7、視力補正Lv.MAX、聴力補正Lv.MAX、加速Lv.MAX、跳躍Lv.MAX、暗視Lv.MAX、嗅覚補正Lv.MAX、気配偽造Lv.MAX、マッピングLv.MAX、逃走Lv.MAX、サバイバルLv.MAX、看破Lv.MAX、目利きLv.MAX、足さばきLv.MAX、浮遊Lv.MAX、器用Lv.MAX、手加減Lv.MAX、保育Lv.MAX、教育Lv.MAX、マッサージLv.MAX


勇気Lv.MAX


採取Lv.MAX、解体Lv.MAX、調理Lv.MAX、鍛冶Lv.MAX、大工Lv.MAX、裁縫Lv.MAX、家事Lv.MAX、筆記Lv.MAX、細工Lv.MAX、絵画Lv.MAX、農業Lv.MAX


【固有スキル】チートパック


―――――――――――――――――――――



解れた服を直し始め、少しすると裁縫のLv.がMAXになった。




チートパックの成長補助に加え、【勇者】のスキル成長補助もあり、今ではとんでもないスピードでLv.を上げられるようになった。


裁縫は10分ぐらいでMAXになった。かなり上げやすいスキルだ。





ただ、スキルLv.が上がっても、もう何も嬉しくはない。


10分で上がるスキルだ、そこに感動は当然ない。





そういえば、最近になってもう一つ楽しくないことを発見した。



それはスキルLv.が10以上には上がらないという事だ。




技能系のスキルはLv.10で終了だ。それ以上はどうしようもない。



これ以上成長しないとわかると、途端に面白みがなくなるものだ。



前の世界では自らの身でそんな経験をすることはなかったから、新鮮な経験ではあったが、与えるのは絶望ばかりである。






あの時、サムエルさんたちから逃げた俺は、森の中をさ迷うハメになった。



特に行く当てもなく飛び出したからな、当然そうなる。




俺は北に向かって歩いていくことにした。理由なんてない。というか後から地図を確認して北に向かっていたことがわかっただけだ。



しばらく北に向かって走っていると、荒れ野に出た。




そこで俺はストレス発散とばかりに色々な魔法を撃ちまくってみた。


何だかんだ魔法は楽しい。大魔法はストレス発散になる。



撃ちすぎて色々な魔法のLv.がMAXになっていった。この辺ではまだ、スキルLv.が上がる喜びがちょっと残ってたんだ。



【勇者】のスキル成長補助の分を考えていなかった俺は、あまりにも早く上がっていくスキルLv.に驚きながら、それぞれの高Lv.の魔法を撃ちこんでみた。



とんでもない威力の魔法は、何だかんだ魔法のない世界から来た俺にとっては、楽しかった。大迫力だしな。


ただ、高すぎる威力が、それだけで自分が異物であることも伝えてくる。



気軽に本気で撃つことは出来ないだろう。それぐらい、激しい魔法だった。




自然災害を自分で起こせるようなものだ。何だか、自分で自分が怖くなった。



それ以来、大魔法は使ってない。






最初は、森の中で一人寂しく暮らそうかと考えた。


人と生活すると、自分のスキルLv.の高さが嫉妬ややっかみを買いそうで、怖かった。だから、森にこもることにした。




土魔法で家を作り、生活し始めたが、3日で限界だった。




一人は、あまりにも寂しい。生きられるけど、それだけでしかない。


娯楽も何もない森の中だ。俺は僅か3日で根を上げた。





そこから俺は、色々やっていた時に覚えたスキル【浮遊】で空を飛び、近くの街を目指した。



上から見ると、どこに何があるのかがよく分かる。


浮遊を覚えたことで、これからは馬車にも乗りたくないって考えるんだろうな。


一つスキルを覚えると、一つこの世界の常識から外れていく。


それがたまらなく怖くなる。でも、便利を知ると、それから離れられなくなる。



俺はスキルを使っているのか、縛られているのか。分からなくなる。





夜になると街以外では灯りがないので、街の場所がよく分かる。



近くにはそこそこ大きな街があった。クフの街に比べると小さそうだが、それでも中々の規模だ。



その街はナザールという街だった。



街に着いた俺は、しばらくはサムエルさんからもらった3万Gで生活をしようと思った。


ただ、当然いつかは資金がなくなる。その時のために、冒険者ギルドで日銭も稼ぐことにした。



最初は、街の雑用だった。Gランクだから、そういう依頼ばかりだった。




そこで初めてやった大工仕事や家事、鍛冶仕事で俺のスキルLv.はすぐにMAXまで上がっていった。




仕事を初めてすぐはもてはやされる。「やるじゃねぇか!」と。でも、上がっていくLv.を前に、次第に嫉妬が向けられるようになっていった。



自分の腕に自信があればあるほど、その感情は強くなっていったのではないだろうか。



自分が数十年積み重ねてきた技術が、たった一瞬でついさっき始めた奴に抜かされていくんだ。腹が立つよな。




だから俺はスキルLv.が上がってもゆっくり作業をするようにしたり、わざと下手にやるようにしていった。そのころに【手加減】というスキルを覚えた。


これによって嫉妬されることはなくなった。




ただ、何だか一生懸命に仕事をしている周りの人を馬鹿にしているような気がして、苦しくなった。




いたたまれなくなって、それ以来雑用の仕事を受けるのはやめて、モンスター討伐をメインにした。




冒険者ギルドでは目立たないようにソロで活動していたが、それでも見えてくる腕の良さ。


ある時、フォレストウルフの喉をかっさいただけの綺麗な状態でギルドに納品したら、それ以来周囲の目が変わった。



フォレストウルフは敏捷が高く、喉を綺麗に切り裂くには相当の敏捷と、ある程度の力、剣の腕が必要になる。



そのことに気が付いたのは納品してからだった。



それ以来、パーティーへの加入の依頼が増えた。



正直、心は揺れた。


俺は今人恋しい状態にある。だから、どこかのパーティーに入って、適当にやり過ごせばいいかなとも考えた。



でも、底の部分ではパーティーの人たちと分かり合うことは出来ず、一つ一つの喜びに対して、どこかで見下すようになる自分がいるんじゃないか。


例えばそのパーティーにとって強敵と言えるモンスターを死闘の末に倒したとして、俺は一緒に喜べるか。多分、無理だろう。本当ならパンチ一発の相手に、達成感など得られない。



そう考えたら、入る気にはなれなかった。





冒険者ギルドはなぜか面倒見の良い人が多い。それも痛みになっていく。


心配して冒険者としてモンスターと戦うための心得を教えてくれる人がいる。


必要ない、と言えればそれでいいのだが、関係を壊したくなくていつも相槌を打ちながら聞いていた。



彼らの善意の心配が、自分がこの人たちを馬鹿にしているように感じてしまい、苦しくなる。




何よりも、冒険者ギルド自体に居づらくなったのは、その人たちと同じ時間に酒場を利用した時だ。



この街の冒険者ギルドは、酒場が併設されている。


一度そこで飯を食ってみようと思い使ってみたのだが、周りの人の声が良く聞こえてくる酒場でもあった。


酒場だったから良く聞こえたのかもしれないが。



その中に、善意に溢れて俺を心配してくれた人たちもいた。


すると、どんなモンスターを倒したとか、レベルやスキルLv.があがっただとか、良い装備を買っただとか。そういう話ばっかりなんだ。



俺だけは、その話に入れない。



レベルが合わないんだ。高すぎるが故に、その話があまりにも陳腐に聞こえてくるんだ。



自分の中で、彼らを下に見る感情があることに気が付いた時、酒を飲んだわけじゃないのに吐き気がした。



それ以来、冒険者ギルドにも居づらくなった。




あの場所は向上心が高い場所だ。いつも自分の力の向上に夢中だ。


ただ、彼らの向上した先は、俺にとってはゴブリン30匹程度だ。



だから、嫌なんだ。



楽しそうに話す姿がまぶしくて、自分が醜い者のような気がして、嫌なんだ。





俺はナザールの街でも居づらくなって、結局街からまた逃げ出した。





浮遊魔法を使い北に上っていくと、リトラスという村に着いた。


人口200人ぐらいだろうか。小さなのんびりとした農村。



景色が綺麗で、人も優しかった。



だから、ここでひっそりと生きていこうと決めた。



サムエルさんからもらった金と前の街で貯めた金を使って、家を借りることにした。


と言ってもとてつもなく安かったので、そこまで貯蓄には響いていない。




村で始めたのが、『何でも屋』だ。


幸い、この村には冒険者ギルドがなかった。何かあると歩いて一日のところにある近くの街まで行って冒険者に依頼するらしい。


なので、ギルドの代わりと言うわけではないが、生活の小さなことであれば手伝うということで、『何でも屋」を始めたのだ。



もうどこかに所属することも、誰かと暮らすことも諦めた俺は、この街でひっそりと生きていこう。


そう決めた結果の何でも屋だ。




初めは、怪訝な目で見られた。



それもそうだ。小さな農村にわけのわからない奴が急に何でも屋を始めたのだ。誰も利用するわけがないだろう。



だが、森で得たモンスターの肉などを対価に物々交換で食料を分けてもらったり、何かあると手伝いに行ったりしながら生活するうちに、俺に少しずつ心を許してくれたようで、半年も経つと何か小さなことがあると俺に頼むようになってきた。



屋根を修理してほしい、収穫を手伝ってほしい、子どもの面倒を見てほしい、モンスターを退治してほしい。



今は解れた服を直してほしいという依頼を受けて、裁縫をしていた。


裁縫の経験はなかったが、あっという間にLv.MAXになっていた。




やっていることはナザールの街での雑用と中身は大して変わっていない。


ただ半年もこの小さな農村で暮らしていたからか、依頼してくる人は全員顔見知りだ。顔を知っている誰かのために行う働きは、喜びがあった。



自分の力が、誰かのためになるというのは嬉しいものだ。


馬鹿みたいに早く上がるLv.だが、これが誰かの喜びに変わるんだったら悪いものじゃないのかもしれない。




小さな農村で、名声も地位も大した金ももらえない。ハーレムだって全然ない。




だけど、ここは居心地が良かった。


何も得られないのかもしれない。だけど、人の感謝が、今はただただ嬉しかった。





少しずつ心が満たされて、俺はようやくこの世界での地盤を築きつつあった。

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