1話イヴィルナーヴァ
軍団ものです。よろしくお願いします。
20XX年、超美麗なグラッフィックかつ豪華声優陣を起用したVRクソゲーがあった。
そのゲームの名前は『フェーズ•ローズ』略してPR。
PCに高スペックなマシンパワーを求められるがそれに見合うだけのグラッフィックおよび登場するキャラクターがメインモブ問わずフルボイス。そしてモンスターや敵性存在をテイムして強力な軍勢を作り他プレイヤーと戦うというのがこのゲームのコンセプトだ。
一見すると面白そうに思えるこのゲームは、半数以上のプレイヤーからはクソゲーと評価される。
それはなぜか?
まずプレイヤーは、魔物が跋扈する広大な面積の大森林に降り立つ。だがその時点で何の装備もなくスキルも無い状態。そのため魔物とエンカウントすれば一方的に蹂躙されてしまい死んでしまう。しかもこのゲームは一度死ぬとデータが強制消去されまた1からやらなければならないという鬼畜仕様なのだった。
そのためプレイヤーは自身の知恵と試行錯誤によって力をつけ魔物やその他諸々を服従、屈服させ仲間にしなければいけない。この難易度の高さがクソゲーと呼ばれる所以なのだった。
だが世の中にはどれだけ難易度が高かろうが挑戦し続ける変態…いや努力家なゲーマーが多数存在する。そのうちの1人が私だ。
そしてそんな私はこのPRのプレイヤーの中でもかなり…いや、相当やりこんでおり、何度もデータ消去されてもやり続け、ついにテイム可能な全ての存在とアイテムを入手し、自身のステータスも限界まで上げたのだった。それゆえにPVPをやっても全戦無敗(とはいっても負けたらデータ消去されるから当たり前なのだが)でありゲーム内最強といってもいい存在となっていた。
そしてPRの頂点にたった私は今日もゲームを起動していた。
「さて、今日は何をするかな。昨日はPVPやったし、拠点の模様替えでもするか。」
鼻歌まじりに自身の拠点であるイビルナーヴァへと向かう。イビルナーヴァとは私がアホみたいに時間をかけて作った城の名前だ。イビルナーヴァはピラミッドのような四角錐の形をしており、内部は50層のフロアにわかれている。各層は個別で外観を変更することができ、詳細なクリエイトができるのだ。
「配下のキャラのフロアばかり弄っていたせいか、マイルームが初期の外観に毛が生えた程度なんだよなぁ。いい加減模様替えしないといけないと思ってたしちょうど良い。」
マイルームは基本的に立ち寄る必要がない。アイテムはメニュー画面のアイテム欄から引き出せるし、事務作業等は申し訳程度にはあるが許可を求める書類にサインするだけのほぼ意味のないものだ。そしてイヴィルナーヴァ内は自身やその配下に対して常に回復効果をもつ神聖魔法が充満しているため、自室に戻って休息する必要がない。マイルームの存在はプレイヤーにとってはあってないものだった。
「おお久しぶりの我が部屋。相変わらず何の感動もない普通の部屋で笑えるわ。」
繊細な意匠が施されたドアを開ければそこに見えるのは平凡な部屋。申し訳程度に豪華な調度品があるがそれだけだ。しかしこの部屋こそイビルナーヴァの城主であり最強の軍勢を率いる者の自室だ。さて、どこから手をつけようかと考えていると突如頭に直接響き渡るようなノイズが聞こえた。
―――キィィィン
その直後
「アァァァァァァァッ」
頭が割れるような痛み、揺さぶられるような不快感、言葉では形容しがたい感覚が突如襲いかかった。
あまりの出来事に並行感を失い足がよろめく。目の前が真っ暗になり意識がだんだん遠のいていくのを感じた。そしてとうとう床に倒れ伏した。
意識を失う瞬間心地の良い声音が私を呼ぶ声が聞こえたが、今の状態では返答ができずそのまま意識を失うのだった。
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