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異世界で闇落ちした俺は大好きだった彼女の宿敵(ラスボス)となりました。  作者: ドットオー
最終章 月野木天音とプリミティスプライムの伝説

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第92話「クーデター」

ニュアル・ウルム・ガルシャード⋯⋯

15歳になった彼女は出会った頃から見違えるほど大人の女性になった。


「ツキノキアマネ。そなたはしばらくみないうちに見違えたのう。

儂を前にしても頭(こうべ)を垂れぬほどに態度が大きくなるとは」

「妾はプリミティス・プライム。この世界の神ぞ。

なぜ、女王ごときにこの頭を下げる必要がある」

「まさか、36枚のカードの中からたった一枚の当たりを引いていたのはそなただったとは。

儂にも見破れなかった」

「そなたが望んだ神ぞ。ダンジョンでそなたが封印を解き、妾たちがこの世界に召喚された⋯⋯」

「どこまで気づいておる⋯⋯」

「すべてだ」

「⋯⋯」

「ニュアル・ウルム・ガルシャード。

シャルユも今のそなたのように美しかったのであろうな」

「「⁉︎」」

「すべては祖父であるギール・アウルス、お前の描いた復讐だな」

「やはり知っておったか。私と女王陛下の関係を⋯⋯」

「皇帝への逆襲ーー見事にフェンリファルト帝国を乗っ取ってみせたな。

だが、もう充分ではないのか?」

「私は⋯⋯示したかったのだ! 皇帝の血が流れるニュアルがここにいることを」


ーー

これはギール・アウルスが残した手記


シャルユを残してきてきた村に帝国の皇太子がやってきた。

皇太子の目的はドラゴンと心を通わせる少女に会うこと。

皇太子はこの世界の伝承に興味を抱き、帝国領の各地を巡っては伝承を調べていた。


皇太子は以前にも周囲にこう語っていたそうだ。

自分の夢はこの世界の成り立ちを知りたいことだと。

それにはこの世界の伝承を調べ上げ編さんし、この世界の歴史を数冊の本にまとめあげる必要がある。

そして神が眠る遺跡を見つけることと⋯⋯


そんな皇太子が少女の噂を聞いてシャルユに興味を抱かないわけがない。

あろうことか2人は出会って惹かれあってしまった。

皇太子が得た知識が言葉が聖人の血が流れているために生きづらさを感じていたシャルユの心に希望と癒しを与えた。



もちろん皇帝陛下は激昂した。

血統を重んじる皇帝は聖人であるシャルユを認めなかった。

それでも皇太子はシャルユとの結婚を諦めなかった。

駆け落ちを決行し、強引に結婚式を挙行しようとする皇太子に、皇帝陛下は軍を動かす手段にまで出て止めようとした。

教会で2人が愛を誓おうとしたそのとき、帝国兵たちが乗り込んできてシャルユから皇太子を無理矢理引き剥がしたのだ。

あのときのシャルユの悲痛な叫びは今も忘れない。


まもなくしてシャルユは皇太子の子を出産した。

しかし、皇帝陛下は生まれたての子にまで容赦しなかった。

ダルウェイル国に流し、ニュアルは徹底的にいなかったことにされた。


そして皇帝の悪意の手が、帝国を追放されたシャルユが乗せられた馬車にまで伸びる。

馬車が走っている最中に車輪が外れて、シャルユが乗った馬車はそのまま崖の下へと落ちていった。


ーー


「私はギール・アウルスと名前を変えて皇帝への復讐を誓った。

我が子を殺されて黙っている親などいない。

皇太子殿下が私がニュアルのそばにいることをお目こぼしくださったのも

殿下も私と同じ気持ちだったからだ」

「どうやら皇太子は長い伝承の調査の中で、神が眠る神殿を見つけていたようだな?」

「なに?」

「ギール。神はすべてお見通しのようじゃ」

「女王陛下⋯⋯」

「そうじゃ。儂を追放するならばダルウェイル国にと皇帝に迫ったのは皇太子殿下じゃ。

儂が男の子だったら殺されていたそうじゃ。そう、神殿はエルムの森にある。

皇太子殿下は儂が暮らす館を追放先の国王に命じてまでして、エルムの森が見渡せる場所に造らせた。

それもこれもすべて両親が唯一、儂に授けてくれたギフトだったのじゃ。そのことに気づくのに10年はかかったがな」

「そして、妾たちが召喚された」

「儂も想定外じゃ。皇帝を出し抜き、儂が先に神の力を手にすることができると思って魔法陣に触れたが

まさかそなたたちが召喚されるとは」

「だが、神はこうしてそなたの目の前に現れた。さぁ、この世界の王よ。もはや人間の王は不要だ。

すぐにその玉座から降りるがいい」

「聞いておったか神よ。儂がこの玉座に座るまでにいくつもの血が流れておる。

鷲御門もそのひとりじゃ。よそ者のためにそうたやすくこの玉座を渡すわけにはいかぬ。

そなたたちとはここでお別れじゃ」


「!」


ーー


不意に死角から迫ってきた黒い影を葉賀雲 影家がクナイを投げて弾き返す。


「でかしたぞ。葉賀雲 影家」

「御意」

「運のいいやつだ。今のでくたばっておけよ。月野木天音」

「紫芝さやか。そなたもしつこいな」

「あん?」

「魔王とはすでに手打ちができておる。あとはお前たちをすべて始末するだけだ」


***


「「ハハハッ、ウケるぜ」」


「マジ腹いてぇ」

「ハハハ、どうだナユタ? 仲間だと思っていた兵士たちに

銃口を向けられて、お腹に穴を開けられた気分は?」

「桂⋯⋯内海⋯⋯」


***

「博士、頼まれたもん持ってきたぜぇ。 ⁉︎ うぉ、お前誰だ?」

「俺は魔王軍幹部のトールっす。博士って奴は殺させて頂きましたよ」

「博士ッ!」

「こいつは村のダークエルフたちや妹を傷つけたあげく、ダークエルフの血を使って亜人たちを虐殺する兵器を作り出したっす。

この男の罪は俺が裁いた。そして次は鳴島海、お前っす」

「⁉︎」


***

「メイちゃん先生⋯⋯」

「本当にこの人が⋯⋯メイちゃん先生なの?」

「紡木さん、乾さん、裏切られたって気持ちはどう?」


つづく


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