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異世界で闇落ちした俺は大好きだった彼女の宿敵(ラスボス)となりました。  作者: ドットオー
第5章 右条晴人とクライム・ディオールの伝説

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第64話「闇落ち」

月野木天音視点


“リグレーヌ平原の戦い”


のちにフェンリファルト帝国滅亡のきっかけとなった出来事として

ニュアルちゃんがフェンリファルト皇国最初の歴史に刻んだ合戦の名前だ。

イリスちゃんとロープにしがみつきながら地上へと引き上げられている最中に当時のことを思い出していた。

いや、これは思い出させられているんだ。

私の頭の中を探っているハルト君によってーー


***

ダルウェイルからやってきた私たちが真っ先に目にしたリグレーヌ平原の模様。

それはまるで時代劇映画の合戦シーンを観せられているようだった。

陽宝院君が私たちの目の前に立って勇ましく宣言する。

「敵はここリグレーヌ平原にある! 僕たちはこの戦いに勝って、

自由で誰からの脅威に晒されることのない安全圏を得るんだ!」

陽宝院君の力強い言葉によって2年B組の士気が一気に高まる。

やる気に満ちたクラスメイトたちの表情をひとりひとり確認するように

見回した陽宝院君は声のトーンを落として続ける。


「残念ながら敵側の中には右条晴人君がいる」


「「「⁉︎」」」


雷に打たれたような衝撃が走った。

「ハルトのヤツ⋯⋯何をやっているんだ」

1番に親しかった東坂君が声を震わせながら悔しさを滲ませる。

周囲からは『またあいつかよ』『空気が読めない』と、ハルト君の行動を口汚く非難する声が飛び交う。

それを聞いてハルト君を信じたい気持ちが私の中に憤りにも似た感情を芽ぶかせる。

「志の違いがあってのことだ。だから僕たちも全力を尽くして戦おう」

ハルト君が決断して決めたこと。ならば東坂君と私も現実を受け止めるしかない。

悔しいけど今はみんなと気持ちをひとつにして戦うんだ。


***


『レイニーアロー!』


右目の紋章を輝かせた陽宝院君はチート能力を解き放った。

上空から降り注いだ光の矢がリグレーヌ平原を覆っていた雲を突き抜けて次々と地上に落下。

轟音を響かせながら戦場に土煙が捲き上る。

激しい攻撃だった。たくさんの兵士たちが犠牲になった。

私たちと歳が変わらないポニーテールの女の子が、それでも立ち上がろうとしている。

女の子は、杏樹ちゃんと国城さんを前によろめきながら短剣を握りしめて身構えた。

「かわいい女の子めーけっ。あー、だけど体中キズだらけで服もボロボロ⋯⋯イタイタしぃ」

「なんかよう? あんた」

「杏樹、無闇に近づくな」

「妬いているの? カエナ」

「違う。こんなヤツ、眼中に無い」

「フフッ、だって可愛いじゃない。薄汚い野良猫みたいで」

場違いな微笑みを浮かべる杏樹ちゃんの頬を光の線が横切って、“ツー”と血が滴りはじめる。

「おい、バカにしているとかすり傷じゃ済まないぞ」

「貴様、杏樹の顔によくも!」

「いい⋯⋯」

「杏樹?」

「すごくいい。感じてきちゃったぁ。私、手がつけられない子ほど、手なづけたくなるの」

「気持ち悪いヤツだな」

「おいでぇ。やさしくしてあげるから。どうしたの? 私が抱きしめてあげるのよ。ほら」

「杏樹⋯⋯こんなヤツに。おい、お前、これがどれだけ幸せなことか分かっているのか!」

「知るかよ」

「⁉︎」

何かにハッとした杏樹ちゃんの顔から急に笑顔が消えて狼狽えた表情に変わる。

「どうした杏樹?」

「け⋯⋯穢らわしい⋯⋯この子、男を知っているわ」

「なんだと!」

突然、嘔吐をはじめた杏樹ちゃんは、『やられた⋯⋯』と、ポニーテールの女の子を睨みつける。

そして、『消えなさい!』と、杏樹ちゃんが掌を翳した瞬間、地面にブラックホールのような空間が現れて

中から生えてきた紫色の腕たちがポニーテールの女の子を地面に引き摺り込んでいく。

「どうやら私の勝ちのようだ」

女の子が勝ち誇った顔を見せる。

「は? 何を言っているの。死にそうになっているからって頭おかしくなっちゃった?」

「見下しているんだよ。男の肌の感触すら知らない生娘って。そうさ! 私はこの身体に男を入れた!

お前たちが経験したことないことすべて経験したんだ。いいこと教えてやる。男を知った女は強いんだ!」

ポニーテールの女の子は勝ち誇った顔のまま、杏樹ちゃんを見据えながら地面の中へと飲み込まれていった。


***

一方、青を基調とした鎧を纏い、白いマントを翻す勇者のような装いの男の子に、鷲御門君は剣を交えて戦っている。

白マントの男の子もまた同じ歳くらいだ。

金属音を立てながら2人は何度も剣をぶつけ合う。

めずらしくも鷲御門君が押されている。

剣が交わうたび、白マントの男の子の剣先が鷲御門君の首筋に近づいてきている。

完全に間合いを詰められてきている。

次の一太刀が鷲御門君の首を捉えて振り下ろされる。

しかし、鷲御門君は間一髪のところで背中の紋章から取り出した2本目の剣がそれを防いだ。

「ハルトと同じように紋章を使った⁉︎ もしかして彼がハルトの言っていた仲間?」

「貴様もどうして紋章を使う? 異世界人にも扱えるのか?」

「会話が噛み合いそうにないね。ハルトの仲間じゃないなら遠慮なく倒すよ」

「答えないなら7つの聖魔剣がお相手しよう」

白いマントの男の子は髪を逆立てながら青いオーラを身に纏って剣を振り下ろす。

鷲御門君も紅オーラ身に纏って彼の剣を弾き返した。

2人の剣と剣の応酬はスピード、パワー、いずれも人間を超えている。

「数秒先を読んで戦っているのか?」

「だとしたら?」

「俺はそれを上回るスピードで戦う」

2人はさらに加速する。

ついには剣と剣が激しく鍔迫り合う。

剣を挟んで互いに目を合わせる2人。

ここからは力の押し比べだ。

互いに一歩もひかない。


「「うおおおおお」」


白いマントの男の子が顔を歪める。

そこからすぐに男の子は膝から姿勢が崩した。

鷲御門君はこの好機を逃すことなく、剣を振り下ろす。

肩から腹部にかけて斬られた男の子はその場にうつ伏せに倒れた。

勝ったはずなのに鷲御門君の顔は険しい。

白いマントが風でめくれ上がり、露わになった男の子の腰の辺りには血の痕が広がる穴が開いていた。

「手負いで戦っていたのか。もし万全だったら斬られていたのは俺の方だ」

「それでも君の勝ちには変わりない」

「鷲御門 凌凱だ。名は?」

「ルーリオ⋯⋯ルーリオ・ディオール」

「覚えておこう」


***

ようやく地上に出てこれた。

へたり込んでいるとハルト君、いや、クライム・ディオールの鋭い眼光が私を見下ろしてくる。

「欠片が揃った。月野木、お前の記憶のおかげでルーリオとシルカの最期を見届けることができた。感謝する」

「⁉︎」

クライムの言葉にハッとした。

「なんてことを⋯⋯」

手で口を覆わずにはいられなかった。

「これでまたひとつクラスの奴ら全員を殺す決意が固まった」

やはりそうだ。鷲御門君と杏樹ちゃんが倒した白いマントの男の子とポニーテールの女の子がルーリオ君とシルカちゃんーー

気づいた私は心にとてつもなく大きな罪悪感が去来した。

あのとき激闘を終えて戻ってきた鷲御門君と杏樹ちゃんを私たちはクラス大会のノリでハイタッチで出迎えた。

何をあんなに喜んでいたんだろう私は。

敵対する相手にだって家族がいて、仲間がいて、誰かの大切な人のはずなのに。

ルーリオ君とシルカちゃんはハルト君の記憶からがどんな子だったのか知ってしまったために余計につらい。

「クライム行こう」

イリスちゃんの冷たい視線が突き刺さる。

クライムとイリスちゃんが背中を向けて立ち去ろうとする。

「待って!」

そのときだ。私の脳に突き刺さるような痛みが走る。

「うっ」

ハルト君の最後の記憶が一気に流れ込んでくる。


***


「右条、あんた死んだんだね」


紫芝さやかは不敵な笑みを浮かべながら、3本の槍で貫かれた右条晴人にスマホのカメラを向ける。

「安心しなちゃんとみんなに伝えておいてやるよ」

桂匠(かつら たくみ)も半笑いでスマホのシャッターをきる。

「こいつ右条? マジで串刺しじゃん」

内海はじめも嬉々とした表情でスマホの画面をタップする。

「ハイ、拡散、拡散」


***

後藤駿平はスマホに送られてきた写真を見て、声に出して笑う。

「ハハハッ、生きていたのは驚きだったけど、右条のヤツ、これは傑作だ。無様すぎるだろコレ」

後藤の脇で腕から血を流しながら膝を折っていたレオン・ハイストンは剣を手に立ち上がる。

「どうしてウェルス王国との和睦を反故にした? 」

ウェルス王国・エルドルド伯爵領にある屋敷でウェルス王国とダルウェイル国による和睦に向けた話し合いが

行われるはずだった。

後藤たちダルウェイルの騎士たちは話し合いが行われる部屋へ入るなり、中にいたウェルス王国兵と

レオン・ハイストンに斬りかかった。

この行為はウェルス王国との開戦の合図となった。

「陽宝院は何を考えている?」

「は? もちろん決まってんじゃん。ウェルス王国を滅ぼすんだよ。それで帝国も倒してこの異世界を征服する」

「愚かなことを。こんなことはよせ! 後輩。先にこの世界に来た詠凛の先輩としてアドバイスしてやる」

「うちの学校に西洋人のパイセンが居たなんて知らないんですけど」

「陽宝院から何も聞かされていないのか?」

後藤はレオンの腹部を蹴り上げて、その場に蹲らせる。

「知らないね」

「どうしてだ⋯⋯」

「俺たちはこの異世界の人間が言うことを信用しない。それだけ俺たちは騙されてきたんだ。

日本人を騙るならもっとマシなウソをつくんだな」

後藤は絶望するレオンに剣を振り下ろす。

音を立てて顔に浴びたレオンの返り血に後藤は不気味な笑いを浮かべる。


***

ユークス皇帝が勝利の余韻に浸りながら、残党狩りがつづく戦場を眺めていると、

伝令の兵士が息を切らしながら掛けてくる。

「皇帝陛かーッ!」

「何事だ!」と、ユークスの隣に控えていたガルザ公爵が険しい顔をする。

「加勢したダルウェイルの兵たちが一転、こちら側に攻めてきております」

「なんだとッ!」

驚愕するガルザ公爵をよそにユークスは笑い声をあげる。

「ハハハ、そうか姉上、そう来たのか」

余裕をつくろうユークスだが再び戦場に向けた目には焦燥感が滲む。


***

「さぁ、私たちウォーリアーのお仕事の時間だよ」

紫芝さやかは棘鞭を振り回して、逃げ惑う帝国兵たちを次々と惨殺。

彼女には迷いやためらいなんてものはない。

それに内海と桂もつづく。

内海の地形操作で地面を湾曲させ逃げる兵士たちの動きを止めたあと、

桂の重力操作で持ち上げられた岩石が落下する隕石のように次々と兵士たちの頭上に落ちてくる。

ふとした紫芝さやかが視線を移すと右条晴人の亡骸が忽然と姿を消していることに気づく。

「ねぇ、右条の死体知らない?」


***

右条晴人視点


「どうしてなんだ陽宝院⋯⋯」


俺はイリスに背負われながら、スマホを握りしめている左腕をだらりとぶら下げる。

通話が途切れたスマホからはもう陽宝院の答えは返ってこない。

クラスメイトからの2度目の裏切りに、さすがの俺も心が打ちのめされた。

必死な顔つきで瀕死の俺を背負って歩くイリス。

その小さい身体じゃ俺なんて重たいだろうに。一歩前に進むだけでやっとじゃないか⋯⋯

もういいんだ、イリス。

俺を置いて逃げろ。そんなペースじゃすぐに敵に追いつかれちまう。

お前だけは生き延びるんだ。

するとイリスが急に立ち止まった。

なんだ? この辺りから風の音がちがうーー

洞窟だ!

切り立った崖の隙間にできた洞窟をイリスが発見したんだ。

隠れるのに最適だと考えたイリスは、ためらうことなく俺を背負ったまま洞窟の中へと入っていく。

モンスターの気配は感じない。

ただ奥の方からは光を感じる⋯⋯

イリスが止まることなくスムーズに歩けているのは、

青白く輝きを放つ光が行く手を照らしてくれているからだろう。

そして光に引き寄せられるようにイリスは進む。

風の音が再び変わる。

どうやら広いところに抜け出たようだ。

今度は水の匂いがする。そして”ぽちゃん“と高いところから落ちてきた雫が水面を揺らす音が聞こえてくる。

”水溜りだ“


「ハルト⋯⋯」


力尽きたイリスが俺を背負ったまま、倒れこむように水の中に飛び込んだ。

俺の身体が水に浸かる。

だんだんと傷の痛みが癒えていく。そして弱っていた視界もーー

水は青白く神秘的な光を放っている。

そうか、これは天然のポーションだ。

すると右手の紋章の上にキラキラとした光の粒が集まりもう一つの紋章を作る。

この紋様はネルフェネスさんからルーリオに引き継がれた紋章と同じだ。

それが何を意味するのか自然と理解した。

「ダメだルーリオ⋯⋯俺にこの世界の神なんて不可能だ」

2つの紋章がひとつに重なり新たな紋様をつくる。

そして強い光を放って紋章の中から妖精の女の子が浮かび上がってくる。

『私は紋章の精霊です』

そっちか。

『ディオール神に選ばれし者よ。大変です。世界を破滅へと導く神、プリミティスプライムの封印が解かれました』

俺の頭の中に突然、ニュアル・ウルム・ガルシャードの姿が浮かぶ。

ニュアルが立っている場所はまるでダンジョンの中にある広間のようだ。

いったいどこなんだ?

『エルムの森にある神殿です』

どうやらこれはこの精霊が見た光景のようだ。

『私はディオール神の半身。かつてプリミティスプライムの力を封印するために本体と分離して

150年間、プリミティスプライムの力を無力化しながら力の封印を守ってきました』

精霊がチュートリアルNPCのように一方的に説明をはじめだす。

『ですが、私の力は無限ではありません。再び星の巡りがどちらかの神を選ぶとき、本来であれば本体の紋章を有した次代のディオール神が

プリミティスプライムの力を破壊するはずでした。

それが3ヶ月前のこと、ひとりの少女が神殿にやってきて力の封印を解こうとしました。

少女はかつてのプリミティスプライムとディオールの血をひく稀な存在。

それが影響したのかプリミティスプライムの力とディオールである私の力が共鳴してあって、強大なエネルギーを放出しました。

それによってプリミティスプライムの力は36個に砕けて、時空にも大きな裂け目をつくりました。

そしてプリミティスプライムの力はあろうことか時空の裂け目からやってきた36人の異世界人たちに宿ったのです」

「36人? 待てよ! 佐倉先生にも紋章はあった。この異世界にやってきたのは37人だ」

『いいえ。そのとき私も異世界よりやってきた人間と合体してひとつになったのです。そうそれが右条晴人さん。あなたです』

「だから俺ひとりだけみんなと離れた場所に飛ばされていたんだな」

『そして、あなたはたった今、本体の紋章を手に入れ、150年ぶりにディオールの紋章をひとつにしました。そう、あなたこそ次代のディオール神です。

ですが、このままでは世界が滅びます。あなたと一緒にやってきた異世界人の中からプリミティスプライムが生まれようとしています。

お願いです。世界が破滅へと導かれる前にプリミティスプライムの力を破壊して下さい」

「おい待て! 否が応でも俺に同級生を殺せというのか? たしかにムカつくやつもいる。だけど大事な人もいるんだ」

『裏切られたじゃないですか。2度も』

「⁉︎」

さっきからこの精霊の図々しいところが腹立つ。

『これを見ても同じことが言えますかね』

そう言って精霊が指パッチンを鳴らすと、俺の頭の中に映像が流れ込んでくる。

これはこの異世界の歴史、全てだ。

『どうやらわかって頂けたようですね。おやおや!髪の毛が白くなってきてディオール神らしくなってきましたね。

めずらしいその真っ黒な瞳もすぐに紅くなりますよ。そろそろ相棒ちゃんが起きちゃうので私はここでお暇しちゃます」

騒がしい精霊は紋章の中に消えた。

それと同時に、装備していた(セレス)弓矢(ライル)(オッド)が輝き出すと光の玉となって浮遊する。

そして人型となって倒れている俺を囲むように立った。

「やれやれ新しいご主人様は世話がやけるね」

スラッと背が高い大人のお姉さんが口を開くと、イリスと同じ背格好の少年が続く。

「いきなりボロボロだもんなぁ」

今度は恰幅のいい男の人が少年を諌める。

「ライル、新しい主人に対して不敬ですぞ」

そして意識を失っていたイリスが目を覚ました。

それに気づいた女性がニコッと笑顔を返す。

「おはよう。イリス」

「セレス⋯⋯ライル⋯⋯オッド」

そうかこの3人はーー

ようやく目覚めたか。


***

「姉上は愚かな選択をした」

顔を煤で黒くしたユークスはガルザと教会の信徒たちを引き連れて帝都への帰路を進む。

「ディオールが倒れた今、皇帝より神になることが重要。帝都に戻り次第、儀式を挙行する」

敗走を余儀なくされた帝国軍の一行目の前に、4人の男女を引き連れた白髪の少年が現れる。

「生きていたことに驚きだよ。右条晴人君。僅かな時間、顔を合わさなかっただけで随分と雰囲気が変わったんだね」

「俺はもう右条晴人ではない。この世界の神、ディオールだ」

「ハハハッ、君も冗談が過ぎるね。神は僕こそふさわしいんだ」

「これを見てもか?」

自らを神と名乗る白髪の少年は右腕を真上に挙げて掌の上にエネルギーの塊を生み出す。

その禍々しさと直径3メートルはある大きさに、ユークスを守るガルザや信徒たちがたじろぐ。

「最期にいいことを教えてやろう。プリミティスプライムはこの異世界に転移してきた俺たち2年B組の中にいる」

「ありえない! 神に成るべくして生まれたこの僕が神に拒まれるはずがない!」

「残念だったな先輩」

白髪の少年からエネルギーの塊が放り投げられた。

宙に浮かんだエネルギーの塊は強い光を放って狼狽するユークスを飲み込み、ドーム状の爆発がリグレーヌ平原に広がる。

しばらくして平原には巨大なクレーターが残った。


***

月野木天音視点

「待って⋯⋯」

強い頭の痛みを堪えながら立ち去るクライム・ディオールとイリスちゃんの背中に手を伸ばす。

だけどは2人は振り向かずにそのまま行ってしまう。

そして最後の記憶が私の脳に突き刺さる。

それはダンジョンの中と思われる広間の祭壇で、宙に浮遊する巨大な紋章を見上げる女王陛下の姿だった。

紋章は陛下が触れた瞬間に砕け散り、そして私たちがーー


「ニュアルちゃんが⋯⋯」




第5章完

第6章 魔王降臨へ

つづく



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