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異世界で闇落ちした俺は大好きだった彼女の宿敵(ラスボス)となりました。  作者: ドットオー
第4章 来たる魔王軍とはみだしモノたちのパーティー

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第49話「決闘 イリスVS天音!」

真紅のマントを翻し、黒く禍々しいレリーフがあしらわれた金色の鎧と紅い眼光が恐怖を与えるフェイスマスクーー

「ここでお前を始末するーー」

そう言い放つメイスの少女との遭遇が真の魔王クライム・ディオール誕生のきっかけになるとは

このときの私には知る由もなかった。

メイスの少女は、私に有無を言う間も与えず、剣で襲いかかってくる。

「ここでお前を殺さないと、お前は必ずクライムの計画を邪魔する!」

「⁉︎ ちょっと待って! ハルト君の計画って何?」

「クライムだ!」

そう言って少女が振り下ろした剣先が、私の鼻っ面を掠めた。

「⁉︎」

もうあったまにきた!

「ハルト、ハルト、ハルト君よ!」

「違うクライムだ! クライムは神様になったハルトに私があげた名前」

「ハルト君が神様⁉︎」

「なのにクライムは自分を魔王だと言う⋯⋯」

敵意を剥き出して襲ってきたかと思えば急に暗い表情をする。

はじめは武器なのに武器で戦うの? って驚いたけどこの子はいったいなんなの?

「クライムは“ドウキュウセイ”は殺すと言っていた。お前もその“ドウキュウセイ”のはず」

「そうよ! 私もハルト君の同級生よ」

「だったらなぜクライムはお前を殺そうとしない」

また剣を振ってきた。

「ちょっと!」

「私はいつもクライムに言っている。クライムは甘すぎるって」

「どういうこと⁉︎ さっきからなんなの?」

メイスの少女は拳で自分の胸を叩きながら声を張り上げる

「クライムのここにはお前がいる。なのにお前のここにはクライムがいない。

私のここにはクライムがいるのに。ズルイ!」

再び少女は鬼気迫る顔で私に斬りかかってくる。

速い⋯⋯もう間合いに飛び込まれた。

後ろに下がることでしか避けることができない。

だけど彼女の攻撃は常に大振り、剣の大きさが身長にあってないのね。

それに持ち方や扱い方もぎこちない⋯⋯

アレ? もしかしてこの子、強さは私とどっこいどっこい?

思わず顔がニンマリとした。

ふっふ〜ん。それじゃあ剣の使い方から教えてあげる。

まず剣ってのは脇を締めて構えるものよ。振る時も同じ。

だけどあなたは何? さっきから脇が開いた状態でがむしゃらに振っているだけ。

それだと体力を無駄に消費するわ。

ほら、もう額に汗が滲んでる。

それに剣で攻撃をするときは身体を屈めて、相手の動きを見定めてから一歩踏み込んで斬り払うのよ。

どう? これがルメリアさんから教わった剣の基礎よ。

「⁉︎」

驚くことに、彼女は私の横から剣撃を垂直に高くジャンプして躱した。

そしてそのまま後方に宙返りして見せる。

やっぱりこの異世界の人の身体能力は普通じゃない。

もしかしてこの子やっぱり強い⋯⋯

「お前、弱いクセにしぶとい」

ごめんなさい。さっきまで下に見ていました。後悔してます。

「それに私はお前じゃない、月野木天音よ!」

「ツキノ⋯⋯私より(名前が)長い、ムカつく。絶対殺す!」

「は⁉︎」

どうしてそこで怒りのボルテージが上がるのよ。

「私はイリス。アマネには絶対に負けたくない」

「私だって同じよ。イリスちゃん!」

「なれなれしい!」

「私の話を聞いて。女の子同士だし、攻撃じゃなくて話し合えば私たちはきっと仲良くなれると思うの」

「意味が分からない。これから殺されるやつがどうしたら私と仲良くできるの」

完全に聞く耳がないってことね。こうなったら私も遠慮なく戦う。

だけど難しいのは相手は生身の女の子。モンスターと違って傷つけるわけにはいかないから

なんとかして武器を奪いとって無力化させないと。

どうすればいい⋯⋯ルメリアさんからは対人戦なんて教わってないし。

とりあえず相手の剣をはたけば落とせるのかな?

それとも一太刀目を躱して避けたあと彼女の腕を脇で挟んでそのまま地面に抑えつける?

だけど、いきなりそんな刑事ドラマの刑事さんのようなことできるのかな?

考え込んでいたら、イリスちゃんが振り下ろした剣が私の顔スレスレを通った。

「⁉︎」

しまった、寸前で避けれたけど、今のはマズかった。

集中しないと命取りになる。

しかし、私が急に避けたことでバランスを崩したのか、イリスちゃんは剣の自重に引っ張られるようにして姿勢が前屈みになる。

さらにそこから石につまずいて“ビタンッ”と、顔から転んでしまった。

「ぎゃぴっ!」

「ああ⋯⋯」

イリスちゃんは黙ったまま何事もなかったようにムクッと起き上がった。

だけど顔を赤くして涙を堪えながらプルプルしてる。

「大丈夫⁉︎」

ちょっとかわいそうになったので、声をかけてみた。

「うっ⁉︎」

突然、お腹のあたりから鈍い音が鳴る。

やられた。グーで溝落ちに1発入れられた⋯⋯

あまりの痛さに、その場に膝をついてしまった。

そしたらイリスちゃんが髪を鷲掴みにして私に馬乗りになってくる。

私も負けじと髪を鷲掴み返す。

今度は互いに”口撃”がはじまる。

「このブス女」

「何よ。この金髪サラサラしすぎなのよ」

うーん。今のは褒め言葉だったか。

「このチンチクリン!」

「何をぉ!」

効いた!

イリスちゃんは今度は両手で私のほっぺをつねってくる。

「痛ぃーー」

やられたら私だってつねくり返す。

「イーッ⁉︎」

にしても何よこのほっぺ。プニプニじゃない。

肌も色白で目も碧いしお人形さんみたいで羨ましい。

「アマネは間違っている。私の方が少し大きい。勝ってる」

は?

⋯⋯⁉︎

「胸のことかぁ!」

ここからはもうお互い“グー”での叩き合いがはじまる。

効果音をポコポコと鳴らしながらお互いに上になったり下になったりして地面を転がる。

夢中になって揉み合っていると、地面にできていた裂け目に気づかずにそのまま転がり落ちてしまった。


「「⁉︎」」


***

頬の上にポタリと落ちてきた水滴の冷たさに私は意識を取り戻した。

見上げると地上の光が遥か遠くに見える。

10数メートルはあるだろうか。

こんなに深いところまで落ちてきてしまったのかと思うとため息が溢れる。

隣を見やるとイリスちゃんがおでこから血を流してぐったりしている。

「イリスちゃん大丈夫⁉︎」

「かまうな!」

そう言ってイリスちゃんは私の手を払いのけて起き上がった。

「アマネは知らない。クライムが受けた悲しみや痛みを。なのにクライムの邪魔をする。許せない」

こんな状況になっても彼女は私に強い敵意を剥き出しにしてくる。

「だったら教えて。私の知らないハルト君を! ハルト君にいったい何があったの?」

真相を確かめたい。髪まで白くなったハルト君の身に何が起きたのか? どうしてクラスメイトたちを殺さなくちゃいけないのか?

”ファンタルスフレイム“の世界ではトップクラスの勇者だったハルト君がどうして自分を魔王だと嘯くのか?

ハルト君、君はいったい何と戦っているの?




つづく


第4章 完





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