過去を戻した正体
前回のあらすじ
見たことのないタコのような生物と完璧美少女がいた。
今回はここまで。
短いけどここまでしか無理だった
セミロングの艶やか髪、二重のくっきりした瞳と鼻、そして唇。読者モデルからモデルへスカウトされて表紙を堂々と掲載されるぐらいの美人は
「訊いている? 彼から離れた方がいいわよ。そうじゃないと貴方、壊れるわよ」
俺に近づきながら超絶美少女はそう言う。
「わ、分かったから、これ以上近づかないでくれ」
超絶美人の体制はない。スズカもティアマトさんも美人の部類ではあったが、それを飛び越えている美人だ。学校でもマドンナ的な存在の女性はいなかったし、俺を半場強制的に美術部に見学しようと言って来た彼女はティアマトさんとスズカの清楚な感じより可愛いを全面に出している部類の美人だ。
さて、俺のどうでもいい美人談義は、隅にでもやって、その超然美人は俺の言葉に呆れながら
「知っている」
と不機嫌な声音で俺の右手首を掴んで10mぐらい離れてからそれまで振り向かず前を向いていた超絶美人は俺の腕を話してから
「あのねぇ、ここ一帯は彼の領域なのよ。分かってて近づいたわけ? 過去にも何人かここの道を通った冒険者がいたけれど、ほとんど発狂していたわ」
「! その、冒険者はどこに行きましたか!?」
俺がそう言えば超絶美人は、怪訝そうな顔しながら
「はぁ? あんた、助けてあげたのにお礼もまともにも言えないわけ?」
「あ、えっと。すみません。助けてくれてありがとうございます」
俺は申し訳ないと謝罪を込めて頭を下げれば、上から大きなため息をつかれた。
「まぁいいわ。今はそれで許してあげる。さっきの質問に答えてあげるわ。小型ナイフで心臓を一突きした者もいれば、発狂したまま反対側で走って逃げたり、精神的に壊れたものもいたわ。どれも正常じゃないってことよ。ここからほど近い場所に村の外に出ることが出来るのだけど、正気を失った全員は、そっちに行ったんじゃないかしら? 貴方は数十秒いただけだったのに結構冷静なのね」
と関心するように首を縦に動かしながら超絶美人はそう言った
「珍しいなとは思って」
俺がそう答えれば超絶美人は呆れた顔をしたものの
「それだけの度胸に驚きが隠せないのだけれど、貴方名前は何ていうのかしら? あたしはニャルラトホテプよ」
超絶美人。改めてニャルラトホテプさんは、美しい笑顔を俺に見せながら尋ねてきた。
「俺はキオリっていいます。ええっと、よろしくお願いします」
そう言って俺は右手を差し出せばニャルラトホテプさんは驚愕したのち俺から見て左手を差し出してから俺の右手を握って握手を交わした。
「あのタコみたいな生物はクトゥルフという人物よ。普段は貴方のような魔族に化けて生活をしているのだけれど、偶に本来の姿を現してここに来ることが多いのよね」
ニャルラトホテプさんの言葉に俺は首を傾げる。本来の姿があのタコのみたいな生物で普段は魔族に化けているということに疑問を持った。
それが顔に出ていたのか、ニャルラトホテプさんは
「この事情に知らないのね。あたしたちは魔族にも天族にもモンスターにも疎まれている存在なのよ。何もかもがゴミを見るような目。だから仮の姿をする必要があるのよ。キオリもそう言う考えの人なのかしら?」
あたしたち? と形容してきた。何か事情があるのだろう。ニャルラトホテプさんは、堂々としていた凛々しい顔立ちとは別に悲しげな表情で俺を見て尋ねた。
「えーっと、その。俺の言葉で慰めになるかどうかは知りませんけど、そうだな…………。俺は、相手がどんな姿でいようが、構わない。困っている奴を手を差し伸べるさ。俺は今までそうしてきたからな。だからなニャルラトホテプさんも困った時は俺に言えよ」
そう言えば、ニャルラトホテプさんは驚愕してから
「やっぱり、貴方が、あの救世主様なのね」
救世主。救える者だったり救世主だったり魔界では俺に何を求めているんだ? くっそ……っ!
訳の分からないことばかり言いやがって。…………いや、ここで感情的になっては駄目だ。ニャルラトホテプさんに俺がここに来た理由とここの事情を説明しなければ
俺はニャルラトホテプさんにここに来た理由とここの事情を説明すればニャルラトホテプさんは驚愕しながらも何かを考え
「それなら。この空洞にいるわ。ヨグ=ソトースという人物よ。時間を操ることが出来るから彼の仕業なのかもしれないわ。時間が戻るのはこの空洞内だけでいいのかしら?」
と尋ねてきたので俺は頷けば
「なら、あたしが案内するわ。でも、その前にクトゥルフを起こさないといけないわね。ヨグ=ソトースは、クトゥルフがいる場所の奥にいるのよ」
そう言われて再びクトゥルフという生物の前に戻った。
【クトゥルフ】
普段は魔族に化けて生活しているが元の姿に戻るために度々、空洞に訪れている。基本睡眠を必要としないが、寝るときは寝る。
【ニャルラトホテプ】
女性。超絶美人とキオリに言われるほどの美人。
【救世主】
ニャルラトホテプを含めた魔族と天族とモンスターに忌み嫌われている人物たち全員を助けることが出来ると言われている人物のことで、ニャルラトホテプ達は、その人物が現れるまで耐え続けていた。特徴として本来の姿を見せても、警戒心の高い一般市民とほぼ一緒だと考えて欲しい。
【ヨグ=ソトース】
時間を戻すことが出来る人物。