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タコのような巨大な生物と美少女

前回のあらすじ

ティンダロスはティアマトとアキベエルさんにとっては恐怖対象であった。


メル・マグ管理図書の地下空洞は、何かしらの恐怖があるようだ。

 目を開けたら、ティアマトさんとアキベエルさんが俺を心配そうに覗き込むように俺を見ていた。

「あ、えっと……………………。あ! っう!」

 何故、意識を失ったのかと思いだしてから俺は勢いよく上半身を起こすと尾てい骨当たりに痛みが走って思わず唸ってしまった。意識を失った後に尾てい骨あたりを強く打ったのかと考えるが、その当たりは記憶にないので、アキベエルさんに尾てい骨が痛いことを話せば、アキベエルさんは気まずそうに目を逸らしながら、ティンダロスを見た。

 ティンダロスは、目じりを下げながら

「地面に座らせたときに下ろそうとしたのだが、その時にだ。すまない」

 ティンダロスはそう言って頭を下に下げる。

「そうなのか。ヒビは入ってないな」

 それで納得した俺は、立ち上がってから骨にヒビが入っていないだけで、まだいい方だ。ヒビでも入ったらしばらくはベッドとお友達になるところだしな。

「少し、見せてもらったけど、(あざ)が出来ていたわ。応急措置として、念のためにと購入していた塗り薬で対応しているけど、匂いは気にならない?」

 ティアマトさんはそう言って俺に尋ねれば

「言われなければ気づかなかったぐらいには、匂わないな」

 そう言えばティアマトさんは、安堵した表情を浮かべた。

 

 俺が気を失っている間に仲良くなったらしいティアマトさん達とティンダロスは傍から見れば良好のような気がするが、よくよく観察すればティアマトさんとアキベエルさんは、ティンダロスに対して恐怖していた。それをティンダロスや他の人には決して察せられないように必死に隠し通すように目線は逸らさないまま笑顔で、私たちは良好であるという関係をアピールしているように見えたので、こっそりと尋ねればティアマトさん達は驚愕してからティンダロスが聞こえない距離を空けてから

「やっぱり。気づかれるか。キオリが気に入っているようだから仲良くなろうってことを話し合ったんだ。それを慣れるまでなんだが…………」

 と言うアキベエルさんの顔色はあまり良くなかった。

「あー…………なるほど。その、無理しなくていいですよ。体調でも崩したら元も子もないですし」

 と俺は苦笑いしながらそういえば、アキベエルさんは申し訳なさそうな顔をしつつ、すまないと言った後、ティンダロスと話しているティアマトさんを連れてから事情を説明すれば、ティアマトさんは

「ごめんなさいね。わたしたちが視えている彼とキオリが視えている彼には、大きな相違があるの。それは、分かるでしょう?」

 その言葉に俺は頷いた。歩くスピードも少しゆっくりになる。それに合わせてティンダロスもゆっくり歩き始めた。

 ティアマトさん達はティンダロスを謎の物体と評していた。ティンダロスがどのように視えるかは不明だが、謎の物体と言う程のものなんだろうなと俺は思った。

「だから、それにわたしたちは恐怖しているの。仲良くなりたいのは本当よ」

 と言い訳じみた言葉に俺は頷いた。

「仕方がないですよ。気分が悪いのに無理矢理は良くないっていうからな」

 と俺がそう言えばティアマトさんは、もう一度謝罪した。


「左の道は、何もないただの一本道だったけれど途中で地下に繋がる空洞を見つけて、そこに向かった時、ヘルヘイム調査団の2人が倒れていたわ。話を訊いてみたけれど他のヘルヘイム調査団と途中で逸れてしまった他数名の調査団の行方は知らないらしい。2名のヘルヘイム調査団は、帰還魔術で転送させたという。

 で、そのまま歩いていたらこの道に辿り着いたそうだ。戻ってから地下には行かず真っすぐ行っても同じ場所に出たらしいので、下っても下らなくても、結局は同じ道に辿り着くという結論だけでたらしい。地下空洞に詳しいアキベエルさんでも、知らないことはあるらしく関心するようにそう教えてくれた。

「地下空洞の地図作成を依頼された事があったのだが、その時は必要ないと思っていたけど……、実際に地下空洞に入るとそれがよく分かる。地図がないと色々不便だな」

 と言っていたぐらいだからな。

 俺は右の道に行った際の詳細を話したその時、ティンダロスに発光塗料の黄色か金色が身体についていたこととそれを洗い流したということまで詳しい経緯を話せば、ティアマトさんとアキベエルさんは、何かを納得したような表情をしたのだが、俺はそれを気にせず

「2mぐらいあるもんな。普通のゴールデンレトリーバーのような色合いをしていると思うんだが、その辺はどうなんだ?」

 俺はティンダロスに向けてそう言えば

「ごーるでんれとりーばーとはなんだ?」

「犬の種類でティンダロスのような見た目をしている」

 ゴールデンレトリーバーという犬は魔界にはいないらしいことを学習しつつ俺がそう言えばティンダロスさんは

「ふむ…………なるほど」

 何故か納得した。どこに納得する要素があったのかぜひ訊きたいところだが、今ではないだろうな。

 さらに真っすぐ進むと今度は3又に別れていた。

「あの、ティアマトさん達にはどう見えます?」

「右か左かってところだけど、キオリには違う景色が見えているわけ?」

 ティアマトさんの言葉に頷けば、ティアマトさんは考え込むような仕草をしたのち

「なるほどね。ここも別れてから一本道になっているっていう可能性も否定出来ないわ。キオリは帰還魔術は使えるかしら?」

「あ、はい」

「なら、それぞれ三手に分かれましょう。キオリはもう1つの見える方向へ、わたしは右。アキベエルは左を行くわ。それでいいわね? 貴方はキオリについて行ってくれるかしら? 彼は無茶をすることがあるから」

「了承した」

 ティアマトさんは、テキパキと対応で行く順番を決めてから

「合流できたら、またあとで合流しましょう」

 と言い残してティアマトさんは、右の方向へ進んだ。

「キオリ。1つ言っておくことがある。ヘルヘイム調査団とか他の人達は彼を畏怖するだろうからなるべく遠ざけてから声をかけるようにしてくれ」

 前置きのようにアキベエルさんに念押しするようにそう言われて、俺は「あ、はい」としか言えなかった。それ以上は言わせないぞという雰囲気を(かも)し出していた。


 ティンダロスと共に真ん中の道を行くことになった俺なのだが、俺を背中に乗せることが好きになったらしいティンダロスさんは顔で乗れと合図させられて、現在はティンダロスの背中に騎乗している形になった。

 それでも、天井までにはまだ届かず右手を思いっきり伸ばしても天井が着くことがないくらいの広さを誇っていた。横幅もそれなりに広い。ティンダロスが2匹分ぐらいだろう。

 揺られながら10分近くたっただろうなという感覚をしていると、縦幅と横幅を塞ぐぐらい大きなタコのようなイカのような吸盤付きの触手が数十本以上ある、何かがいた。

 タコに似た頭部に巨大なコウモリのような羽に鋭い鉤爪(かぎづめ)がきらめていていた。

「な、んだ。ありゃ…………」

 最初に来たのは、恐怖だ。その次に冷や汗。熱くもないのに大量の冷や汗が額を通して流れ落ちた。そして、次に気づいた時、ティンダロスは恐怖していた。

 いつのまにか伏せのような状態になり目を逸らすことなく巨大な何かを見て固まっているように思えた。俺は唾を飲み込んでからティンダロスから降りて俺は、そいつに近づく

 一歩一歩近づくだけで、身体が恐怖で震えている。それだけの威圧感が、それにはあった。けれど、近づかなければ、ここを通ることは出来ない。

「それ以上。近づいては貴方。壊れるわよ」

 後ろから突然声を掛けられた女性の声に俺が振り向くと、そこには美少女と呼ぶに相応しい顔立ちをしている髪の長い白のAラインワンピースを着用した女性がいた。


【タコのような何か】

名前は次回に明かされる。とにかく巨大な生物。


【白のAラインワンピースを着た女性】

彼女も次回に明かされる。

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