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魔界の冥界の番人

前回のあらすじ

キオリのメンタルは意外と脆かったことを自覚した。


喪服っていろいろあるんだね。調べたよ。

 結局、翌日になるまで風呂には入ったのだが烏の行水程度で済ませてしまったし、食事も少しは食べたもののそれ以上の食欲が湧くわけでもなくただ単にボーっとしていたので、横になってもぐっすり眠れたかと言えばそうでもなくて、体調不全のまま葬式に参加した。ティアマトさんは無理に参加しなくてもいいと気遣ってくれたのだが、葬式に参加すると言った手前、引けるに引けない状況だったということとソールを見送るという意地もあったせいか、それには断っておいた。

 葬式では流石にフリルはどうかと思ったのだが、派手でなければ着用してもいいらしいということでティアマトさんが持っていた中で全く派手ではなく襟元が少しフリルで構成されている黒の準喪服を借りて着ることになった。ズボンは流石に無かったののが非常に残念だが。

 魔界の葬式は一般的に何かを召喚するのではないかというぐらい恐ろしいものをイメージしていたのだが、魔王城周辺の地域に底が見えない暗くて大きな穴があり、それを魔族たちが覆うように綺麗に並んだあと、黙祷(もくとう)をして代表者の男性2名がご遺体をその大きな穴に投げ入れた後に巻き上がってくる青い炎。

「へぁ!?」

 途中で帰ろうかと考えていた先に舞い上がった青い炎の柱。一直線に雲以上にめがけて飛んでいき少しだけ厚い雲に覆われた先に見えたのは綺麗な青い空が一瞬だけ見えたがすぐに厚い雲に覆われた。

『貴様は誰だ?』

 声が聞こえて上にあげていた顔を大きな穴の方に見ればケルベロスがいた。顔が3つある番犬だったような気がする。

「え!? あの…………どっちで?」

 器になっているのはヘルモーズなのだが、精神は俺であるキオリだ。2つ名があるみたいで少し照れ臭いのだが…………。

『精神の方に決まっているだろう』

右側の犬がそう答えた。先ほどの声は右側の犬のようだ。

「キオリですけど」

 そう言って周りを見れば、固まっていた。呆けているというわけではなく物理的にだ。時間停止でも受けたようなそんな感じである。そこで鳥が羽ばたいている途中だったりすると思わず頭がおかしくなったのではないかと正気を疑う羽目になる。

「精神のキオリ以外は時間を止めさせてもらったぞ」

 再びケルベロスに視線を見ければ左側の犬が口を開けて喋っていた。以外にも甲高い声である。

「僕たちは冥界の番人ケルベロスだにゃー」

「にゃー…………」

 真ん中の犬の語尾がニャーだった件について俺はどう対処すればいいのだろうか。

「気にするにゃー。僕たちケルベロスは、君が何故過去の魔界に来たのかを説明するために現れたにゃー。他の魔族にとって僕たちはウロボロスと並ぶ希少だにゃー」

 真ん中の犬はそう言ってから右側の犬が

「それに、君にも興味があるだろう? 救える者であるキオリ」

「た、確かにそうですけど…………。なんで俺だけ動けるように?」

 俺は首を傾げれば左側の犬は

「他の魔族には内緒の出来事だからさ。精神のキオリ。僕たちはこの大きな穴に住んでいる。放り込まれたご遺体は冥界に運ぶ役割を僕たちは担っている。でも、精神のキオリと器のヘルモーズは別の存在としてなっている。精神のキオリが元の世界に戻ったら器のヘルモーズは新たに残る感じだろう。精神のキオリが洗脳された時のような口調でね。対人間に関しては少し緩和するだろう。今はまだ眠っているだけのようだけど」

 その言葉に俺は少しほっとした。元の世界に戻った時に器はどうなるだろうかと。処分する予定だったからと言っていたからだ。

「そうか…………。話は戻しますけど、俺がここに来た理由が分かるのですか?」

『もちろんだにゃー』

 真ん中の犬が答えた。

『君が呼ばれたのは、魔界に起きている不穏な空気を排除して欲しいからだにゃー』

「不穏な空気?」

『魔族の最高上位幹部が行方不明なっているのは君も知っているはずにゃー。その起因となる原因を探って欲しいのにゃー。でもそれが解決したからと言ってこの世界に戻れないにゃー。戻れるのは1200万年後の君がこの世界に勇者候補として呼ばれ時だけにゃー』

「あ。それは合っていたのか」

『にゃー。勘が鋭くて凄いにゃー。魔界に行く手順は君がアラルに説明した通りだにゃー。トントン族と呼ばれる種族は魔界の不穏な空気を感じ取ることが出来るにゃー。それを解決できるのは救える者である君だけだにゃー』

「カズキとスズカは救える者じゃないのか?」

 俺がそう答えれば真ん中の犬は

「その2人は、この世界を救える者にゃー。君だけ別なのは、トールの魔力が混ざっているからだにゃー」

 なるほど。と俺は両腕を組んでから頷いた。

「魔族の魔力が混ざっているのか」

『もう一度。念のためにお前に話しておく』

 左側の犬がそう言ってから

『このことはキオリの中だけに留めておいてくれ。僕たちは魔族に正体を明かすわけにはいかない。それが契約となっているからな』

「契約?」

『魔族として交わしている契約だ。他に何か訊きたいことはあるか?』

 と左側の犬が尋ねた。

「えーっとじゃあ。2つだけ。1つは貴方たちの個別名前ってあります?」

『あー…………。そうだったな。僕たちは左からロスト、ベキャット、ケルトだ」

「ベキャット…………。語尾にゃーだからか?」

 そう言えば顔を逸らされた。図星のようである。

「じゃあ最後なんですけど、魔族で語り継がれている救える者はどうやって魔王を魔界に戻しました?」

 そう尋ねれば右側の犬。つまりケルトは

『何かの拍子によってこの世界にやってきた3人の男女と同じタイミングでやってきた魔王の1人と偶然居合わせたこの世界の王様で約1年間会話をしていたよ。魔界の出来事、この世界の出来事、異世界から来た3人の男女の話をしたりと意外にも平和な話をしていたぞ。この時この世界の王様とはいたものの、まだこの世界の成り立ちすら未だ不明なままでね。当時の彼は王様というより冒険者といういで立ちだったんだ。1年後に王様は3人の男女と魔族とパッタリと合わなくなった。というのも元の世界に返った方が正しい。彼はそれを書に記して、救える者の関係が深い人物に送るように魔術を掛けた。自動で執筆するような魔術も使用してね。この世界ではありえないぐらいの膨大な魔術を有する人物として有名になったけど、彼が生前何をしたかは未だに不明とされているんだ。だから、この世界では語り継がれることはなかったんだよ。逆に魔界は救える者と評して語り継がれている』

 と説明してくれた。

「えぇっと。つまりこの世界での魔法や魔術の良しあしが決まっているのは。その王様によるものだったということか?」

『そうなるね。僕たちはこの世界に詳しいわけじゃないからそれ以上のことは分からないけど、そう考えていいだろうね。精神のキオリは勘が鋭いから」

 ケルトはそう言うが褒められているような感覚にならないのは何故だろうか。

『褒めているぞ。でも無自覚だとロストに言われている』

 ケルトは目を少しだけ細めながらそう言った。

『もう時間がないにゃー。時間を動かすからお空を見てて欲しいにゃー。そこで時間を止めているから動かすのも同じ位置じゃないと不自然だにゃー』

 ベキャットに言われて俺は、言われた通り空を見上げた。

『また会う機会があったらよろしくにゃー』

『じゃあな救える者のキオリ』

『ばいばーい。精神のキオリ』

 ベキャット、ロスト、ケルトがそう言うと同時に瞬きを一回ほどすれば時間が動き出した。

【ケルベロス】

頭が3つある冥界の番犬。

左側の犬がロスト

右側の犬がケルト

真ん中の犬がベキャットという名前。語尾がにゃー。

ちなみに犬の名前は適当に作者が付けたものなので、検索しても出てこない。いいね?

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