ある作戦
前回のあらすじ
キオリの精神体をどうするかという話し合いを食堂でしました。
短いですけど今日はここまで
翌日。
食堂で話し合いが行われた昨日は、キオリは食事を済ませた後に言われた通りに風呂にちゃんと浸かって身体の全身を温めた後、頭、身体と言った順番で洗ってからシャワーで泡を流して再び風呂にちゃんと浸かってから数分してから上がり、脱衣所で全身をバスタオルで拭った後、少しボーっとしてからベッドに潜り込んで寝ていたのだが、洗脳が解いた時の一時的な疲労で翌日には目が覚めることもあって、7時過ぎぐらいに目を覚めたキオリは、身体が若干軽くなったような感覚に陥いるぐらいの身体能力を回復させた。
朝食もヘルモーズの部屋で食べ終えたキオリは、食器を片付けに来たレティ達メイドが去っていくと同時に入ってきたエリゴスとアラルは、キオリに昨日、話し合った出来事を間接に分かりやすく説明した。
「もしかしたら君の状態のまま1400万年後に行く可能性がある。そうなった場合、1400万年後のこの世界で勇者候補として召喚されたキオリの精神体を過去に戻す必要があるのだが、その場合だと、どうやってキオリの精神体を過去に行かせるにも難しいという結果になっている。だが、俺たち魔族はキオリに協力をするつもりだ」
エリゴスの言葉にキオリは眉間に皺を寄せた。
「協力するしないは、別にいいんだが…………。それは、救える者だからか? それとも多数決での協力なのか?」
救える者だから協力するというのは、少しおかしい考えであるとキオリは思っている。
大昔に救える者がどうやって、魔王を魔界に戻したのかは一切不明なのである。それなのに、神様のように崇められても全く関係ないともいってもいいキオリには、はた迷惑にも程があるのだ。そんな、キオリを救える者として崇拝したりするのは困ることなのだ。だから、キオリはその意見が救える者としての崇拝を意味しているのかそうではないのかという疑問が浮かび上がったのだ。その真意を探るべくキオリはそう尋ねたのである。
エリゴスは息を飲みながら
「キオリの考えていることは、分かる。救える者を崇拝する人物がいる可能性を考えているのだろう? だが、それに関しては問題はない。大昔の話で、言い伝えでは残ってはいるが実際にいたかどうかという証明をする人物は、魔界には存在しない。だから君の答えに問いを正すのなら、キオリに協力するかしないかは多数決で8割が君に協力するという形で可決された」
そう言ってからキオリがエリゴス達が来た時に用意した紅茶を飲みながらそう言った。
「それに、君はこうなることは予想済みのような気がするんだ」
アラルの言葉にキオリは息を飲んでからティーポットを回してから紅茶をカップに注いでから
「予知夢というわけではないんだ。何となく分かってしまうんだ。この人はこう動くだろうから、こうした方がいいって。だからよく預言者とも俺のいる世界ではそう呼ばれていた。けれど、預言者というのは尊敬の眼差しもあれば疎まれる時もある。それが大半だ。俺は預言者でもなんでもない。ただの先読むすることが得意で勇者候補に選ばれた一般人だぞ。…………いや、威張るところではないな。これ」
先読みしているというキオリは、これが普通だというが、エリゴスとアラルはそれが普通の人間には出来ないことだと思ったし、それを説明すれば、キオリは微妙な顔をしつつ納得していた。
「まぁ…………。そうだな。分かった。協力してくれるっていうのならお願いしようかな。だけど、条件がある」
キオリはそう言ってその条件を言った。
18000年にアラルはある伝言をキオリ達平和組に話していた。
「あの時代の18000年前になるんだが、アラルさんは、タルタロスという偽名で俺たちに東の街に行くように促したんだ。あんたたちも知っていると思うんだが、魔王を討伐するのに1年間の猶予期間があるその時に、トントン族の長に俺の精神体だけを過去に飛ばしてもらう方法しかないと俺は思っている」
キオリの言葉にアラルは驚愕した。
「つまり、この世界の18000年前にトントン族という種族に願いを下げろと?」
アラルは少しだけ不機嫌になったが
「いや、でも彼らならその装置は可能か。魔界でもこの世界のトントン族の技術は驚愕するものがある。すべてが魔力の言動で出来ており、それにデメリットを生み出さないあたりはこの世界の技術としては世界一でもある。なら、俺がすることはキオリの器になっているヘルモーズという肉体に入るように誘導しなければならないのか?」
「ああ。どのタイミングで俺が魔界に来たのかは不明だが、それしか方法がないと俺は思っている」
「しかし、キオリの肉体はどうなるんだ?」
エリゴスの言葉にキオリは
「東の街に着く前に吸血鬼と契約しているんだ。この世界の人間は1人に付き1体の割合で吸血鬼と契約することが決まっているんだ。だが、吸血鬼は人間以外との交流は一切持たないんだ。その理由は獣人と言った人物に殺されている過去が何度かあったかららしい。ラーシュとソフィさんはそう言うことはしないとは思うが…………。まぁ、大丈夫だろう」
寛容に受け入れる姿をキオリは思い浮かんだ。