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エリゴス

前回のあらすじ

リグレット洞窟を攻略しました。

 ティアマト達が冒険者を連れて戻ってきた時、地元住民の驚愕の顔は忘れられないぐらいだった。そのあとに祭りだのと騒ぎたっかったのだろうが、地方都市を統括している初老の女性は、ティアマトとヘルモーズに感謝したのち、後ろの1人と1匹を尋ねた。

「魔族側の方で行方不明だったアスモデウス様とその後ろがリグレット洞窟にて住み着いていたエリゴールです」

 とティアマトは咳払いをしながら初老の女性にそう言えば、彼女は後ろの1人と1匹に深々とお辞儀をしてから、初老の女性の近くにいる上下黒服を着た男性達数十人に気絶している冒険者と傭兵を治療室へ運ぶように指示をすれば、彼らはエリゴールの背中に乗せられていた冒険者と傭兵を軽々と運び治療室へと運びに行った。その間、他の住民はリグレット洞窟は出入口を封鎖するために、このニトロ爆弾を取り出した。持ってきたのは地元住民の一人で、解体に必要で購入したのはいいが、必要以上に多く購入してしまい余っていたらしい。本来なら解体作業が終わった際には速やかに処分するのが決まりなのだが、その人はそれを忘れてしまっていたという。

「で、でも。仕方がないだろう。残ってしまったのだから」

 という言い訳であった。

 仕方がないというより、他の近隣住民が知らず知らずのうちにそこに引火でもしたら爆発が起きていた可能性も高く大惨事になっていたかもしれないということで、その男性は、5週間の爆弾による研修の罰とした。

 その男性が所持していた10個近くあるニトロ爆弾をリグレット洞窟の出入り口付近に設置したのだが、爆弾の威力は計り知れないので、遠くで離れてから爆発してリグレット洞窟の出入口を大きな岩で封鎖したのを確認した後、意識が回復した冒険者の1人が大地を主に得意とする人物だったので、その人物に頼み込み、二度と踏み込れないように大地の盛ったりして小さな丘が完成した。後は自然に草木が生えるのを待つだけである。

 その後はお祭り騒ぎになったのだが、場所が治療室真向かいの宴会場だったこともあったのか治療室で仕事をしていた女性が入ってきてからは、五月蠅くしないように大人しく歓迎会をすることになった。

 傭兵の中には家族がいたらしく、奥さんらしき人物と子供がティアマト達のところに来てからお礼の言葉を述べていた。

「本当にありがとうございます。主人を助けていただいて…………」

 と後半部分ではほぼ涙声だった。

 その日は、地方都市の民宿で1泊したあと、翌朝の早朝。まだ誰も起きていない時間帯に起きて部屋を整えたのち、メモ書きを残して地方都市から離れた。


 魔王城に戻ってからライオンのような動物の姿をしていたエリゴールの姿は変形して人間のような鎧騎士に変わっていた。

 鎧騎士のような姿をティアマトは知っていた。知人と一緒に魔王城の最上階を見に行く際に、偶然その場にいた人物であったからだ。

 だからなのか、ティアマトは戸惑いと驚愕が入り混じった微妙な顔つきで口を開いては閉じての繰り返しをえていた。

「あらぁ? ライオンのような動物に化けていたのねぇ? エリゴールではなくてエリゴス」

「アスモデウス。君はキマイラの事も知っているだろう。ある悪魔に唆されてリグレット洞窟に入ったのはいいが、その時にキマイラの姿になってしまって出るに出れなくなったんだ。君もそうだろう?」

 エリゴスは腕を組みながらアスモデウスに尋ねた。

「リグレット洞窟は元々わたしの、秘密基地だったのよぉ~~? それなのに出れなかったんだからねぇ~~?」

「あの、アスモデウス様…………。お知り合いですか?」

 困惑しているヘルモーズの問いにアスモデウスはヘルモーズの視線に合わせたのち

「彼は最高上位幹部の1人。エリゴスよぉ。あのライオンのような動物は彼の変形できる姿でぇ、ティアマトちゃんの初恋の人なのよぉ」

 というアスモデウスの言葉にティアマトは我に返って

「ち、違います! エリゴス様。先ほどは無礼をお許しください」

 アスモデウスの言葉を否定しつつティアマトはエリゴスに跪いてからそう言った。

 ティアマトが跪いたあたりからエリゴスは驚愕しつつ

「ティアマトと言ったか。気にするな。エリゴールの姿は、最高上位幹部にしか見せてはいないんだ。お前も気にするな」

「は、はい」

「ありがとうございます」

 ヘルモーズとティアマトはそう返事をして、ティアマトは立ち上がる。

「ヘルモーズ。ヘスティアちゃんにぃ、報告をお願いしてもいいかなぁ?」

 アスモデウスはヘルモーズに笑顔で向けてそう言えばヘルモーズは頷いてから

「ですけど、アスモデウス様たちはどうされるのですか?」

「わたしたちはぁ、魔王城をティアマトはちゃんに案内してもらうわぁ。何せ23年ぶりだものぉ」

 ヘルモーズの言葉にアスモデウスはそう言ってティアマトの右肩に手を置いてからそう答えれば、ヘルモーズは納得して

「では、お先に失礼します。ティアマト様、アスモデウス様、エリゴス様」

 そう言ってからお辞儀をして、そのまま回れ右をしてから奥の方へと走って言った。

「さて、ティアマト。ヘルモーズと言ったか。あれは何だ?」

 ヘルモーズが見えなくなったところで、エリゴスはティアマトの顔を見て真顔でそう答えた。


「14000万年後から来た人間をあの身体に憑依させた上に、堕とした? ティアマト。あんたが人造を作るのは知っていたが、その人造に14000万年後にこの世界で魔王討伐として呼び出された勇者候補の1人を憑依させた挙句に堕とすって。訊いたことがないぞ」

 場所は、魔王城内にある会議室の一室。少しだけ薄暗い雰囲気を醸し出す明かりと部屋に飾ってある歴代の魔王の肖像画が5㎝感覚で綺麗に並べてある。薄紫色の椅子に座っているティアマトは、エリゴスに包み隠さずそう言えばエリゴスは呆れた表情を浮かべながら右手で顔を覆うようなポーズをとってから深いため息をついた。

「その勇者候補の1人が何故、14000万年前であるこの時代に来たのかは分かっているのか?」

 エリゴスが顔を覆っていた右手から離して尋ねれば

「え、ええ。彼がここに来た原因は、トールの魔力を持っていたからでして」

「トールの魔力を?」

「ええ。トールがあの暗闇に連れていかれて、魔王を討伐する勇者候補と戦闘を行っていた際に同じくあの暗闇で連れていかれた魔族の1人に転移魔術を施されて、彼のいる世界へと飛ばされて、そこで魔力を譲渡したのは記憶の欠片で読み取れました」

 記憶の欠片というのは、その人物の過去、現在の記憶を見ることが出来る写し絵の事で、それが欠片のようになっていることから、魔族はそれを記憶の欠片と呼んでいた。

 ティアマトの言葉に、エリゴスは腕を組んでから

「その記憶の欠片はまだあるか?」

「あります」

 ティアマトはエリゴスの言葉に即答で返してから椅子から立ち上がり、自室へ戻っていき、数分でティアマトは戻ってきた。

「これです」

 ティアマトはそう言ってエリゴスに記憶の欠片を渡せば、エリゴスはそれを受け取りじっくりとそれを見始めた。

 10分か30分いや、それ以上か、長く時間をかけて記憶の欠片を読み終えたエリゴスは顔を天井に向けて深く息を吐いた後

「なんということだ…………。魔界でも伝説になってしまっているが、彼は救える者。そのものだぞ」

 と天井に向けて独り言のように呟いた後、顔をティアマトに向けてから

「ティアマト。あんた、あの救える者という人物に手のひらで踊らされているぞ」

 と真剣な表情でそう言った。

【ニトロ爆弾】

ニトログリセリンという爆薬を爆弾にしたもの。

魔界では解体作業の際に使われていることが多い。


【魔界の罰則】

人間と魔族側に驚異的な恐怖が会った場合のみ罰則が決まっている。

といってもほとんどが軽いものばっかりである。

この世界だと、公開処刑の斬首刑が決定事項となっているのが決定的な違い。


【エリゴス】

人間形態の時の名前。最高上位幹部の1人で常に1人で行動していることが多い。

氷の固有能力を持っている。

リグレット洞窟からライオンのような動物のに突然変形させられて出るに出られなかった。


【キマイラ】

ライオンの頭、山羊の胴体、毒蛇の尻尾を持つ怪物のことで、エリゴスが変形していた姿。

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