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リグレット洞窟

前回のあらすじ

行方不明だったアスモデウスがいました。

 ティアマトの事情説明を終えるときには、ヘルモーズは気絶している冒険者を外に運び終えていた。

「よし! 後は、傭兵とベテランの冒険者の数名のみですね。ティアマト様」

 ヘルモーズはそう言ってティアマトに笑顔を向けてそう言えば、ティアマトは冷たいまなざしをヘルモーズに向けて

「いつまで、そうしているつもりなのかしら? 精神体」

 そう冷たく言えばヘルモーズは困惑した表情を浮かべた。

「ティアマト……様? どうしたのですか? あたしを誰だか忘れてしまったのですか…………?」

 ヘルモーズは困惑しつつもティアマトに尋ねた。

「『嘘をつかないで正直に答えて。何様のつもりなの? 精神体』」

 ヘルモーズは固有能力である洗脳を使い、ヘルモーズに冷たく尋ねた。

 ヘルモーズはその言葉に怯んでしまい

「あ、あたしは、精神体というものでは、ありません…………。ティアマト様に拾ってもらったヘルモーズです…………そ、んな…………。固有能力を…………使う、だなんて…………。あたし…………。あたし…………」

 声までもが震え涙声になりつつそう言ってから両手を顔で覆って泣き始めた。

 アスモデウスはティアマトの頭を軽く叩いた後

「ティアマト。ヘルモーズはヘルモーズのままよぉ? それなのに責めたりしたらヘルモーズちゃん戸惑うに決まっているじゃないのぉ? 大丈夫? ヘルモーズ? ティアマトは殺気立っているのよ。許してあげて…………ね?

 アスモデウスは泣き崩れているヘルモーズの顔を見るようにそう言えば、ヘルモーズは両手を顔から離してアスモデウスを見る。

「アスモデウス…………様?」

「ええ。初めましてだねぇ。さ、立てる?」

 アスモデウスの言葉にヘルモーズは両手で涙やらを拭ってから差し出された手を受け取って立ち上がった。

「傭兵とベテランの冒険者を探しているだったわねぇ? この奥にまだ下に続く階段があるはずだからそこに向かったんじゃないかしらぁ? 一緒に行きましょう」

「………え。いいんですか?」

「もちろんよぉ! わたしがここに残っていたのはわたしの魅惑の固有能力のせいで動けなくなっていただけだからねぇ。秘密基地で寝ていて何故か変な装置まであるし、人間達もいたから戻るに戻れなかったのよぉ」

 アスモデウスはそう言いながらヘルモーズの頭を優しく撫でてからそう言った。

 そんなアスモデウスにヘルモーズは憧れの人に逢ったかのような、先ほどの悲しみにくれた顔とは違う輝かしい顔を向けていた。それに気づいたアスモデウスはニッコリとほほ笑み、未だにヘルモーズを冷たく見ているティアマトに

「ティアマトのこの世界限定で人間不信なのはぁ、わたしも知っているけれど、そんなに不安なら、このリグレット洞窟を出て魔王城に戻った時にヘルモーズを再び洗脳すればいいだけじゃない。その顔を人間に向けたら恐怖心を抱くわよぉ?」

 と小声で話してからヘルモーズのところへ戻っていた。

 それを見送ったティアマトは、ため息をついてから

(洗脳が完全に解けたわけじゃないってのは、分かっている。でも、何故わたしが少し残念だと思っているのよ…………)

 ティアマト自身にもよく分からない感情が心の中でモヤモヤとしていたことが表情に出ていたのだが、それがアスモデウスには、怒っている顔であると判断されたようだった。ティアマトは顔を両手で強く叩いた。少し離れた先にいるアスモデウスとヘルモーズは驚愕しながらもティアマトを見ていた。


 アスモデウスを加えて彼女が言う奥の方へ続く階段を歩き始めた。

 段々歩くたびに冷たい風が吹き抜ける。息も白くなり、よく見れば足場には雪が積もっていた。屋内のはずなのに雪が積もるというのは、少し可笑しすぎる状況であった。

 ティアマトを先行にアスモデウス、ヘルモーズといった順番で並んでいる。最初はティアマトの後ろにヘルモーズだったのが、先ほどのあれで完全にトラウマとなってしまったようだ。

(用事を済ませたら本当にトラウマを忘れるために洗脳を施そうかしら)

 などとティアマトは考え始めるぐらいには、今まで懐いていくれていた子供が急に懐いてくれなくなる悲しみである。

 そして下に進んでいくと周りが氷に覆われた部屋が現れた。

「これは…………」

 ティアマトは思わず呟く。

 よく見ると壁の隅に氷柱の中にベテランの冒険者と傭兵が氷漬けにされた状態で吊るされているように発見出来た。それを見たアスモデウスは氷柱に長い爪で術式を書いた後、息をその術式に吹きかければそれが炎へと変化してその氷柱を溶かしていった。それと同じ要領をティアマトも行っていたのだが、ヘルモーズはその術式のやり方を知らないでいて氷漬けから解放された傭兵とベテランの冒険者の生命反応を確認すれば、僅かな呼吸が確認された。

「ヘルモーズ。運ぶなら転移魔術を使用するといいわよぉ。この人数ならヘルモーズでも出来るでしょう?」

 アスモデウスの言葉にヘルモーズは頷いて全員をヘルモーズの周りに集めてから転移魔術を唱えればその場から一瞬で消えた。

「アスモデウス様。知っているでしょうけれど、ここに入ってから一度でも脱出をしたら入れなくなるのを知っています?」

「勿論よぉ? でも、あの子の力じゃここは突破できないでしょう? 次の続く道はないようだしぃ、さっさと終わらせて片づけた方がいいわよぉ」

 アスモデウスはそう言うと、その奥では、体長50m近くある、ライオンのような動物が寝息をかいて寝ていた。その寝息は吹雪を生み出しており、それが何十年も積み重なったものだろうとアスモデウスは、そう推測した。

 そうなると傭兵とベテランの冒険者は服装を見た限り軽装だったの一緒に集まって寝ていた可能性もあった。すぐにでも立ち去れば助かったものの好奇心により残ってそしてこのライオンのような動物の寝息が吹雪を生み出し続けている為、そのまま氷漬けにされたと2人は推測出来た。

 じっと動かないでいれば、足元が既に氷で覆われていた。

「自力で脱出は無理そうね。ちょっと、起きてくださる?」

 何とか足を動かそうとしたが、既に氷で覆われていてすぐには壊せなかったのか、ティアマトは寝ているライオンのような動物に大声を出して声を掛けた。

 ライオンのような動物は耳をピクリと動かし、大きいあくびをした後、声をした方向を見れば、

≪魔族の者か…………。私に何の用がある≫

 脳内に響くような声でライオンのような動物はティアマトとアスモデウスを見た。

「始めまして、ここのリグレット洞窟はもうすぐ爆破する予定なの。魔王城周辺なら邪魔するものもいないし、食料も十二分にある。どう?」

 ティアマトは、ライオンのような動物の欠伸により足首だった氷が膝上にまで上ってきたことに気が付きつつ、慎重に怒らせないようにそう話せば

≪ふむ…………冒険者に邪魔されるのは気にくわんが、魔族はそれをしないだろう。分かった。すぐに立ち退く。その前に氷を溶かしてやろう≫

 ライオンのような動物は起き上がり右前足を振り下ろすと、それまで残っていた氷が砂のようになっていきそのまま消失した。

≪私の名はエリゴール。分け合ってライオンの姿をしているが本来は人間の姿をしている。よろしく頼む≫

 そう言って彼は大きな頭下げた。


 ティアマト達がリグレット洞窟の前に転移魔術をすれば、ヘルモーズが地面に座っていた。

「ヘルモーズ。お待たせしたわね」

 アスモデウスがそう言えば、ヘルモーズは少し怒った風な顔して、

「心配しましたからね! 転移魔術を施して戻ろうとすればリグレット洞窟が見えなくなっているし、そうなら、あたしは人間を守れるぐらいの戦闘技術は持ち合わせていますよ」

 と言った。

【魔界による電気事情】

魔界は電気は普通にあり特に風の強い地域に風力発電を設置して電気を担っている。

その理由については魔力の節約の為。


【エリゴール】

本来は人間の姿をしているがライオンの姿で応じている。

ライオンの時は固有能力が全く異なる。

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