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ヘルモーズ

前回のあらすじ

キオリがヘルモーズになった。


ヘルモーズ視点で過去の出来事を辿ります

1800万年後は魔界が終わった後に書く予定です。


お母さまはとても嬉しそうに

「さ、ヘルちゃん。次はお外用の服を選びましょうね。うふふ何がいいかしら」

 そう言っていろんな服がある洋服の中から吟味していく

「お母さま。戦闘に影響しないのがいいです」

「それもそうね。その前に、敬語はなしよ。可愛らしくしなきゃね」

「可愛らしく…………? 男なのにですか?」

 お母さまは可笑しなことを言う。わたしは、男なのに可愛らしくと追及してりる。少し声が高いからと言って女の子のふりはしたくない。

「でも、その体は元々、女の子の身体を男の子に変えているのよ? 『あなたは、元々女の子』なのだから、戸惑っているだけよ」

「……………そうですね。可笑しなことを言ってごめんなさい。でも、なんで男の子にする必要が?」

 お母さまの言葉に少し疑問を持って話したら

「『あなたが、男の子の身体がいい』って言ったのよ? 覚えてない?」

「あ、そっか…………。忘れててごめんなさい。でも、まだ、慣れないから敬語にします」

 私がそう言えば、お母さまは残念だわと呟いた。

「動きやすくて戦闘向きなら、その服でもいいと思うのだけど、ズボンは駄目ね。そうね。ロリータにしましょう! 戦闘服や普段着はロリータにしましょう。ギャップ萌えというやつを狙うのよ! そうと決まれば、いろいろと準備をしないと!」

 お母さまは鼻歌を歌いながらあれでもないこれでもないと言いながら物色しはじめた。それが終わったらわたしにいろいろとお願い事をされた。


「あら、トールじゃない? そろそろ出陣の時間だったかしら?」

「いや? ヘルモーズの様子を見に来たけど…………。なんで女装なんだ?」

 部屋を出てからお母さまと一緒にお散歩していれば、お母さまがある人物に声を掛けた。彼の名前はトール。大幹部の1人であるとお母さまから教わった。お母さまはとっても物知りで尊敬する。

「その、動きやすくて」

 わたしがそう言えば、トールはお母さまを見てから納得して

「じゃ、ヘルモーズ。一緒に遊ぼうぜ。近くの岩肌でロッククライミングでもするか?」

「あら、いいじゃない。ロッククライミング。身体を動かすのには持って来いよ。ヘルちゃん。運動したらどう?」

 お母さまもそういうのだし、いいのだろう。わたしは頷けば、トールはわたしの手を繋いでから満面の笑みで

「じゃあ、いこうぜ」

「いってらっしゃいヘルちゃん」

 ロッククライミングをするのは初めてなので、少し緊張する。

「じゃあ、どっちが早いか勝負しようぜ。手加減はなしだからな」

「はい! わたしも負けません!」

 トールの言葉にわたしは頷いて、偶々近くを通った鳥が通り過ぎたらゲームスタートの合図。しっかりと岩の突起物に捕まり鳥が通り過ぎるのを息をひそめて待ちつづけ数秒後に通り過ぎたところでゲームスタート!

 先行はトール。常にいつでも出陣が出来るように訓練でもしているのかスイスイと登っていくのを見て、わたしも闘志を燃やす。ここで負けるわけにはいかない! だってわたしはお母さまの側近だから!

「っ…………はぁ…………はぁ…………」

「お疲れ。ヘルモーズ。大丈夫か?」

 頑張ったんだけど、体力がないのか途中で疲れてしまって結局負けてしまった。トールはしゃがんでからあおむけになっているわたしを見てそう言った。

「だ、いじょうぶです…………」

 わたしは上半身を起こしてから服装が破けてないか確認をする。汚れたり破けたりしたらお母さまに怒られてしまうけれど、見たところ破けてたり汚れも確認したけど無かった。

「まぁ、最初はそんなものだぜヘルモーズ。俺も最初はヘルモーズみたいだったから。すぐに慣れるさ」

「そ、そうなんですか? 凄いです。トールの師匠に逢ってみたいです」

 そう言えば、トールは明らかに顔を曇らせた。

「異世界の人間に無慈悲に殺されていないんだ。ヘルモーズ。あんたはそう言うことをするなよ」

 その目は憎しみと怒りの目なのに、何故そんな悲しそうな顔をするのだろう?

「わたしが人間だったら、そんなことしないのに…………」

 独り言のように呟けば、トールは驚愕したのち

「そんなことを考える人間なんているはずがないだろ。それは、ただの空想だ」

 とわたしの肩を掴みながら真剣な表情でそう言われた。

「ご、ごめんなさい…………」

 トールの地雷を踏み抜いてしまったことやただの戯言に対して謝罪した。

「いや…………俺の方こそ悪かった。遅くなるといけないし、早く帰ろう」

「は、はい」

 そ、そうだよね。そんな人間なんていないよね。なんて思っていると何かが思い出しそうな気がした。

「?」

「どうしたんだ? ヘルモーズ」

「い、いえ。何でもありません」

 これは何なのか。あとでお母さまに聞いてみようかな。だってお母さまに『思い出したらティアマトに話す事』って言われているんだから。


 夕食を食べ終えてから今日の出来事をお母さまに報告する。それが『掟』なのだからちゃんと守らないと

「……………ということがありました。お母さま、これは何かご存じですか?」

 最初は笑顔だったお母さまだったけれど、何かを思い出そうした話をすればお母さまの顔が真顔になっていた。真向かいに座っていたお母さまは立ち上がってわたしの後ろに周り何かの布で目を覆い隠された。

「いいと言うまでじっとしていてね。そして、私の言葉に耳を傾けるのよ」

「は、はい」

「『ヘルモーズは、魔界で生まれ育った正真正銘の女の子。魔王が統べる城で働くべく身体を男の子に変えるようにティアマトに頼み込んだ』そうだったわよね?」

「……はい」

「『男の身体になっても精神は女の子。女の子の言葉で話す』そうよね?」

「そう、です」

「『ヘルモーズの本当の両親は、異世界の人間に殺されていて、ティアマトを母のように慕っているし、ティアマトをお母さまと呼んでいる。ヘルモーズが魔王が統べる城で働きたい理由は異世界の人間を殺す為』そうでしょう?」

「はい…………」

「『人間が憎くて憎くて仕方がない。殺すのも慈悲はない』」

 頭の中に段々と靄が掛かるようなそんな気分になる。

「安心してちょうだい。ヘルちゃん。その靄は貴方の不安要素だから無くしてあげるわね」

 そんなことを見透かすようにお母さまはそういう。お母さまのいうことは絶対なのだから。そう思って頷く。

「いいこね。眠くなったら寝ていいからね?」

「はい。お母さま」

 お母さまに言われれば眠気が襲ってきてそのまま逆らうこともせず意識を手放した。


 ヘルモーズが意識を失ったのを確認してから、ティアマトはソファーで横だ折れているヘルモーズを抱きかかえて術式が書かれているところに横になるようにヘルモーズをゆっくりと下した。黄色の長方形の布を目隠し代わりにしているが、それを外ずことはしない。

「ティアマト。ヘルモーズの様子はどうなっている?」

 ヘルモーズが目隠しをされたと同時に部屋にやってきたアラルは入り口付近で右半身を壁に預けるように凭れ掛かりながら尋ねた。

「前の記憶を思い出す頻度が高いわね。私の固有能力は完璧のはずなのにそれを上回るようになっているわ。魔力も人間のものとは思えないほど膨大だし、しかも半数はトールに似ているわ」

「ほう? それで、トールは何と?」

「未来のほうで精神の持ち主である人物に魔力を譲渡したのではないか。というのが今のところ推測よ。それで、精神の持ち主の過去を探ったのだけれど、見て頂戴これ」

 ティアマトはそう言ってある資料をアラルに見せる。

「ほう…………。こことは違う異世界の人間がこの世界に呼ばれた勇者候補で、この世界に飛ばされた我々の仲間を救うと言っているのか。しかもトールが飛ばされてそこでその持ち主に魔力を譲渡するほど、人間に感化されるとは…………」

 アラルは関心しながら資料を捲り読みふけた。

「それが本当なら、精神の持ち主を落としてそして残り2人が彼をみてどう思うか実験してみたくなったのよね。何せ1800万年も時間の猶予があるもの」

 ティアマトはそう言って笑みを浮かべた。




【固有能力】

魔界にはそれぞれ違う固有能力があり、それによって人間を支配出来たりすることが可能だったりする。ティアマトの場合は発言した言葉を本当にするという洗脳系の固有能力。これによりヘルモーズ(キオリ)は元女の子で元の記憶を消去された状態になっている。


【ロッククライミング】

岩登りのこと。魔界では体力付けるのに近くの岩山でロッククライミングをするのが主流である。


【ヘルモーズ】

ティアマトの操り人形になりつつあるが本人は自覚なし。


【トール】

ティアマトによってヘルモーズが洗脳されているなとは一目見て分かったが、そのまま見て見ぬふりをした。ロッククライミングでは上位に君臨するほどの腕前である。


【アラル】

魔界にある戦闘隊長。

ティアマトと友人関係にあたる。

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