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自動魔術

前回のあらすじ

キオリが行う際に人間の足首以上の大きさしか拘束魔術が出来ないと判明し、アルデバランはそれを知っているかどうか不明であった。

 ソフィさんが持ち場に戻ったと同時に、2階から降りてきたアルデバランは俺のところに近づいてきた。何故か顔が青ざめている。

 急いで来たのは息切れをしている。そこの展望台からここまでの距離は分からないが、息切れを起こすぐらい大変なんだろうと思う。エレベーターもなければエスカレーターもないからな…………。魔法か魔術でそういうのを作ればいいと思うだろうが、そう簡単にはいかないのがこの世界の仕組みなのだ。

 転移魔術は、王様の許可なしには移動することは出来ない。これは、転移場所に人がいた場合、転移した人物とくっつかないようにする為で、実際に転移魔術を起こしてくっつくと言った事柄が発覚してしまいそれにより自殺してしまうことが発生したのは、何度か説明しているはずだ。なので、転移魔術を使用することは、特殊名であるアルデバランさんでも使うことは許されていないのだ。

 エスカレーターやエレベーターなどは、自動で動かす魔術を作り出した本人が継続的にやらなければいけなくしかもその場所から離れることは不可能で食事、睡眠などと言った人間に必要なこともしてはならないという禁止魔術に等しいぐらいに制約がありそれにより、自動魔術は禁止魔術の内の1つとして数えられることになったのだ。過去に3人がそれにより死亡したケースがある。

 1人目は自動魔術の詳細を詳しく知る原因になった人物。

 2人目は誤操作。

 3人目は他人によって食事を得られるか実験した人物。その場合、3人目は与えられた瞬間に拒否反応を示すように嘔吐をしたことから、他人からの摂取は無理であると理解させられた。

 という話をアルデバランさんが教えてくれたぐらいだ。


 話は大分ずれてしまったが、アルデバランさんがこっちにきて

「す、すまない。キオリ…………。その、拘束魔術に関してだが…………。イザールがドロシーに水を満たす為の、飲み薬の…………錠剤が、あるかどうか尋ねてきてだな…………」

 アルデバランさんはそう言ってせき込んてから、

「その時にだな…………。キオリが使う拘束魔術は、そのボールでは拘束することは出来ないのではないかって言われてだな…………。それで、よく調べてみたら…………。キオリの拘束魔術は人間の足首以上の大きさしか拘束出来ないことが分かったんだ。すまない。俺が調べていなかったから足首以下の大きさしかないものを拘束させようとしてしまって」

 後半から息を整えたアルデバランさんはそう言って謝罪した。

「そうなのか…………? アルデバランさんはイザールさんに言われるまで知らなかったんだろ? ならお互い様ってことでいいじゃないか。それにいい練習になったからな」

 何も知らない風に装ったのだが、本当はドーラから訊きましたとはここでは言いづらい。俺とソフィさんは50mぐらい離れているのが聴力がそれぐらいの範囲内なら聞き取れると教えてくれたことがある。ドーラは人間以外に知られたくないという決まりがある以上それを守ら中くてはならないのだ。

 それを察したのかどうかは不明だが、アルデバランさんは少し腕を組んで悩んだ顔をしたのち頷いてから

「そうか…………分かった。このボールは俺が回収しておく。確か、このボールで練習してくれ。黒白ボールだ」

「黒白ボール」

 五角形の黒と白が交互並んでいる。サッカーボールである。しかしサッカーという言葉がないのか黒白ボールである。ボールという言葉はあるのにサッカーはないのかと不思議に思うしかない。

「昔はモンスターが大人しい時にそれで遊んでいたらしいんだが、今は気性が荒いからな。領地に入っただけで人を襲うのはしょっちゅうだ。俺もこれで遊んでいたよ。これなら足首以上の大きさだし拘束できるだろう?」

 アルデバランさんも四次元麻袋を持っているのか、そこから取り出した黒白ボールを俺は受け取ってから確かめると、今度はあっさり捕まえられた。

「……………………」

「……………………出来たようだな。しばらくはそれで練習していてくれ。俺は、ジャンジャン族のアルギエバのところに行ってくる」

 アルデバランさんはそう言い終えると、そのままその場を離れて出入口方面へ向かっていった。

 黒白ボールは、サッカーボールに似ているが、弾力がゴムボール並みに跳ねるようでその見た目だけは似ているが中身は別ということが明らかになったのだが、これで、どうやって遊ぶのか気になり始めるが、今は拘束魔術で集中することにしょう。

 

 とは言ったものの

「10回挑戦して4~5回しか拘束できないな…………」

 対象が大きくなったところで拘束する回数は0回から4~5回ほど跳ね上がったのだが、それ以上は難しいと来た。その原因は、跳ねる速度が速くなったことぐらいだろうか。ピンポン玉サイズのボールは予測して動けたのだが外見サッカーボールで中身はゴムボールの黒白ボールは、跳ね返るのが速くなったのでそれが追い付ていないのだ。

「見た目に囚われてどうするつもりだよ、俺。頑張れ!」

 独り言を言ってから周りを気にし始める。訊かれてないな。

≪僕は訊いたけどな≫

 ドーラが脳内でそう語ってくる

(…………聞いていない振りでもしてくれ)

 恥ずかしくなる。

≪へいへい。頑張れー。僕は応援しかできないからな≫

 なんで、俺ドーラと契約したんだろうか………。

 そんなこんなで、ドーラに脳内で応援されながらも、拘束魔術の練習をしているときに

≪あ、そういえば、君の幼馴染であるトウヤだけどさ。あの世界では僕の姿を僕たちがいなくても認知できるみたいでな。その時にこう言われたぞ。カズキは僕の遺言を言ったのを気にして、無茶ばかりするんだが、その分ストレスを貯めやすいから、発散させてくれって言われたんだ≫

「っ!? あ、失敗した!」

 ドーラの突然の言葉に思わず驚愕してしまいそれで黒白ボールを拘束できなかった。俺はそれで思わず口にして誤魔化すことにした。

(いきなり何を、言うんだよ。つうかドーラは大人しくしていたはずじゃなかったのか?)

 再び拘束魔術の練習を再会しつつ俺はそう言えば

≪いきなりではないな。さっき受信したから≫

(はぁ? 受信? テレパシーみたいなもんか?)

≪まぁ、そうだね。僕たちでも受信するのは初めてだから少し驚いているぐらいだ。そのために君と契約したのではないかと思うほどだ。ま、偶然だろうけど≫

 ドーラはそう言ってケラケラと笑った。

 確かに人間と吸血鬼が契約する理由が今のところ不明である。もし、あの世界に行ってしまった人物と会話するための存在なのだとしたらと思って考えをやめた。難しいことは俺もよく分からないからだ。


 30回目に挑戦して黒白ボールをの拘束率が上がったかと言えば上がらず平均のままキープしていたので、もしかして拘束魔術は苦手なのではと思い始めた時、アルデバランさんが帰ってきたと同時に鐘の音が聞こえた。

 結構地下深くにいるはずなのだが鐘の音だけは拾うのだが出入口付近が開いたままなのを見て納得した。そこから鐘の音が聞こえるんだなと。

「今日はここまでだ。明日は別の訓練を行うから、ここじゃなくて自室に来てくれ」

 というアルデバランさんの言葉に俺とラーシュとソフィさんはお疲れ様とかいいながら地下室から出て行った。その時アルデバランさんは俺に

「キオリは少し違う訓練をするからな」

「あ、はい」

 アルデバランさんのその言葉に反射的に返事をしたのは、悪くないと思いたい。

 泊まっている宿屋に約1日ぶりに戻ってきて夕食を食べ終えてのんびりしていると

「あ、キオリくん。ちょっといい?」

 スズカは少し顔を赤くしながらそう言った。

【自動魔術】

エレベーターやエスカレーターのように物を動かす魔術のことなのだが、その際にそれを1度でも使用した場合、自動魔術をした本人が自動なのに持続的に維持しなければならないタイプの魔法で、人間に必要な行為が一切禁止される為、禁止魔術行為にあたる。実際にそれを発動して死亡したケースが3件ほどある。


【黒白ボール】

サッカーボールのような見た目をしている。なおこの世界にサッカーが存在しない。


【アルギエバ】

ジャンジャン族の長。男性。

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