表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/177

東の街の滞在3日目。

前回のあらすじ

キオリは亡くなったトウヤと再会しました。

 いつの間にか身体が横になっていたらしく、あれは夢だったのかと俺は、上半身を起こしてベッドから降りてからそう考えたが、昨日の夜には無かったはずの机の上には、白封筒があり、その白封筒の中に入っていた手紙を読んであれは夢ではなかったということが判明した。宛先は書かれていなかったのだが、字を見れば分かるはずだ。幼馴染で親友の字を知らないわけがない。

『夢だと思っていそうだから、一応話すけど夢じゃないからな。僕はキオリに久々に会えたのを嬉しいんだ。僕だってまだ子供だからね。だから、こうして手紙を残すことにした。本当は駄目らしいんだけど、あの世界の王様が特例として認めてくれたんだ。いずれ紹介することになるだろうからその時によろしく伝えてって言われたんだ。どうやらキオリがいまいる部屋以外にもあの世界と繋がる場所が幾つか存在するらしい。どこにあるのかはあの世の王様しか知らないみたいだからキオリにヒントを出してあげることが出来ないんだ。そのことについては謝罪するよ。

 この手紙はあの世界から一方通行で返事は出来ない。2枚目には、カズキとスズカに対してで3枚目はこの世界の魔王に渡してくれると嬉しい』

 1枚目の手紙はそれだけ書かれていた。そして2枚目と3枚目は1枚目の手紙の内容通り相手に当てた手紙があったのだが内容は読まなくてそれらを再び白封筒に仕舞い込んだ後、四次元麻袋の中に仕舞ってから洗面台で顔を洗って濡れた顔をふかふかすぎるタオルで拭いた後、部屋を出た。


 宴会場に足を踏み入れれば、椅子の上で正座しているアルデバランさんとそれを見下ろすイザールさんがいた。

「おはようございます…………。あの、何があったんですか?」

「おはようございます。キオリ様。キオリ様が泊まった部屋のことなのですが、実はあの世界と繋がることが出来る場所でして、それを教えていなかったとして怒られているのです。わたくしとしても、キオリ様が泊まる部屋をご存じなかったので、詳細は把握しておらずイザール様から説教されることはありませんでしたが、アルデバランさん詳細を知った上で、その事を隠していたという状況です」

「そ、そうなのか」

 思わず敬語を忘れてしまうぐらい素が出てきているが、俺は未だに怒っているイザールさんを止めてから

「イザールさん。俺はそのことについて怒っていません。確かに驚きましたが、アルデバランさんのおかげでトウヤに会えたのでむしろ、感謝したいぐらいなんですよ」

 そういえば、今まで床しか見ていなかったアルデバランさんの顔が勢いよく上がってから俺のを方を見て瞳をキラキラとさせながら

「そうだろう! あんたはトウヤの話をする際に少し寂しいそうにしていたから、その部屋を使うように言ったんだ。な、俺は悪くは」

「だからと言って、キオリくんに事前説明もなしにあの世界と繋ぐ部屋に泊まらせるのは、どうかと思うな。キオリくんが喜んでいるならよかったけれど、それが怒っていたら君は責任をとれないだろう?」

「うっ…………。それは否定はしないが…………」

 アルデバランさんの言葉を被せるようにイザールさんにバッサリと切り捨てられてから、アルデバランさんは俺のほうに向き直してから頭を下げた。

「キオリ。あんたをあの部屋に事前説明もなしに連れていって悪かった」

 と謝罪した。

「俺は、そのことについては気にしてません。さっきも言いましたが、俺はアルデバランさんに感謝しているんです。あのことも謝罪出来てトウヤと楽しく会話が出来ましたから。それにむしろ俺がアルデバランさんに謝罪したいぐらいです。気を遣わせてしまって申し訳ございません」

 俺はそう言ってから頭を下げれば、イザールさん達は驚愕してから

「キオリくん。顔を上げなさい」

 そういわれて俺は頭を上げてから

「これ以上の謝罪の言い合いはなしだ。キオリくん。トウヤくんと楽しく会話が出来たようだね。顔つきが前よりスッキリしている。さ、僕も怒鳴ってばっかりでお腹が空いたから朝食にしようか」

 イザールさんはそう言ってから軽く手を叩き、その場の空気を変えるようにそう言った。

 朝食を食べ終えた後、アルデバランさんにの部屋に入る前に、カズキ達がアルデバランさんの家に入ってきた。

「お邪魔します。あ、キオリ君。おはよう。なんか昨日よりスッキリしているね? 何か逢ったの?」

 スズカの言葉に

「そういえば、そうだな。僕も気になるし、休憩の時にでも教えてくれよ」

 とカズキがそう言えば

「ああ。休憩の時にな」

 俺は笑顔でそう答えた。


 その後、ラーシュとドロシー、ソフィさんにも同じことを訊かれた。そんなに変わっているのか? と思いいたり鏡を貸してもらってみているのだが、大した変化はしていないように思って首を傾げているとアルデバランさんは俺が持っていた鏡を取り上げてから

「鏡を見ても、自分自身の変化って奴には分からないと思うぞ。キオリと一緒に行動しているカズキ達ならその変化には気づくだろうな。あとよく観察しているイザールも同様にな」

 視線は鏡を見ながら前髪の毛先を少し弄りつつアルデバランさんはそう答えてくれた。

「ま、言うなれば雰囲気が変わったんじゃないのか?」

「雰囲気?」

「それぐらい大した変化じゃないと思うかもしれないが、実際にそういうものなんだろ。大体、雰囲気が変わるのは、長年抱えていた悩みが解決したぐらいだからな」

 言いたいことを言い終えるとアルデバランさんは鏡をもってどこかへスタスタと歩いていった。

 長年抱えていた悩みが解決したぐらい…………か。

「確かにそうかもしれないな」

 俺はそう独り言をこぼしてから、ソフィさんとラーシュが待っている部屋へ向かった。


 アルデバランさんの指導は、厳しいものだった。

「少し手荒くなるが、我慢してくれよ。そうしなければ魔王は救われることは絶対にないからな」

 絶対とまで言われれば、我慢するしかない。厳しい指導にも耐え抜くしかないのだ。

 アルデバランさんの家に出て裏手にあったらしい地下室に俺とラーシュとソフィさんがいる。ここで、戦闘魔術と基本魔術を訓練することになったのだ。魔王を帰還される魔術は、戦闘魔術と基本魔術を合わせた魔術構成で出来ているらしくまず前者の2つを覚えなければ帰還魔術は難しいとされているほど難易度は高め。つまり5段階評価に例えるなら戦闘魔術と基本魔術が1なら帰還魔術は5に値するのだ。

 それを訊いた時俺は、顔には出さなかったが内心は面倒くさいが先にでてしまった。しかし、ここで文句を言ったら魔王を生還させたまま帰還させることは出来ない。俺たちはそれをしなければならないのだ。

 両頬を叩いて己を力んだ後、覚悟を決めた。

「この部屋はぶっ壊れないように魔術を施してあるから、安心して使えよ!!」

 と遠くにいるアルデバランさんは叫ぶようにそう言った。

「魔術の基本は、派手な演出を行う必要がある! この演出は必要かと思うかもしれないがそれぐらい派手だ。そして容赦しない全体範囲攻撃だ! だから使う場所は広い場所と限定されてしまう。そうしないと森林火災が発生して警頭兵に捕まる可能性が非常に高いからだ。普段は、物理で攻撃するか攻撃魔法でするのが一般的だ」

 拡声器代わりの魔法があったのか途中で叫ばなくなったアルデバランさん。あるなら最初から使ってくれとは思うが、戦闘魔術は使う場所がかなり限定されるようで、使いどころが難しいのも納得がいった。

 ソフィさんが戦闘魔術でも最高位であるビックバンを発動させたときは、流石に巻き込まれるかと思ったぐらいに戦闘範囲が広い。俺とソフィさんは50m近く離れているはずなんだが…………。それぐらい範囲が広いというのだ。

【地下室】

階段を使い10階ぐらい分の地下にある高さ100m広さ200mぐらい広く、全体が白いタイルで覆われている。

アルデバランがいるのは一番上ののぞける場所。


【戦闘魔術】

広いところでやらないと森林火災が必ず発生するぐらい全体攻撃なので、狭いところでの戦闘は物理攻撃か魔法を使うことが決まっている。


【ビックバン】

ソフィが使った戦闘魔術の最高位とされる魔術で空気中の埃などを一気に集めその埃を爆弾に変換させた後にその爆弾を一斉に着けて爆発させた状態でその熱風がキオリがいるところまで届いた。

地上でやると家が崩れるレベル。で中心にどでかい穴があく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ