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イザール

前回のあらすじ

帰還魔術をアルデバランさんに教わることになりました。


 元々戒めの子というのは、人間と魔物又はモンスターによって出来た子供のことである。人間が魔物と結婚するというのは、この世界では普通の事でそれを受け入れる村まであるぐらい広いのだが、人間とモンスターの場合はそうではなかった。

 モンスターが人間を襲われた報告があり、20分後にはモンスターは討伐されて襲われた人間が保護される形になった。しかし、数か月後に人間が妊娠していることが分かったのである。モンスターは性別も不問、人間も性別不問。人間がモンスターを襲う理由もないのだが、モンスターは人間を襲う理由は敵意以外何もなかった。だが、稀に発情しているモンスターがいる。人間はそれに襲われたのである。

 エリスは。人間とモンスターの子である。母親はエリスを出産したあと鬱になりエリスが1歳になったその日にエリスを置いて夜逃げした。その後、エリスは魔物に保護されて胡蝶蘭で過ごしていた時に、現れたのがアルデバランである。

 アルデバランが胡蝶蘭に訪れた理由は、エリスに合うことだった。

「あんたが、エリスか。俺の名前はアルデバラン。俺と一緒にこい」

 言い方は完全に上から目線であるが、エリスは必要としてくれる人間としての見極めの為に、ついて行くことになったのだ。



「この魔術は、難しいね?」

 ドロシーはページをめくりながらそう言った。

「そりゃあな。ドロシーは魔法を発生させたりはしないのだったな」

「そうだね。魔法を使う概念がないんだよ。この世界に電化製品が存在しないと同じように、アタシが住む世界は魔法というのが存在しないからね。だから最初は困惑していた」

 ドロシーは肩を竦めてからページをめくる。

「ふむ…………。なら、ドロシー。これも読むといい。魔術よりも簡単な魔法から学ぶのも1つだろうな」

 アルデバランさんはそう言ってドロシーに渡したのは【初心者でも分かる魔法と魔術】という本だ。ドロシーは目をキラキラさせてから

「わぁ! ありがとう! アルデバラン……………………さん!」

「言いにくいなら呼び捨てで構わないぞ」

 アルデバランさんはそう言ってイザールさんが来るまで俺とラーシュ、ソフィさんで魔術の基礎を教えてもらうことになった。

 イザールさんが来たのは、昼食後であった。

「やぁ。アルデバラン。君の呼び出しがあるとはね。驚いたよ」

 右手をひらひらさせてそう言ってきたイザールさんは、たれ目で坊主頭の男性であった。服装は俺たちが行った街では見かけたことがないもこもこの服を着ている。

「君たちは初めましてだね。僕はイザール。魔術試験の試験官をやっているよ。北の街の出身でね。着替える暇も与えずこちらに連れてこられたからね。急いで着替えを持ってきて正解だったかな? 着替えてきていいかい?」

「ああ、いいぞ。エリス。案内してやってくれ」

「分かりました。イザール様こちらです」

 エリスさんは俺たちにお辞儀をした後、イザールさんを案内しに行った。


 魔術の試験に合格したからと行ってそこからすぐに魔術が使えるわけでもない。魔術は一般、攻撃の他に禁忌魔術が存在する。試験に合格した人物がまず覚えるのが禁忌魔術である。

 例えば、人を死に至らしめる魔術。これは一般的な解答として正解になる。他に拘束魔術。これは異世界アトランダム召喚術式やビーデルさんが行った召喚術式も同様だ。過去に行われたクローズ博士は、その罪で処刑されてしまった。全く関係のない罪で処刑されて残されたノートは、いつか現れるであろう魔王を救う人物に託した。

「それを背負うのは無理だって投げだすことだって可能なのに……………………。君達は優しい人達だ。魔王を返すことは僕も賛成だったしクローズ博士の日誌も読んだ。けれど、僕には、そう言った勇気や行動は一切なかった。他の人達もそうだ。アルデバランだってそうだろう?」

 軽装に着替え終わったイザールさんはアルデバランさんに尋ねた。

「確かにな。俺たちは誰かを助けるという行為は一切取ることがない。というか、そういう習慣が全くではないが滅多にないんだ。珍しいなってぐらいの感覚だ。だからそう言った行動を率先して動くあんたたちが物珍しく噂が広まるんだ」

「なるほど」

「さて、話はここまでにして、別の部屋で指導しようか。えーっと、カズキ、スズカ、ドロシー。で、いいんだよね?」

 イザールさんに呼ばれたカズキ達は返事をすれば

「アルデバラン。別室借りるけどいいよね?」

「好きにしろ。いつものところは鍵が掛けていないはずだ。あとは、鐘が鳴ったら宿屋に戻るだろうからそれまでは指導してやってくれ」

 アルデバランさんはため息を付きながらもイザールさんに指示をだした。

「了解。じゃあ着いてきて」

 カズキ達に手を振れば、カズキとスズカは笑顔で手を振りドロシーも疑問に思いながらも手を振ってアルデバランさんの自室から出て行った。


「ラーシュの暮らす世界の魔術は、どこまで進歩しているんだ?」

 扉が閉まってからアルデバランさんは、ラーシュに尋ねた。

「跳躍ぐらいかな。種類にもよるけど、基本的に学ぶのは跳躍ぐらいでそれ以外はほぼ武器で戦ったりしているから」

「跳躍というと? 飛ぶのが長くなるとかか?」

「それです! 2段飛びが出来るんだよ。特に木に登って視察したりするから。それにあの場所は、モンスターが出てきやすい地域だから見張り番とかもやっているよね」

 ラーシュの言葉にアルデバランさんは腕を組みつつ

「じゃあ、次に、ソフィの暮らす世界の魔術はどこまで進歩しているんだ?」

 と尋ねてきた。

「そうだね…………。僕たちドラゴンは、襲来者というか危険なモンスターというものが、週に1回のペースでくるんだ。それに伴って僕たちドラゴンは、常に危険状態と背中合わせで治療には特化しているといっても過言ではない。薬草を買えるほどの切羽詰まっている状況だからね。それでも、落ち着けるときは落ち着ける時で治療に専念しているだ」

 とソフィさんがそう言えば

「その治療には種類があるのか? 例えば毒とか状態異常の治療とか」

 アルデバランさんはノートを取り出し書き留めながら尋ねた。

「種類は1つしかないよ。その治療で状態異常と重傷から軽傷までを治せるんだ。だけど、デメリットがあって、その治療を使った本人の意識が失うことがあるんだ。僕たちはそれを体力の関係だと思っている」

「なるほど…………」

 とアルデバランさんは納得してから俺を見た。

「で、キオリ達平和組は、魔法概念がないんだったな」

「そうですけど…………」

「魔法概念がないのに、体内に入っている魔法は魔法を覚えていない赤ん坊並みに空っぽなはずなんだが…………。なんで、そんなに入っているんだ? 近くに魔法を使える奴がいたのか? それとも単なる自然素質か? いや、ちょっと待ってよ。この魔力は…………」

 何かを発見したらしく一旦戻ってから俺にそれを見せた

「は……………………?」

 そこに載っていたのは、絵で描かれていたが上の文字にはハッキリと魔王と書かれている。俺を庇って亡くなったはずの幼馴染がいた。

「知っているのか?」

「いや、知っているもなにも、俺を庇って亡くなった幼馴染なんだが……………………、魔王ってなんだ? どういうことだよ?」


これまで召喚された魔王の中には人間の姿をした人物がいたらしい。今にして思えば彼も魔界から転生した人間であると分かるのだが、昔はそうではなかった。

 過去の勇者候補たちが苦戦した相手でもあり、唯一どこかへ逃げおおせた人間でもあった。


【イザール】

北の街出身の男性。魔術の試験官に任命されていて魔術講座も彼が行っているぐらい魔術に詳しい人物。坊主頭で一人称が僕。眉が太い。


【禁忌魔術】

死に至らしめるなどといった禁止行為教えるために、そう言った者があるということだけを説明する。それをする魔術は教えないのが決まりとなっている。

こういう禁忌魔術があるから、誰かがそうしたら阻止するようにという監視役も含めている。


【魔法】

獣鱗界やドラゴン界などといった異世界には必ず存在している魔法のこと魔法とは正確ではない為、魔法や魔術と言った単語は控える傾向が多い。

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