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アルデバラン

前回のあらすじ

キオリが無茶をする理由が判明


RPGのような世界観と最初のころに目指していたのですが、これまでに入ってRPG要素が一切もないことに落ち込み。

ゆっくり進んでいイライラする人もいるかもしれませんが、ごめんなさい。そういうスタンスで書いています。

 スズカとカズキ達と一緒に暫くは他愛もない世間話をした後、昼の時刻を知らせる鐘の音が聞こえた為、洋館を後にした後、果樹園が見える料理屋へと向かいそこで、昼食を食べ終えた後、俺たち3人は再び古びた洋館へと向かい、その近くにいるアルデバランさんがいる場所へ赴いた。

 迷子族の長の話によると、アルデバランさんに会うのには仲介人がいるらしいので、その仲介人を探すことにしたのだが、それをする必要がなかった。アルデバランさんの玄関前にバンダナを頭に巻いた1人の女性が険しい顔をしながら腕を組んでいた。

「あのー。すみません。その、後ろにあるのはアルデバランさんの家ですか?」

 確認のためにスズカがそう尋ねれば、女性は俺たちをじっくり見た後

「そうですが。アルデバラン様に何かご用件でも?」

 冷めた目を向けながら尋ねてきたので、俺は四次元麻袋から手紙を取り出してから宛先が間違っていないか確認してから

「これを、貴方に渡すようにと言われまして…………」

 と言えば、仲介人の女性はその手紙を受け取ってその場で開封してからそのまま読み始めた。

 3枚以上の手紙を感覚的に数十分程度で読み終えたのち、彼女は俺を見てから

「これを誰から受け取りましたか?」

 と尋ねてきたので

「迷子族の長からですけど」

 俺がそう答えれば彼女は驚愕したのち

「少々お待ちください」

 そう言って家の中へ入っていった。

 感覚的には30分後ぐらいに仲介人の女性は扉を開けてから

「お待たせしました。アルデバラン様のところへ案内しますので入ってください」

 明らかに不機嫌ですと言わんばかりの表情で俺たちにそう促したので、お邪魔しますという言葉を忘れずにアルデバランさんの家に足を踏み入れた。


 アルデバランさんの家の内装は中華風であった。真っ赤というわけではないが、チャイナの雰囲気を感じさせる内装と言った方がいいか。外見はヨーロッパ風なのに、内装はチャイナ風。ちぐはぐなのがアルデバランさんの拘りなのだろうと勝手に思うことにした。

 俺たちが入ったのを確認してから、仲介人の女性は扉に鍵をかけてから俺たちの前まで歩き

「こちらです」

 そう言ってから後ろを振り向きもせずスタスタと早歩きで歩き始めたので俺たちは慌てて後を追った。

「アルデバランさんは、どんな人なんですか?」

 歩いている道中、ずっと無言だったのが嫌になったのかスズカは彼女に尋ねる

「アルデバラン様は非常に警戒心が強いお方です。逢う人物を選別していると言っても過言ではありません。ですから、わたくしのような身分の低い人物が拾っていただけたことに感謝をしています」

「身分が低いというと?」

「……………………野生動物以下の扱いになります。わたくしの場合は、捨て子、戒めの子ということでそう言う扱いを生まれた時から、アルデバラン様に引き取られるまでそう受けてきました」

「酷い扱いをされたんだ。今は大丈夫なのか? 他の人にいじめられてないか?」

 カズキが不安げに彼女に聞けば、

「大丈夫です。あなたたちはとても優しい人たちなのですね。ほかの人たちと同じようにわたくしを見下してくるかと思っていたから冷たく接しましたけど、アルデバラン様の言う通りですね。自己紹介をさせてください。わたくしは、エリスと申します。貴方たちのお名前をうかがっても?」

 最初の頃と比べて穏やかな顔でエリスさんはそう言った。

「始めまして。俺はキオリ。隣にいるのカズキとスズカだ」

 俺がそう言えばカズキとスズカは立ち止まってお辞儀をすればエリスもお辞儀をしてから頭に巻いていたバンダナをとった。

 ぴょこんと出てきたのは、この世界に来てから久々に見るウサギ耳だ。

「ウサギ耳だ」

「どうしよう。触りたい。触っていいですか?」

 動物の中でもウサギが好きなスズカは少し顔を赤らめながらそう言えばエリスさんは頷いてから頭を下げた。

「あ、ふわふわしてる。短い毛ってイメージがあったけど…………。ありがとう」

 スズカはある程度堪能したあと、そういえばエリスさんは頭を上げてから

「ウサギの種類も多くいますから」

 という理由で済ました。


 しばらく歩いてから行き止まりの部屋に辿り着きノックを3回した。

「アルデバラン様。お連れしました」

 とエリスさんが扉の前でそう言えばガチャリという鍵を開けた音が聞こえた。

「わたくしはここまでなので」

 と笑顔で言われて俺とスズカとカズキは顔を見合わせてから頷き扉をゆっくりと開けた。

 少し狭いと感じてしまった部屋は天井まで大量の本で埋め尽くされていた。難しい本から絵本まで種類は豊富で、中には王宮で見かけた本が幾つか存在していた。アルデバランさんの個室は大量の本で埋め尽くされていた。

「何を呆けている。さっさと入ってくれ」

 低くもなく高くもない中性的な声音で俺たちは正気に戻ってささっと部屋の中に入ればアルデバランさんらしき人は杖を3回ほど左に動かせば扉は締まり鍵も締まった。

「……………………カノープスの知り合いだったな。適当に座ってくれ。床に座ってもいいぞ。俺も座るからな」

 そう言ってから杖で床に散らばった本を片付け始めるのを黙ってみていたらかカズキが俺の服の裾を引っ張りつつ

「映画とかでよく見る光景を僕は目の当たりにしているんだ。ああいうのって僕たちでも出来ると思う?」

 と小声で目を輝かせながら尋ねてきた。

「え。いや、どうだろう…………? ほら魔法って呪文がいるだろ? 呪文なしであれだから相当修行を積んでいるんじゃないか? そう簡単に出来るわけないはずだぞ。多分」

「魔法の才能に秀でたものなら半年で習得できる代物だ。貴様は少なくともあと50年掛かるからあきらめろ」

 小声で話していたはずなのだが、彼には聞こえたらしく乱雑な返しをした。

 俺たちが適当なところに座れば、彼も適当な場所へ座った。

「俺はアルデバランだ。あんたたちは平和組だったな。名前は知らん。教えてくれ」

 俺とカズキとスズカの順で教えるとアルデバランさんは、俺を見てから

「カノープスが言っていたキオリというのは、お前だったか。大した力も感じないな。そこの2人もだ。だが、そういう人物だからこそあの魔王を元の世界に戻すことが可能か。皮肉なものだ」

 嫌味しか言わないのかひねくれた性格をしている。

「エルナトからも話は訊いている。魔王についての詳細が知りたいんだろ? 別に構わないが、交換条件がある」

「交換条件…………ですか?」

 アルデバランさんの言葉に俺は息を飲みながら尋ね返した。

「なに。大した理由じゃない。平和組の3人のなかで最も生き返らせたい人物を1人だけ選べ。それだけだ」

「!? 選んだ人物はどうなるんですか!?」

 スズカは驚愕しながら尋ねると

「平和組が元の世界に戻った時点でそいつを周りの違和感なく戻すだけだ。だがそれと同時に平和組の3人のうちの1人の魂をもらう」

「!?」

 一体何がしたいんだ? 

「アルデバランさん。いったい何が言いたいんです?」

 俺がそう言えば

「過去の魔王の1人がそう言ってきたことが記録上で残っている。実際にそれが使われたかどうかは俺は知らん。そうまでして元の世界に帰りたかったのだろうな」

 さっきの言葉は気にしないでくれ。流石に俺もそうすることは不可能だ。とアルデバランさんの言葉に俺は少し呆れてしまった。

「だが、質問の意図を考える前に俺が何故、それを言ったのか真意を確かめようとしていた。それでいい。今回の魔王は警戒心が強く、誰かが言ったかもしれないが戦闘は避けられないだろう。そう簡単に説得に応じるとは思えない。だが、それでも平和組は魔王を説得して魔王が帰還する方法を調べ上げてそれを魔王に使わせることが使命だ。まず平和組がやることは魔王が元の世界に戻すための魔法を覚えてもらわなくてはいけない!」

【アルデバランの家】

外見は橙色と薄い橙色が組み合わさった古びた洋館と同じような洋風の建物で煙突が存在している。ほかの家は現代風の家になっている。


【身分の低い】

東の街では、胡蝶蘭のような家のランクなどを引き継いだ感じで人間をランク付けが行われている。1~5というランク付けが行われている。

1ランク:身分が最も低い。野良猫、野良犬、野生動物以下。奴隷より酷い扱いを受ける。

2ランク:飼い猫、飼い犬、家畜、奴隷がここ

3ランク:一般市民がここ。

4ランク:上流階級の人がここ。庭付きプールなどの特典付き

5ランク:雲の上のような存在。アルデバランがここにあたる。


【戒めの子】

人間とモンスター又は魔物の子どものこと。


【エリス】

アルデバランによって約30年前に拾われた子。魔物のウサギと人間の子。着け耳のような感じであるが人間の耳はない。尻尾は生えていない。


【アルデバラン】

乱雑な言い方が目立つ男で魔法、魔術が得意。

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