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異世界に召喚された勇者候補達が魔王を討伐する物語【修正中】  作者: 華鳩羽
異世界への転移と修行まで
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指導4 エルフとドワーフとハーフエルフによる狩りと野営の方法について

スズカの葛藤、カズキの苦悩、キオリの苦戦。



8月31日修正

文章の段落開け

後書きにドワーフの説明を追加

文章の変更


12月7日修正

あとがきの[を【に統一

あとがきの説明の一部を変更

 その後の睡眠は、誰にも邪魔されずに、朝の告げる鐘の音以外は、深く眠っていた。あの鐘は、俺の個室と目と鼻の先にあるので、目覚めがいいのだ。悪く言えばうるさいのだが、目覚めの悪い俺にとってはありがたい目覚まし時計代わりとなっている。おかげで、ここに来てから遅刻することはないのが証拠だ。


 応接室で朝食を食べたあとは、エルフによる狩りと基本生活の知識の勉強となる。

 野宿経験がない俺たち平和組にとって、野宿の基本知識は意外と役に立つのだ。基本、魔王討伐までに道のりは、母を尋ねるアニメよりも長く、その道なりに小さな村などはあるが、それさえ程遠い為、基本は野宿での生活が余儀なくされるのだと、エルフの女性リドさんは教えてくれた。

 あまりにも詳しいので、尋ねてみたら、俺たち以外は1200年前ぐらいに召喚されていたということだった。

 鱗人だったりドラゴンだったりはたまた神だったりする。勇者の資格候補があればなんでも召喚可能なのかと俺たちは同時に顔を顰めた。


 狩りは基本弓を使うものであるらしく、近距離は獲物に気づかれる危険もあるので、狩りをするのは中距離武器を持っているカズキの担当になった

「ぶん回す音でバレません?」

「そう思うわよね。でもバレないのよ。ここの世界の野生達は危機感というのをどっかに置いていったみたいなのよ」

 野生が危機感を捨てるとは。

「近距離だと音に気づいて逃げるのだけど、それ以外は危機感がどっかに行くのよ。何故かしらね。理由は今でも分からないわ。文献でも曖昧なことしか書かれていないから。それに、私達、この世界の言語を頑張って覚えようにも複雑すぎて覚えきれないのよ。何を話しているかさっぱり。それに比べて、平和組の言語は、ある程度決まっているから、覚えやすいわ」

 ひらがな46文字、カタカナ46文字の合計62文字にとっては、エルフにとっては簡単なようだ。

「バドラー達も平和組の言語は覚えやすいって言っていたぐらいだし」


 話はそれたが、狩りはカズキに任せるとして、

 スズカと俺は、ハーフエルフはテントの張り方、ドワーフは火の起こし方などの説明をすることになるのだが、ドワーフのグインさんは、俺を指名したので、スズカはハーフエルフのイリルさんに連れていかれる。

「すまないな。キオリ。俺たちドワーフは女性にあまり免疫がないんだ。嫁ぐまで女性と逢ったことがなくてだな」

「あ、なるほど」


 火打石で火のつけ方、現地での木材の調達はこまめにやることを勧めされた。時に渇いた木材ほど良く燃えるのでそれを中心に集めたりするのがベストだったりするのだとか。

 火打石は簡単に見つかるものではないので、グインさんは予備で持っていたという火打石を貰った。

 俺は火打石で火のつけ方を習いつつ、慣れるまで練習をすることになった。


 俺が火打石で練習している間、カズキの方は

 リドさんと一緒に狩りが出来る放牧地に訪れた。

 何の放牧地かと思えば、キツネの放牧地のようだ。オレンジ色の尻尾のもふもふが中央に数百匹以上いるんじゃないかと思うぐらい密集している。

 どうやら、ここのキツネは、危機を感じると密集する習性があるらしい。日本だと知らん。俺はそこまでキツネの生体に詳しくはないからな。

「さっき、この放牧地にモンスターが侵入したみたいで、それを練習してみましょうか。放牧地で飼われている動物たちは危機感はしっかり持っているから安心してね」

「あ、はい」

 飼われている動物が危機感を覚えるのか…………。

 普通は逆だと思うんだがと、俺は思うが、言わぬが花ってやつだろう。

 ドワーフたちが昨晩のうちに完成させた、俺専用の武器、モーニングスターは順応性を重視して造られている。右手に持ち手を左手で鎖の部分を持って構える。

「あ。モンスターってスライムのような感じで?」

「基本的スライムが一般的だね。放牧地に来るのは、狼型のモンスターだろうね。獣人と全く異なるから、分かる筈だよ」

 と教えてくれたと同時に、放牧地に侵入してきたのは、リズさんの言う通り狼型のモンスターだ。

 唸りを上げて回りを見渡してから、敵がいないのが分かると険しい目つきが変わり別物のような目つきに変わった。

「へ…………?」

 これは思わず呆気にとられる。これは何だ!?

「ね?」

「いや、ね? って…………」

「警戒心がないって言った理由がこれなのよ」

「えぇ…………」

 驚きすぎて何を言えば分からなくなった。それに、緊張感もどっかに行ってしまった。畜生。

 さっきまでの緊張感を返してくれ…………っ!


 カズキは頭を抱えている間、スズカはハーフエルフのイリルと一緒にテントに使う素材を買いに行っていた。

「そうね! テントは最初から作る必要があるわ。普通はそういうのを売ってそうなものだけど、ここはないわ。町から出ないってのが正しいね」

 イリルさんは、そう言いながらスタスタと進む。歩幅が大きいので、あたしは少し小走りだ。

「あ、あの。歩幅を狭くしてくれませ、んか?」

「およ? 失礼」

 あたしがそう言えば、イリルさんは歩幅を狭くしてくれた。しかし、歩みは止めない。寧ろ早歩きに変わっただけである。

「インナーテントとフライシート、ポールとペグが必要だね」

「えっと…………その4つは」

「テントの基本的なものだよ。組み立ては、現地にしたら、どういう仕組みか分からないけど、その形のまま縮小して掌サイズに収まるみたいだから。本当に、どういう仕組みなのか、興味あるけど」

 甲高い声で不思議だなーと呟く。

 そうだね。不思議だよ。どうなっているんだろう。


 テント専門店に着いて、イリルさんは身振り手振りで店主に3人が寝れるテント素材があるかと尋ねていると思う。

 テント専門店主は、訝しげな顔をしたのち、何かを話している。流石に言語が分からずに困っていると、ハーフエルフ語が分かる男兵士がこちらにやってきて、店主に何かを説明すると驚愕してから大きい麻袋にインナーテント、フライシート、ポール、ペグを一式くれた。

 なんのことだか頭上で、クエスチョンマークが浮かんでいると、ハーフエルフ語が分かる使用人はイリルさんと会話したのち、あたしたちに頭を下げたあと、王宮へと戻って行った。

「さ、行きましょう」

「あ、はい」

 良く分からないままその場を離れて、王宮に入る前に

「テントの店主が怪しんでいたでしょ? あれね、本物かどうか疑っていたみたいなのよ」

「本物?」

「最近というか、あたしたちが召喚される2ヶ月前に自称勇者を名乗る御一行が現れているみたいで、それで、あたしたちが本当に勇者候補達なのか疑っていたのよ」

と小声で説明した。

「そんなの、本当にいるんですか?」

 あたしは尋ねると、イリルさんは頷いた。

「目撃証言も少ないからいるかどうかさえ噂のようなものだよ。もし、出会ったら、戦闘を覚悟した方がいいかも。同じ人だから」

「……………………っ」

 思わず唾を呑む。

 カズキくんとキオリくんは、分からないけど、あたしはまだ人を殺す覚悟がない。魔王も人だけどモンスターで、倒さなければならない存在で。

 まだ、覚悟はできていない。人を殺すっていう覚悟。

「スズカ? 大丈夫かな?」

「!? だ、大丈夫です」

 イリルさんの言葉に我に返る考え事でぼーっとしてしまったようだ。

 それでも、イリルさんは、あたしの考えが分かったのか優しくあたしの頭をぽんぽんとたたき

「勇者アトランダム召喚が発動して君の所に現れたのは何かしらの理由があるってことだよ。勇者候補だったからとか、そういうのは関係なくあれは意志があるように選ぶからね。その理由を旅をしながら考えるといいよ」

 と優しい声音でそう言った。

「……………………はい」

「さ! テントの作り方を教えるよ。しっかり頭に入れてね!」

「はい!」

 切り替わるようイリルさんは、そう言って進んでいった。歩幅は大きくなっていたが。

 あたしは呆れながら、イリルさんに言われたことを頭の隅に入れてイリルさんの後を追った。

【エルフ界とハーフエルフ界】

エルフが住む世界とハーフエルフが住む世界

エルフとハーフエルフは、ほぼ同じとされているため区別などはないが、見分けるために装飾品を付けたり付けなかったりする。今回は別々の世界から召喚されている。

全員が13頭身や12頭身ではなく、大体7頭身から8頭身前後。

召喚した世界のエルフとハーフエルフイメージが13頭身と12頭身だっため引っ張られる感じで急成長している。当然急に視界が変わるので、戸惑うことまったなし。エルフ界の文献には大まかな詳細は残していなかった。

勇者候補達の中でエルフが最年長。


【ドワーフ界】

正式名称は別にある。主にドワーフが人間と物々交換を行う程度の面識しか持ち合わせていない。

ドワーフがほとんど男性しかいない為、女性に対する免疫がないことが多い。嫁に来てもらうときには、ドワーフの威厳で堂々としているが、内心は混乱している。

長身型ドワーフと、低身長型ドワーフの2種類いる。


【鱗人】

獣人と同じ世界の住民。トカゲ、ワイバーンなどが該当する。

そのままうろこじんと読む。


【ドラゴン】

飛べるドラゴンと飛べないドラゴンの2種類あり、普段は翼短い手と太い足と爪、大きな体躯と翼を持っているのだが、異世界に移動するとドラゴンが擬人化したような感じになる。これは流石に困惑し暴れだして魔王討伐より人類絶滅の危機に陥る事態になった。


【狼型モンスター】

近距離に対して危機感があるのに、中距離や遠距離だとモンスターの種類が変わるのではないかと思うぐらい、見た目が変わる。

カズキはあまりにも豹変ぶりに頭を抱える羽目になった。他、動物型モンスターも同じようなことが起きるが、それ以外のモンスターはちゃんと警戒心を持ってくれている。


【自称勇者御一行】

勇者候補達が召喚される2ヶ月前に現れたとされているが詳細は不明。

金銭を目的とした泥棒ではないかと推測されている。

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