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これから変えていく

前回のあらすじ

訓練を行いました。


前話の続きを追加しているので、そっちから読むといいです。

 約3時間にも及ぶ自主訓練及び、対処法をしっかりと学びながら俺たちは宿屋に帰っていったのだが、後ろから襲ってきた場合を想定しての訓練で、どこからか借りて来たのか木刀で手加減はしてくれたが、両肩に痛みが走るほど激痛だったのを記録しておこうとキオリは思った。

「はぁ…………。夜ぐらいから筋肉痛になりそうだよ。ドロシーって見た目は大人しそうに見えるけど、結構スパルタだったし…………」

「それを言うならラーシュも、ほわほわしているが元の世界では戦闘民だから目つきの変わりようが凄いな」

「それで、逃げ腰気味で悟らせないあたりソフィさんも凄いんだけどな」

 スズカ、カズキ、俺の感想に、俺たちは大きく溜息を吐いた。普段は、優しいけれど、訓練だから容赦しないドロシー、ラーシュ、ソフィの3人には平和組も新たな一面を一応だが、見ることが出来た事は大きな成果の1つとして数えていいだろう。

 疲れた身体を癒すようにいつもは10分ぐらいしか風呂に入っていないのだが、今日だけは長めに30分以上身体の心[しん]から癒すようにじっくり浸かった。

 そのあとの夕食は滅多にお替りしないのだがその日だけは、お替りをしたので、女将は驚愕しながらも

「元気があっていいねぇ~~。やっぱり若さかしら?」

 などと子供の成長を見る母親みたいな視線を送らせてながら穏やかな笑顔でそう言った。

 ここの人たちの正確な年齢を知らないから、そう易々と今幾つですか? って尋ねられるか? 俺は無理だな。多分訊いたら駄目のような気がする。スズカもカズキも年齢に関しては尋ねなかった。


 翌朝、俺たちは東の街に向かうために、準備を整えた後、宿屋の女将にお世話になったことを伝えれば、女将は悲しそうな顔をしたものの笑顔で見送った。

 宿屋を出れば、レグルスが来ていた。

「おはよう。あの、皆さんがこの村から出発すると言うのを女将さんから訊いてお見送りに来たよ!」

今日出ていくと女将さんに教えたのは今日なんだが、どうやって伝わったんだ? 電話は、この世界にはないので除外するとして…………などと思考回路しているとレグルスは

「この宿屋の裏口を通っていたら偶然、女将さんに出逢ってそこで、キオリ達がこの村か出発すると訊いたんですよ。僕、こう見えて足が速いんだ」

 と少し誇らしげにそう言った。

「村長は、いま観葉植物を育てて忙しいから僕が代わりに来たんだ。そして伝言を頼まれた。平和組の勇者の助言の元、栽培を行ったら育つようになりました。感謝しています。だそうです。それと、もう1人。ホラさんからも伝言。我儘ばかり言って平和組を困らせてしまいごめんなさい。だそうだよ」

「ホラ?」

 カズキの言葉に俺は

「村長を呼びに言った女性だよ」

 と言えば、カズキは納得した表情を浮かべた。

「それに、僕を救ってくれたことには感謝している。改めてお礼をいうね。ありがとう。とても助かったよ」

 レグルスは満面の笑みを浮かべてそう言った。

 レグルスが去った後も、感謝の嵐をもらったり、これを持っていきと言われて野菜などの必需品を数えきれないほど数多くもらった。その行為に俺たちは照れ臭くなったが、ちゃんと受け取った。ここで、断ったら失礼に値するだろう? 

 もらった物の約半数が、食べ物類だったので、普通の麻袋と大きめに買ったらしい今持っている麻袋より2周りほど大きい麻袋に仕舞う際に、ソフィさんはその大き目な麻袋に魔法のようなものを掛けていた。

 村に住む住民に見送られながらフォレスト・ティータイムを後にした俺たちは、東の街へと歩き始めた。その間にあと2つほど小屋が待ち受けているのだが、気合を入れる。

「ソフィさん。あの麻袋に何か魔法を施していませんでした?」

 スズカも気づいたらしくソフィさんに尋ねれば。

「ん? 魔法というより魔術の類だね。ほら、僕の爪は鋭いだろう? それで破れないように魔術を施したのさ。これならこれなら安心だろう? それに、多くもらったからね。なおのこと必要なことさ」

 ソフィさんの言葉に俺たちは納得した。

 モンスターを討伐しながら先に進むと、最初に王宮から出て行った魔術師たちと出会った。

「あれ? パドラーさん? どうしました?」

 スズカは、近づきながら尋ねれば、パドラーさんは少し憔悴した顔で

「あぁ…………。君たちか。いや、何でも…………」

 と言いかけた所で独り言をぶつぶつと呟いた後

「少し話を訊いてくれるかい? 移動しながらでもいいからさ」

 

「平和組はご存じかもしれませんが、この世界に呼び出された魔王のことについてです。私たち魔術師は独自で調べて、魔王がこちらの世界に強制的に召喚されていると訊きました。その真実を王に話したところ事実であることとその魔王を救ってほしいというお願いをされました。もちろん断る分けがありません。それで、他の皆さんに事実確認として、妖精達に連絡を入れたところ、その言い争いで少し、拗れてしまって魔王を救うことに賛成したのは私たち魔術師の他に神、ピクシー、コボルト、魚、鱗人、妖精、獣人、ドワーフでした。反対意見が出たのはハーフエルフ、エルフの2組のみです。エルフとハーフエルフは過去に何度かこの世界に呼ばれておりその度に魔王を討伐したので、今更、魔王を討伐せずに救えとは何事だということを、パドラーに話したようで、それで疲れが表に出てしまいました」

 デラミラさんとの会話は初めてなのだが、真面目な口調で喋っているのでそれが素なのだろうと関係ないことを俺は思った。

「グインさん達も何度か来てるって訊いたけど」

 ラーシュの言葉にデラミラさんは頷いた。

「確かに、先ほど賛成した全員が何度かこの世界に来て魔王を討伐しています。ですが、それ以前に違和感を持っていたのです。それが今になって確証に至ったということは、私たちにとって恥ずべきことなのです」

「違和感?」

「倒さないでくれと懇願されたことが何度かあるのです。最初は命乞いだと思って気にも留めませんでしたがそれが何度もあると違和感として残ります。その時の魔王はこう言いました」



非常に怯えた顔で、魔王は懇願するように

「どうか、お願いだから殺さないでくれ! 僕には、僕には、家族が、いるんだ。必ず帰ると約束している家族がいるんだ。お願いだ。殺さないでくれ」

 情に訴えている感じであった。デラミラもパドラーもアレクロもそう思った。

「だが、私たちでは、君たちを救う方法を持ち合わせていないんだ。そう遠くない未来に、君たちを救う人物が現れるはずだ。それまでは、おとなしく討伐されてくれ」

 パドラーの言葉に、魔王は驚愕した

「それは、いつのことだ!? いつ、俺たちを救ってくれる!?」

「……………………それは、分からない。私たちのように戦いも争いもない人物たちが未来が来るかもしれない。それまでは待っていてくれ」

 パドラーはそう言えば魔王はここには存在しない何かに祈りをささげた後

「その言葉に、裏切りは許さないぞ」

 そう言って、その魔王は殺された。


「確かに、そう遠くない未来に平和組が召喚されました。王は貴方たちが来ることを賭けていたと仰っていました。私たちもそれです。私たちは、また魔王討伐と評して呼ばれたのなら今度は、魔王を救うべきだと頭の片隅で思っていたのです。それが今、こうして現実となりました。平和組の方々も魔王を救うのでしょう? そしてドラゴン、ロボット、獣人の狼も平和組がそう言う行動をとるからそれに賛成して一緒に同行しているのでしょう?」

 デラミラさんの言葉にソフィさんは頷いた。

「勿論そうだとも。ドロシーもラーシュもキオリ達の魔王を救うという行動に賛成して共に行動をしている。賛成していなくても同行するのは、リーダーとしての僕の役目だからね」

 そう笑顔で答えた。

【強度魔術】

ソフィが大き目の麻袋に施した破れないための魔術。

繊維を太くする魔法の他にそれを破れにくくする生地に変換する魔法などを合わせての強度魔術なので、かなり疲れる魔術である。


【デラミラ】

魔術師の3人のうちの唯一の女性。基本的に真面目な口調で話す。

これまで魔王を討伐してきたが独自で調べ上げ王様のところまで直接尋ねにきた。

元々魔王討伐に違和感を感じていた。


【魔王】

デラミラの回想に出てきた魔王で家族が待っている。

この魔王は、パドラーが言った遠くない未来にくる魔王を救ってくれるという平和な世界が来るという約束を異世界アトランダム召喚術式にその人物が来るように祈りの時に仕掛けた張本人でもある。つまり、平和組がこの世界に来るように仕向けたのは、彼自身である。

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