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フォレスト・ティータイムの買い物

前回のあらすじ

フォレスト・ティータイムの村の名前の由来を聞きました。

 フォレスト・ティータイムの名前の由来がわかったところで、スズカは少し首を傾げた。

「初代村長が、ティータイムが好きだったからティータイムってのは分かりましたけど、フォレストというのは…………今の村長の名前だよね?」

 その言葉に、アーレイさんは少しだけ目を丸くしたのち

「ああ、君たちは知らなかったわね。フォレストという名前は襲名なのよ。初代村長の名前がフォレストだったから、それを忘れないために名前を襲名しているのよ。それに、この村自体が、そう言う風習を大事にするのが暗黙の了解となっているから、誰も気にしないのよ。東の街に向かうために立ち寄る旅人や商人も、君たちほど長く滞在はしなかったから」

 納得するようにアーレイさんが、そう言えば俺たちは納得した。


 試作品段階だが、発売してもいいんじゃないかと思う、この紅茶なのだが、それをアーレイさんに話せば、アーレイさんは、販売するまでの道のりが結構長いらしく、世に出回るのは、俺たちが帰る時でないかと話していた。うーん。残念だな。出来ればここにはいない両親に挙げたかったのだが…………と心の中でとどめておこう。戻った時に覚えているかどうかさえ怪しいんだがからな。

 茶畑を後にした俺たちは、茶畑の出入口付近で自由行動をとることにした。ソフィさんとラーシュは商店街方面へ向かい、ドロシーとスズカは洋服を見に行くようだ。で、残りの俺とカズキだが、することはないので、個人で必要な買い物を済ませるために、出店がある商店街の方へ向かった。結局のところ、全員が商店街方面へ向かったのだが。

 カズキとは小物雑貨で別れた後、俺は文具店へと訪れた。今使ているノートが最後のページに近づいてきてあと3行ぐらいで無くなりそうだったからという単純な理由だ。

「おや、いらっしゃい」

 木製で出来た扉を押せばカランカランというドアベルの音が鳴り響いた。カウンターの向こう側に椅子に座っているのか胸の上しか見えない男性の姿があった。

「観光客とは、珍しいねぇ? 何用だい?」

 真横にしていた身体を向き直し正面を向いて俺の顔を見てからにこやかに微笑んでそう尋ねてきた。

「えぇっと、ノートを買いに来ました」

「ノートは、左棚の一番奥にあるよ。種類が多いから気を付けておくれ」

 彼は両手をカウンターのところに置いてそれを支えにするかのようにして立ち上がってから、俺から見て左腕で、左の方向を指し示した。

「あ、ありがとうございます」

 俺がそう言えば、男性店員はにっこりとほほ笑むだけだったが照れ臭かったらしくそのあとすぐに右腕で顔を隠すようにした。

 言われた通り左棚の一番奥の方に種類のあるノートが陳列していた。日記用のノートだったり、コンパクトサイズだったり、200ページ書けたりするのもあったり、百科事典並みに分厚いノートもあった。確かに種類もあって悩むところだ。どれも捨てがたいのだが、犬の足跡柄のポップなノートや、犬のキャラクターがはしゃぐものもあった。犬好きとしては、どれも捨てがたいもので、悩みつつも、結局のところ、これまで使っていたノートと同じものを5冊購入したのだが、男性が

「ふむ。これはいいのかい?」

 いつの間にか取り出して持ってきたらしい、犬柄のノートが10冊カウンターテーブルに積んでからそう尋ねた。

「え?」

「君は、これを熱心に見ていただろう? 買わないのかい?」

「え、いや、えーっと…………」

 本当は買いたいのだが…………

「使わないのは、もったいないので…………」

「ふむ、そうか…………残念だ」

 悲しそうな顔をされて


「結局、買ってしまった」

 文具店から出て、欲しかったノートを5冊の他に犬柄があるノート10冊。合計15冊買った。あの男性は商売上手だなと俺は思ったと同時に、こういう似たような詐欺が元の世界に戻った時にあるかも知れないから気を付けようと思った。購入してしまった俺が言うのもなんだがな。

 文具店から出ると同時に昼を知らせる鐘が鳴り響いたと同時に俺の腹が盛大に鳴った。思わず顔が赤くなって周りを見たが幸いにも、周りには人が出払った状態だったので、腹の虫の音が聞かれることはなかった。ほっと安堵していると。

「あ、キオリくん。お昼はもう食べた?」

 赤い顔は、すぐにスッと引いたところで後ろから声を掛けられ振り返れば、スズカとドロシーが両手に買い物袋を引き下げてこちらにやってきた。

「いや、まだだな。スズカとドロシーもか?」

「ええ。実はそうなの。つい夢中になっちゃって。よかったら、一緒に行かない?」

「ああ。構わないぞ」

 スズカとドロシーと共にレストランへ向かう途中で前を歩いている、カズキとラーシュとソフィさんがいた。

「あ、カズキくん達だ!。おーい」

 スズカも気づいたみたいで声を掛ければ、3人は足を止めて振り返って俺たちを見つけると笑顔になった。

「カズキくん達も昼食はまだだったり?」

 カズキ達に近づいてからスズカはそう尋ねれば、ソフィさんは頷いた。

「もちろん。僕たちもということは、スズカたちもかい?」

 と尋ねてきたので、スズカと俺とドロシーが頷けば

「なるほど。目的地は一緒ですし、一緒に行こうか」

 お昼は、昨日と同じレストランでスズカは昨日のが気に入ったのか、激辛スパゲッティ、カズキは野菜たっぷりのスパゲッティ。俺はサンドイッチのようなもの。ソフィさんはオムレツと魚の煮付け。ラーシュはチョコミントパフェ。ドロシーは給油なので窓際の近くにいる。

「ねぇ。スズカ。それって、辛そうだけど、美味しいの?」

 ラーシュは、スズカが食べている激辛スパゲッティを見つつそう尋ねれば、スズカは激辛スパゲッティを1口食べて飲み込んだあと

「激辛好きには、堪らない一品だよ。あんまり食べ過ぎるのもいけないから、ちゃんと目標とかは決めてあるから大丈夫」

 スズカは嬉しそうにそう返してからまたフォークでからめとった激辛スパゲッティをパクリとほおばって嬉しそうに食べていた。

「そういうラーシュこそ、チョコミントパフェで足りるのか?」

 カズキはそう言いえば

「偶に甘いもの食べたいときってないかな? アタシは、それを狙っているから」

 狙うのかよ…………。

「それに、カズキも甘いもの結構好きでしょ?」

 スズカがコーヒーを一口飲んでからそう言えば、

「僕は、甘いものは結構食べる方だけど、食べ過ぎないように2週間に1回はいっぱい食べるように心がけているからいいんだよ」

 カズキはそう言いながらオレンジジュースをぐびっと飲んだ。


 昼食を食べ終えてから、荷物を一旦泊まっている部屋に預けた後、再び出かけることになった・

「といっても、僕とラーシュである程度必要なものは買ってあるから、準備は必要ないと思うのだが、スズカたちはどうなんだい?」

「あたしもドロシーちゃんと一緒に欲しいものは午前中に買っちゃったんだよね…………」

 スズカの苦笑いにドロシーも頷いた。

「はい! スズカと一緒にお洋服を見繕ってあげました。ワタシはパーツで出来ているから、必要ないけどいろいろな服があって楽しめました!」

 と少し興奮気味にそう答えた。

「じゃあ、カズキはどうだい?」

「僕も、欲しいものは午前中に買ったよ。キオリもそうだよな?」

 ソフィさんの言葉にカズキは頷いてから俺に尋ねたので、俺もうなずいた。

「ああ。必要なものは買ったな」

「っとなると午後は暇になるね。各自、自主練でもする?」

 ラーシュの言葉に俺たちは反対意見がないので、俺たちは頷いた。

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